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ミツバチに小さなQRコードを張り付け、行動範囲の謎に挑む昆虫学者

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(著) (編集)

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image credit:unsplash
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 ミツバチは花粉を運ぶ重要な存在であり、地球にとって、我々人間にとってもとても大切な生き物だ。だが、その行動や生態にはまだ多くの謎が残されている。

 特にミツバチが花粉や蜜を集めるためにどこまで飛んでいくのかは、研究者にとって長年の謎だった。

 そこでアメリカの研究者たちは、ミツバチの背中に小さなQRコードを貼り付け、行動を詳細に追跡する新たな手法を開発した。

 この技術は、ミツバチがどれだけ遠くまで飛び、どれほどの時間を外で過ごしているのかをデータで明らかにし、生態の理解を深めるとともに、有機養蜂や保護活動に役立てることを目指している。

謎に包まれたミツバチの行動範囲を探れ!

 ミツバチは、私たちの食料生産を支える重要な花粉媒介者であるが、その数は世界的に減少しており、生態系や農業に深刻な影響を与えている。

 その一因には、農薬や環境汚染が挙げられるが、具体的にミツバチがどのような行動をとり、どのくらいの範囲で採餌をしているのかについての科学的データは少なく、謎に包まれていた。

 そこで、米ペンシルベニア州立大学のマルガリータ・ロペス=ウリベ氏らはミツバチの背中に小さなQRコードを張り付け、巣を出入りする様子を追跡するシステムを考案した。

 このQRコードは人間の小指の爪ほどの大きさで、ミツバチの動きを邪魔することなく、安全に貼り付けることができる。

 QRコードは、デジタルのタグのようなもので、その個体についてごく簡単な識別情報を持つ。これを巣箱の入り口に取り付けられたカメラでスキャンして、ミツバチの外出と帰宅を記録するのだ。

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QRコードでミツバチを追跡する自動画像システム  HardwareX

長時間にわたるミツバチの行動観察に成功

 研究チームは、ペンシルバニア州やニューヨーク州の農村部で、32,000匹以上のミツバチの背中にQRコードを貼り付け観察を行った。

 これまでミツバチのフィールドワークといえば、2週間ほど1日1時間観察する程度のものだった。だがQRコードのおかげで、それよりもずっと長期的かつ包括的な観察を行えるようになったのだ。

 研究では、ミツバチの巣外での活動時間を詳細に分析。多くのミツバチは1~4分程度の短時間で巣を離れることが確認されたが、一部のミツバチは2時間以上も巣の外に滞在していることが分かった。

 この長時間の外出は、遠くの花を探して飛行していた可能性があるが、センサーが検知できなかったケースや戻ってこなかったミツバチも含まれている。

 さらに、ミツバチの寿命についても従来の見解が修正された。以前はミツバチの寿命が約28日と考えられていたが、実験ではミツバチが採餌を開始するのは生後2週間以降であり、6週間以上生きる個体が多いことが判明した。

有機養蜂とミツバチの飛行距離の関係

 有機養蜂は、化学農薬や合成薬品を避けた環境でミツバチを育てる方法だが、これには巣箱の周囲を汚染のない広い空間に設置する必要がある。

 米国農務省(USDA)は2010年に「有機」と認定するための具体的な推奨基準を発表したが、実際にこれがクリアされることはなかった。

 有機養蜂を阻むハードルの1つは、ミツバチをモニタリングしなければならない範囲の広さだ。

 従来の説では、ミツバチは巣から最大10km飛行できると想定されており、米国農務省のモニタリング範囲は、こうした知見に基づいている。

 だがロペス=ウリベ氏らは、ミツバチの飛行範囲はもっと狭いという。今回の研究では、ミツバチが10kmも飛行することは滅多になく、実際にはそれほどの距離を飛ばない可能性を示したのだ。

 これにより、有機認証基準の見直しが必要になるかもしれない。

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Image by Ted Erski from Pixabay

ミツバチのダンスの謎の解明がさらに彼らを知ることに

これまでミツバチの研究者たちは、膨大な時間を費やして「ミツバチのダンス」を観察し、彼らの行動範囲を解明しようとしてきた。

 ミツバチのダンスとは、8の字の動作のことで、彼らはこれで蜜や花粉のありかを仲間に伝えることができるダンスで会話するだけあって、ミツバチの知能は非常に高いことが知られている。

 こうしたダンスの知見と今回の外出時間のデータを組み合わせれば、ミツバチの行動範囲をずっと正確に調べられるようになるだろう。

 ロペス=ウリベ氏らの目標は、10kmという飛行距離が本当に正しいのかどうか明らかにすることであるそうだ。

この研究は『HardwareX』(2024年11月28日付)に掲載された。

References: Automated entrance monitoring to investigate honey bee foraging trips using open-source wireless platform and fiducial tags - HardwareX / ‘Buzz me in:’ Bees wearing itty bitty QR codes reveal hive secrets | Penn State University

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この記事へのコメント 8件

コメントを書く

  1. 子供の時と違ってミツバチの生態を知ると「みなしごハッチ」は間違いだらけと気づく。

    • +3
  2. ミツバチもだけどハチの全種類、わかっていそうで全くわからん生き物
    世界最強のスズメバチですら、わけわからん生き物だからね
    そのうちAIで動くロボットハチの開発で生態わかるようになるのかも

    • +1
  3. 世界中でミツバチの生存が脅かされていると聞くから、ミツバチを保護してやってほしい

    • +3
  4. 養蜂やってみたいけど土地と近所との擦り合わせと蜜の採集と…と考えるとやる人がいないのも分かる

    • 評価
    1.  いまちょっと調べたところによると「蜜蜂を飼育する場合には都道府県知事への飼育届の提出が必要となった」そうです。 まぁ届け出なので許可じゃなくて書類に書き込んで提出だけだと思いますが……
       二次元バーコードを貼り付けるという方法を、レーザー刻印のが楽で確実じゃない?と思ってミツバチの写真をよく見ると意外と毛深いのねw クワガタとかカブトムシみたいなつるっとした感じならレーザーで刻印したほうがダメージ少なくできるんじゃないかと研究者に提案しようと思ったんですけど、ミツバチは毛が邪魔でした。 見た感じニホンミツバチならもしかすると刻印できるかもですが、西洋ミツバチは毛を焼かないと厳しいので侵襲というか毛がなくなることによる害があるかもですのでちょっと厳しいかな。

      • -4
  5. 確か日本でも同じような実験をしてたと思う、ミツバチにバーコードを貼り付けて
    出退勤を記録する、そんな実験をしてるのをTVで見た記憶がある。

    • +3
  6. このデータが認められて、有機認証基準の見直されるといいなあ。
    有機養蜂家が増える。
    最近知ったのだが、ハチミツには加熱と非加熱があって、ほとんどが加熱。
    製造に手間がかからないけど、本来の栄養効果が熱で減ってしまう。
    また非加熱でも暑い場所を通って輸入されると、同じ事に。

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