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サイコパス傾向が高い人は痛みに鈍感。共感力の欠如と関連性が示唆される

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(著)

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 サイコパスと聞くと、冷淡で無慈悲で犯罪に関与するような人物を思い浮かべるかもしれないが、必ずしもそうではない。「善か悪か」で単純に分けられるものではなく、実は誰もが程度の差はあれどサイコパス的な傾向を持っている。

 そして、最新の研究によると、サイコパス傾向が高い人ほど「痛みを感じにくい」ことが明らかになった。

 さらに、この「痛みに対する鈍感さ」が、人への共感力の低さにも関係している可能性があるという。

サイコパスとは? その特徴と脳の違い

 サイコパス(精神病質)とは、恒常的なパーソナリティ障害の一種で、他人への共感が乏しく、冷静で衝動的な性格を持つ人のことを指す。

 しかし、サイコパスは「特定の人だけが持つ特殊な性格」ではなく、誰もが程度の差はあれどサイコパス傾向を持っている。医師や研究者が「サイコパス」と診断するのは、その傾向が極端に高い場合に限られる。

サイコパスの特徴は、大きく3つに分けられる。

  • 対人面:表面的には魅力的で話が上手いが、人を操る傾向がある。
  • 感情面:他人の気持ちに共感しにくく、罪悪感や恐怖心が薄い。
  • 行動面:衝動的で無責任な行動を取りやすく、危険を恐れずにリスクの高い選択をする。

 これまでの研究によると、サイコパス傾向の高い人は、脳の「前頭前野(ぜんとうぜんや)」や「扁桃体(へんとうたい)」の働きが弱いことが確認されている。

 前頭前野は道徳的な判断や意思決定を、扁桃体は恐怖や感情の処理を担当する部分だ。また、一般人よりも脳の「線条体」という部分が10%大きいことも判明しており、この部分は各種認知機能の調整を司る領域の一部だ。

 こうした脳の違いが、痛みの感じ方や共感の欠如に影響している可能性があるという。

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サイコパス傾向が高い人は痛みに鈍感なことが判明

 英リヴァプール・ジョン・ムーア大学の研究チームは、サイコパス傾向の高い人と本人が感じる痛みの関連性を調査する実験を行い研究論文を発表した。

 研究チームは参加者の指先に小さな円形の装置を押し当て、圧力をかけることで痛みを与えた。

 その後すべての参加者に「どのくらいの圧力まで耐えられるか」を測定したところ、 サイコパス傾向の低い人と高い人の間で、耐えられる最大の圧力には大きな違いはなかった。

 しかし、その後の評価で興味深い結果が出た。

 参加者全員にまったく同じ圧力(痛み)かけたところ、サイコパス傾向が高い人はの方が「痛みを少ない」と感じていたのだ。

 つまり、耐えられる圧力の限界は同じでも、 実際に痛みをどの程度感じるかは、サイコパス傾向によって異なっていた、ということになる。

 また、研究では、参加者の皮膚電気活動(SCR)も測定した。SCRは、ストレスや恐怖を感じるときに発汗量が増える生理反応を測る指標だ。

 ところが、サイコパス傾向の高い人も低い人も、SCRの数値に大きな違いはなかった。これは、サイコパス傾向が高い人は、実際には痛みを感じているが、それを気にしない心理的な特徴があることを示している。

 おそらくこれが、より大きなリスクをとることや、他者に対する攻撃性の増大と関係する理由を説明しているのだろう。

 彼らは、他の人々と同じように痛みの感覚を認識しないのだ。

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サイコパス傾向の高い人と「他人の痛み」の関係を調査

 次に、サイコパス傾向の高い人が「他人の痛み」にどう反応するかを調べる実験が行われた。

 研究チームは、参加者に「手がドアに挟まれる」「裸足でガラスを踏む」などの痛みを伴う画像を見せ、そのときの反応を調べた。

 すると、 サイコパス傾向の高い人は、共感度を測る自己評価でも「他人の痛みを気にしない」と答え、SCRの測定でも「生理的な反応がほとんど見られない」という結果が出た

 これは、2015年に行われた別の研究とも一致している。の研究では、サイコパス傾向の高い人は、他人が苦しんでいる映像を見たとき、脳の活動がほとんど変化しないことが確認された。他人の痛みを感じ取る能力が生まれつき低い可能性がある のだ。

 また、2019年の研究によると、サイコパス傾向の高い子供たちは恐怖を感じた際に、「感情の反応が鈍くなる、周囲との関わりを避ける、リスクの高い行動をとる」 などの極端な対処行動をとる傾向があることも示されている。

 これらの研究結果を総合すると、「サイコパス傾向の高い人は、自分の身体の生理的な反応と心理的な感覚がうまく結びついていない可能性がある」 と考えられる。「他人の痛みを感じ取る能力が生まれつき低い可能性がある」のだ。

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Photo by:iStock

サイコパス傾向が強みとなることも

 今回の研究から、サイコパス傾向が高い人は「痛みに鈍感」であり、それが共感力が低いことと関連している可能性が示された。

 痛みを生理的には感じていても、心理的に重要視していないため、他人の痛みも理解しにくいのかもしれない。

 しかし、サイコパスの特徴は「悪」だけではなく、状況によっては「強み」となる場合もある。

 2022年の研究によると、サイコパス特性には「ストレス耐性が高く、冷静な判断ができる」というプラスの側面もある。特に医師や外科医などの職業では、この特性が役立つことがあるという。

 人は自分にとって未知のもの、わからないものに対して本能的に恐怖心を抱く。今回の研究は、サイコパスの特性や、人間の多様な性格や脳の働きを理解するためのヒントを与えてくれるかもしれない。

追記:(2025/03/29)本文を一部訂正しました。

編集長パルモのコメント

パルモの表情、普通

サイコパスはその言葉が独り歩きしてしまい、フィクション作品にみられるような悪いイメージが定着してしまっているが、様々な特性を持っており、種を存続させるための多様性の1形態なのかもしれない。サイコパスと診断されるのは、全体の1%と言われているが、その中で凶悪な犯罪者となるのはほんの一握りでしかなく、ストレス耐性が高いという特性は、ある種の職業や企業を運営するのに必要な能力でもあるようだ。

References: Rcseng.ac.uk / Journals.plos.org / Psychopaths experience pain differently, even when their bodies say otherwise

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この記事へのコメント 25件

コメントを書く

  1. 「耐えられる圧力の限界は同じ」
    なのに自分の痛みは、ある程度まで軽視する…。
    日常生活での他人からすると、
    耐えられる圧力限界も比例して高いのかって想定しますよね。

    • +5
  2. サイコパス傾向皆無だからドアに指挟んだとき痛すぎて涙出たし数日ずっと痛かった
    病院行ったら普通に骨折してたからみんなも気をつけてな

    • +36
    1. このコメ見て笑ってしまった私は、、、、

      • +26
  3. 痛みにはかなり強いが…サイコパスとは思えないなぁ
    むしろフォークト=カンプフ検査(Voight-Kampff Testing)が必要かも

    • +6
  4. 昔はこの手の記事になると大勢のサイコパス君(自称)のコメントで賑わったものだ

    • +37
  5. 痛みを「感じない」のではなく、痛みを「苦痛と思わない(受け止めない)」では無いのかな?

    真逆なのがHSP(『敏感な人』や『繊細さん』と言われる)の特性かと

    • +15
    1. 子供の頃は少しの痛みにも過敏で大騒ぎしていたのに
      窘められて我慢しているうちに鈍感な大人になったクチだけど、
      実際「感じない(=肉体側の神経では信号を出していても、脳で痛覚の認識が生じない or 信号の大きさと不釣り合いに小さい)」んだと思う。
      体にガタが出て初めて「あれ? これダメなやつだったんだ…」ってなるやつ。

      何か他のことに気を取られた時、
      網膜には映っていても「視えて」なかったり
      鼓膜は振動していても「聴こえて」なかったりするようなもんで。

      あと、分娩時のCTGなんかでも、子宮収縮の数値がMAX行ってても「え? これ陣痛? もう産まれる直前って、本当に??」な体質の人も稀にいたりする。

      • +8
  6. 自称サイコパスって馬鹿にされがちだけどサイコパス傾向が高い程度の人なら沢山いる。痛みより目的の方が優先度高いみたいなのは普通にある。イボ引きちぎったりとか

    • +2
  7. >2022年の研究によると、サイコパス特性には「ストレス耐性が高く、冷静な判断ができる」というプラスの側面もある。特に医師や外科医などの職業では、この特性が役立つことがあるという。

    そうか、良いこともあるんですね。

    • +14
    1. 確かに他者の痛みに敏感だったら
      手術なんてやってられんだろうな・・・

      • +29
    2. ヒト種の全滅を防ぐ為に
      事故や災害時にパニック起こさずに
      冷静に行動出来る人も必要って事で
      24人に1人の割合で存在する説あるよね

      • 評価
  8. 痛いことがなにより嫌いで、ストレス耐性激低の自分は
    共感力がありすぎるということか・・・
    たしかにサイコパス羨ましい。人生(自分より)楽そう
    人に嫌われたって気が付かないなら傷つかない

    • +7
    1. すごい同感。映画どころかテレビドラマの描写もしんどくて娯楽として楽しめないストレス耐性どん底人間だから同じ人いて嬉しい

      • +2
      1. それは共感力でなく、自他の区別がついてない可能性高い。

        • +11
  9. 凶悪犯はわずかな人数だとしても、共感力の低い人と縁がない事を祈ってる自分としては、実験に関わった科学者たちをすごいとしか思えない。

    サイコパスの3つの特徴も「魅力的で話がうまい」の後はグダグダで、最初の印象だけ良くてすぐ人間関係破綻しそうな雰囲気
    でも詐欺と同じでダマされちゃう人はいるのか。。。

    • +5
  10. ハンタのヒソカを真っ先に思い出した。
     天空闘技場でカストロの虎咬拳で腕を断たれたのも、凄まじい激痛に苦しむはずなのに冷静沈着のままなのは、「痛みを傷みとして感じない」無痛症としか思えない。

    奇術師という肩書によるミステリアスな雰囲気と、ヒソカ本人が美形なのもあるが、他の二要素抜きの「表面的」には魅力的な一要素だけですら、ヒソカを連想する

    • -1
  11. ちょっと前まで「自分サイコバスなんで(かっけー)」みたいなファッションサイコパスがいたけど、最近あんまり見ない気がする。
    飽きたのかな…?

    • +3
  12. オカルトやサスペンス、殺人事件ものは大好物!なのにスラッシャー系ホラーがダメなのはサイコ要素が薄いからなのかな

    • 評価
  13. 群れがリスクに晒されていたり環境が激変して保守的な行動が損失になるようなときは
    感情に左右されないリスクテイカーが少数いることはメリットになるんでしょう

    • +4
  14. 野戦病院向き…?まあ大人の場合「環境によって」スイッチが切り替わるもんだと思うが
    ここで過去に「サイコパスは大人でも線条体が大きいまま」って記事があったけど、有史前から自然の驚異を前に子が生き延びてくるのは大変だったんだろう まず生命力を発揮せよ
    逆に言うとサイコパスはいつまでたっても安心の評価が苦手?環境は敵、隙あらば死ぬ!的な

    • 評価
  15. そういえば、いわゆる「心が痛い」って状態も、脳でも実際に身体的な痛みに反応する部分が反応してるって話があったな。
    サイコパスが自分や他人の痛みに鈍感てことは、自分や他人の心の痛みにも鈍感なんだろうな。
    インターネットで世界の人間がつながる現代じゃ、鈍感力は強みだろうな。炎上とかネット袋叩きとかは、なんの面識もない赤の他人である被害当事者の痛みに共感して、自分が攻撃されたように反撃することで起きる場合も多いだろう。

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