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悲しいお知らせ。金星には地球のような生命が一度も存在しなかった可能性が高まる

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(著) (編集)

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Photo by:iStock
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 金星はかつて地球のように水が豊富で生命が存在する可能性がある惑星だと考えられてきた。しかし、最新の研究によれば、この仮説が覆されるかもしれない。

 ケンブリッジ大学の研究チームが金星の大気を詳しく分析した結果、その内部は海が存在したにしては乾燥しすぎていることが判明した。

この発見によりチームの研究者らは、金星はその歴史全体を通じて、焼けつくような高温の不毛な世界であった可能性が高い、と結論づけたという。

かつて金星に液体の水は存在したのか?

 姉妹惑星と呼ばれるように、金星と地球はとてもよく似た惑星だ。どちらも岩石で作られており、大きさもほぼ同じだ。

 だが、これは遠目で見ればの話で、近づけばまるで違う世界であることがわかる。なにしろ金星は、ぶ厚い硫酸の雲におおわれ、地表の平均気温が約500度にも達する灼熱地獄なのだ。

 このような異世界ぶりにもかかわらず、大勢の学者たちが、大昔の金星には生命を育むことができる液体の海が存在したと信じている。

 それどころか、現在もなおそのぶ厚い雲の中に生命が漂っているのではないかという説すらある。

 金星に水があったかどうかは、太陽系外惑星での生命探しにとっても重要なものだ。

 宇宙の生命を探す天文学者たちは、「ハビタブルゾーン」と呼ばれる領域内にある惑星に注目する。ここは恒星からの距離が適切で、惑星表面に液体の水が存在できる領域のことだ。

 地球の最寄りの惑星である金星における水の有無は、このハビタブルゾーンの具体的な範囲を知る手掛かりになるのである。

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金星のイメージ図 Photo by:iStock

火山ガスから噴出した大気が伝える金星の歴史

 46億年前に金星が誕生して以降、この惑星がどのように進化してきたのかについては、大きく2つの説がある。

 1つは、かつて金星の地表はちょうどいい気温が保たれていたという説だ。そのおかげで液体の水が存在していたが、やがて大規模な火山活動によって温暖化が進み、現在のように乾燥した灼熱の惑星になったというもの。

 もう1つの説は、そもそも金星は最初から灼熱の惑星だったというもの。つまり、もとから液体の水など存在していなかったという説だ。

 どちらの説が正しいのか知るために、ケンブリッジ大学博士課程の学生テレザ・コンスタンティノウ氏は、火山から噴出するガスに注目した。

 今現在、金星はぶ厚い大気に包まれている。だが、それを構成する水・二酸化炭素・硫化カルボニルなどの化学物質は、だんだんと壊れている。

 それでも大気が安定しているのだから、壊れた化学物質はどこからか補充されているはずだ。

 それが「火山ガス」なのだ。コンスタンティノウ氏がこれらの化学物質が壊れるスピードを計算したところ、壊れた分を補充できるのは火山から噴出するガスしか考えられなかった。

 そうした火山ガスはもともと地下奥深くにあったものなので、岩石惑星の内部を知る重要な手がかりとなる。

 たとえば地球の火山ガスは主に水蒸気だ。このことから、地球は内部も水が豊富であることがわかる。

 では、金星の場合はどうなのか?

 じつは火山ガスには水分がせいぜい6%程度しか含まれていない。つまり、金星は内部もまた乾燥しているということだ。

 ここから考えると、金星には今も昔も海ができるだけの水は存在しなかった可能性が高いということになる。

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金星が辿った可能性のあるさまざまな気候経路を示す図。Constantinou et al., Nat. Astron., 2024

真実は10年後の金星探査で明らかになるかもしれない

 一応言っておくと、コンスタンティノウ氏らの説もやはり仮説だ。本当のところどうなのか、それを確かめるには実際に探査機を送ってみなければならない。

 だがその結果は、宇宙のどこかにいるかもしれない生命探しにも大きな影響を与えるだろう。もしも金星に海が存在できなかったのならば、金星のような惑星の優先順位は下げられることになる。

 「もしかつて金星が居住可能だったのなら、既に発見されたほかの惑星も居住可能かもしれません」と、コンスタンティノウ氏はプレスリリースで話す。

 「金星が昔はこの地球に近い存在だったと判明すればよかったのですが、悲しいことにそうではありませんでした。いずれにしても今後は、生命が存在できる可能性が高い惑星、少なくとも私たちが知る生命が存在できる可能性が高い惑星に的を絞った方が有益でしょう」

 NASAは2020年代後半に金星探査機「DAVINCI」の打ち上げを予定している。この探査機は金星の生命を夢見る人たちに希望をもたらすのだろうか? それとも現実を突きつけるのだろうか?

 この研究は『Nature Astronomy』(2024年12月2日付)に掲載された。

References: Researchers deal a blow to theory that Venus once had liquid water on its surface | Institute of Astronomy

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この記事へのコメント 12件

コメントを書く

  1. 金星付近がハビタブルゾーンから外れると居住可能系外惑星の候補も結構減るのか。

    そもそも、水が無いと生存できない生命というのが大前提の研究ではあるがどうなる事やら。

    • +2
    1.  きっと水素と酸素と炭素と窒素を主な成分とする私らと同類の生命は発生していなかったのでしょう。 でも炭素がケイ素に置き換わった生物がいるかもしれないし、想像もしないような私らの定義で生命と呼んでよいのかもわからないような生物?も発生したかも/しているかもしれないし。 ま、負け惜しみじゃないんだからね!

      • +6
  2. かつては何かが生きてたのにいまは灼熱の惑星のほうが悲しいから
    それはそれでいいと思う…

    • +8
  3. バケ学(化楽)的にシリコン型生命体は可能性があるんだけど、人間のタイムスケールでは自己増殖を確認できないだろうしなあ。
    そもそも、近世とかにある石粒を生命かどうか確認もしないしね。
    ハビタブルゾーンの中で炭素生物を探したほうが早いよ。

    • +2
  4. 綺麗な金星人のおねぃさんはいなかったのか・・・ショボン

    • +1
  5. 今晩、ナス食べたくなった。
    その料理名はビーナス(想像に任せる)

    • -4
  6. 硫化カルボニル蒸気浴「わ〜生き返るわ」って生命はいないん?

    • -3

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