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犯人はシャチ!ホホジロザメ殺魚事件の犯人をDNA解析で特定

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(著) (編集)

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 2023年10月、オーストラリア南東部の海岸に、絶滅危惧種である体長約4.7mのホホジロザメが、下半身が引き割かれた状態で打ち上げられた。

 いったい何者の仕業なのか?人間?人工物?あるいはシャチ?様々な説が流れたが、決め手となる科学的な根拠はなく、死因は迷宮入りになるかに思われた。

 だがそれから1年以上経って、死骸から採取されたDNAの検査結果が出た。そしてついに、その犯人が明らかとなったのだ。

下半身が引き割かれたホホジロザメの謎の死

 このホホジロザメは、メルボルンの南西約370kmにある、ケープ・ブリッジウォーター近くのビーチで発見された。

 身体の下半分は引き裂かれ、かろうじて胸から上だけが原形をとどめている。その様子オーストラリアの釣具店、Portland Bait and Tackle のFacebookページで確認できる。

 いったいなぜこんなことに。事件、事故、様々な説が流れる中、一番有力だったのは「犯人はシャチ」説である。

 シャチはサメを襲う時、その内臓、特に肝臓を好んで食べるという。このホホジロザメも腹部がすっぱりと消え失せており、シャチに食べられた可能性が高い。

死骸からは肝臓、消化器官、生殖器官が失われており、特徴的な咬み痕が4つありました。そのうち1つは南アフリカで観察されたものと同様に、シャチによる肝臓抜き取りの特徴を持っていたのです

 オーストラリアのフリンダース大学でサメの生態学グループおよび西オーストラリア鯨類研究センターの博士課程の学生、イザベラ・リーブス氏はこのように説明する。

 彼女を中心とした研究チームは、この死骸の身体にあった4つの咬み痕からDNAを採取し、メタバーコーディングという手法を使って解析を重ねていた。

DNA検査でシャチに襲われたことが明らかに

 2025年1月27日に、学術誌Ecology and Evolutionに掲載された彼女たちの研究を要約すると、以下のような結果がDNA検査から得られたそうだ。

咬傷痕から採取した綿棒でゲノム解析を行ったところ、主要な咬傷部位にシャチのDNAが存在することが確認されたが、その他の咬傷痕には腐肉食性のエビスザメの遺伝物質が埋め込まれていた

 エビスザメはおそらくシャチに襲われていたホホジロザメの死肉を狙ったのだろう、このサメは「エビス」という名に似合わず、腐肉を漁ることもあるそうだ。

 今回の研究では、シャチが特に肝臓という特定の組織を選択的に食べることで、エビスザメのような腐肉を食べる生き物がそのおこぼれに預かれるという構図を示している。

 つまり、シャチの好き嫌いが、周囲の生態系に影響を及ぼす可能性を示唆していると言えるだろう。

これらの結果は、オーストラリアでシャチがホホジロザメを捕食し、肝臓を選択的に消費している可能性を裏付ける証拠であり、この種の捕食は現在想定されているよりも世界中で広く行われていることを示唆している

狂暴なホホジロザメもシャチの前では獲物に

 シャチは英名を「キラーホエール(killer whale:日本語にすると殺し屋クジラ)と言い、海の食物連鎖の頂点に立つ存在だ。

 ホホジロザメも獰猛なことで知られているが、二回りも三回りも身体の大きなシャチの前では、捕食者ではなく獲物の立場になってしまう。

 これまでにもシャチがサメを襲う瞬間は、度々カメラに収められてきた。

 以下のBBCニュースの動画では、南アフリカ沖で2頭のシャチに襲われたホホジロザメを紹介している。

Killer whale hunts and eats great white shark | BBC News

ホホジロザメは絶滅が危惧されている

 ホホジロザメは、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストにおいて「危急(Vulnerable, VU)」に分類されており、絶滅の危険性がある種とされている。

 ホホジロザメの個体数減少の主な原因は、乱獲、混獲(意図せず漁業の網にかかること)、生息環境の悪化だ。

 特に、サメのヒレを利用するフカヒレの需要や、スポーツフィッシングによる捕獲が影響を与えている。

 そしてシャチの影響だ。近年、特に南アフリカ沿岸では、特定のシャチの群れがホホジロザメの肝臓を狙って捕食する行動が観察されており、その影響でホホジロザメが生息域を移動している可能性が指摘されてる。

 ホホジロザメは成長が遅く、繁殖回数が少ないため、一度減少すると回復が難しい。

 近年では、各国で保護政策が進められており、一部地域では捕獲や取引が禁止されている。だが、個体数の正確なデータは限られており、依然として減少が懸念されているため、継続的な保護対策が求められている。

 これまで、南アフリカの近海ではシャチがホホジロザメを襲うことが知られていたが、今回の調査結果は、この行動が世界中で普遍的に行われている可能性を示すものとなった。

References: DNA Analysis Reveals Killers Of Great White Shark Found Mysteriously Dead On Beach / Genetic Evidence of Killer Whale Predation on White Sharks in Australia

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この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. 60歳であんなデカいサメ食っちゃうソフィアばあちゃんすご・・・
    肝油とかコンドロイチンとかサメを使ったアンチエイジングのサプリもあるしそれで若さを保ってるってこと・・・!?

    • +15
    1. あんな猛突進するお婆ちゃん初めて見たわ

      • +9
    2. ソフィア「♪ きょ~うの~、オヤッツは~・・・あっ♥」

      • 評価
  2. 1コメだあ
    「そしてシャチの影響だ。近年、特に南アフリカ沿岸では、特定のシャチの群れがホホジロザメの肝臓を狙って捕食する行動が観察されており、その影響でホホジロザメが生息域を移動している可能性が指摘されてる。」
    レバーが嫌いな小学生と違って健康的やね

    • -5
  3. あんなん勝てる分け無い。化け物や。
    やはり、ジョーズよりオルカやな。

    • +9
  4. >このサメは「エビス」という名に似合わず、腐肉を漁ることもあるそうだ

    エビスなんだと思ってん
    イザナギとイザナミが儀式間違えて生まれた醜い奇形児やぞ
    3年たっても歩けないもんで海に流されて捨てられた

    • -2
    1. 「えびす」という神様は複数いるらしい。
      儀式を間違えて生まれたのは「蛭子命」だけど
      一般的にイメージされるのは「事代主神」の方だと思う。
      大国主神の子で、七福神のえびす様がこれ。

      なおエビスザメの名前の由来は笑ったような口元が
      後者のえびす様に似てるからだそう。

      • +7
  5. お前の肝臓が食べた~~い!って感じ。

    • +8
  6. これでニンゲンは食べないんだものな。。。

    • +4
    1.  シャチは偏食らしいから、もし人間の右脚がうまいと知ったら右脚だけ食べるシャチが出現するかもです。 回転ずしでネタだけ食べちゃう勢い。 
       人間は禁止することで少しは対応できるけど、シャチは制御できないからホホジロザメの未来は暗いのか明るいのか想像もつきません

      • +9
  7. シャチが肝臓を食べ、人間がヒレをもらい、エビスザメが残りを処分。命は循環する

    • +1
  8. サメの肝臓よっぽど美味しいんだろうな
    ホホジロザメのこと珍味をドロップする結晶トカゲに見えてそう
    シャチの間で「ホホジロの肝臓は万病に効く不老長寿の霊薬」みたいな迷信が広まった結果こんな事になってたんだったりしたら可哀想だなホホジロ
    メガロドンの肝臓がDNAに刻まれるくらい美味しすぎたせいで似た雰囲気のサメを見るとつい本能で襲ってしまうみたいな習性がシャチにあったらどうしよう

    シャチの食文化を守るためにもホホジロザメを手厚く保護しなければ!

    • 評価
  9. 生きたホオジロザメを飯にするのなんてシャチくらいなもんだしな
    それにしても60歳とは…あまりにも強すぎる

    • +2
  10. こうやってメガロドンも滅んだんだろうな

    • +2
  11. 数が減ってようが野生動物は容赦しないからな……
    シャチも影響力の強い捕食者だから、人の影響まで重なるとホオジロザメには辛いだろうな

    • +2
  12. 昔見た映画でサメがアザラシに海面上で飛び付いて補食するシーンを見たけど、私の中でアザラシ→サメに食われる→サメ→シャチに食われるが連続して再生されて非常にダイナミックなシーンになった。

    • +2

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