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ペルーでモチェ文化時代の女王の座の間が発見される。描かれていた壁画で明らかに

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(著) (編集)

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ペルーのモチェ文化遺跡で女王の玉座が発見された。その部屋に描かれた壁画この画像を大きなサイズで見る
image credit:Paisajes Arqueológicos de Pañamarca
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 ペルー、ネペニャ渓谷にあるパニャマルカのモチェ文化時代の遺跡で、地位の高い女司祭あるいは女王が使っていたと思われる王座の間が発見された。

 モチェ文化はインカ帝国以前にペルー北部の海岸沿いの渓谷で発達した高度なアンデス文明の1つであり、プレ・インカ文明の1つである。

 部屋に描かれた壁画は、当時モチェ族では、女性が高い地位についていた事実を裏づけていた。

プレ・インカ文明の1つ、モチェ文化の見事な建造物

 モチェ文化が繁栄した時期は諸説あり、専門家の間でも議論が続いているが、西暦100年前後から700年頃とされることもあれば、西暦350年から850年頃と言われることもある。

 モチェ文化は、豪華なエリート層の墓、見事な建造物や芸術作品、宗教遺物や絵画でよく知られている。

 パニャマルカ遺跡には、日干し煉瓦で作られた階段状の演壇、壁に囲まれた広大な広場、そのほかにも数多くの石造建造物があった。

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パニャマルカ遺跡の発掘現場 image credit:Paisajes Arqueológicos de Pañamarca

 パニャマルカ遺跡は、1950年代に初めて公開された色鮮やかな壁画で有名になった。

 広場や演壇に描かれたこれらの壁画には、司祭や戦士の行列、超自然の生き物同士の戦い、ふたつの顔をもつ異様な男、人間の捕虜に対する儀式の様子などが描かれている。

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「モチェの想像の広間」の柱に描かれた杯を掲げる人間とクモの体をもつ生き物 
image credit:Paisajes Arqueológicos de Pañamarca

女王にふさわしい王座の間が発見される

 だが、女王の王座の間が見つかったのはペルーでは初めてのことだ。

 今回見つかった王座は、「モチェの想像の広間」と名づけられた場所で発見された。

 四方を壁に囲まれ、四隅のそれぞれの柱には権力を持つ女性が来訪者の行列を迎えたり、王座に腰かけたりしている4つの異なるシーンが描かれている。

 現在、ペルーと米国の考古学者、美術史家、保存家などが協力して、研究が行われているが、この部屋の中には多数の場面が描かれていることがわかった。

 複数の着飾った男女、クモ、シカ、イヌ、ヘビの特徴をもつ戦士たち、モチェの神話の英雄と海の敵とのさまざまな戦いを表したシーンが含まれている。

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「モチェの想像の広間」に描かれた王冠をかぶり錫杖を持つ女性(左上)、その後ろでさまざまな物を運ぶ男たちの行列(右上)、織物工房(下)内の光景 image credit:Paisajes Arqueológicos de Pañamarca

 王座の間の壁や柱、王座そのものにも描かれている権力をもつ女性は、三日月、海、海洋生物、紡ぎと織りの芸術と関係があるようだ。

モチェ文化時代の遺跡で女王の王座の間が発見されるこの画像を大きなサイズで見る
王座の外側に描かれた杯を掲げる王冠をかぶった女性 image credit:Paisajes Arqueológicos de Pañamarca

 これら壁画の中には、女性たちが糸を紡いで機を織る作業場の様子や、織物を運ぶ男たちの行列、王冠をかぶり髪を三つ編みにした女王の姿が描かれたものがある。

 コロンビア大学の美術史教授リサ・トレヴァー氏は次のように語っている。

パニャマルカ遺跡には驚かされることばかりです

絵を描いた画家たちの溢れるような創造性だけでなく、彼らの作品が古代モチェ世界の女性の役割について私たちの予想をくつがえすものだからです(リサ・トレヴァー氏)

 この女性は果たして人間なのか、それとも女司祭や女神、女王といった神話的な存在なのか、議論は尽きない。

 王座の背もたれが磨り減っていること、グリーンの石のビーズ、細い糸、人髪が見つかっていることなど、ここに実際に生きていた人物が座っていたことを裏づけていて、それは7世紀のパニャマルカの女性指導者を示しているといえる。

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パニャマルカ遺跡のモチェ文化時代の驚くべき壁画 image credit:Paisajes Arqueológicos de Pañamarca

絡まるヘビが描かれた広間も発見される

 今回の発掘調査では、これまでまったく未知だった建造物も発見された。

 「絡まるヘビの間」と名づけられた部屋の4本の柱には、人間の足がついたヘビが絡み合っている絵が描かれている。

 モツェ文化のほかの場所では見られないモチーフだ。

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新たに発見された「絡まるヘビの間」の鮮やかに彩色されたヘビ image credit:Paisajes Arqueológicos de Pañamarca

 その他には、戦士、擬人化された武器、人間を追いかける巨大な怪物などの絵があった。「絡まるヘビの間」は何度もリニューアルされたようだ。

 広場の上にそびえたつこの広間は、劇場やスタジアムのボックス席のように、下で行われていることを眺められる特等席があった。

 同時に特権階級のためのプライベート空間もあったようだ。

 モチェ文化のパニャマルカ遺跡の素晴らしい壁画、発掘調査の様子は、Instagramのアカウント「paisajespanamarca」で見ることができる。

 パニャマルカ遺跡の考古学調査と保存活動は同時進行している。

 専門家チームが発掘と研究、安定化、文書化を担い、腕のたつ職人が水彩画と3Dデジタルを組み合わせて、彩色された壁画と建築物を記録・保存している。

 ここの遺物は壊れやすいため、現在、観光客は立ち入ることはできない。

 保全処理をしっかり施さないまま風雨にさらされると、貴重な壁画はすぐに劣化してしまう。この重要な文化財の長期保存を確実にするために、文化省の規制に従い、保護するため、頑丈な屋根と暴風壁の建設が予定されている。

 さらに、発見されたすべての遺物のデジタルデータ化が進行していて、それらがさまざまな形で共有される予定だ。

References: Pañamarca Digital - Press Release 2024 / Moche Throne Room of a Powerful Woman Revealed

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この記事へのコメント 8件

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  1. 小学生の頃、当時デパートで開かれていたモチェ展に母親と一緒に行った時の気まずさは今でも忘れない
    意味が分からない人はモチェで軽くググってみるといい

    • 評価
    1. ペルーの博物館で見ました。おおらかというか

      • +1
  2. すげぇ!
    乾燥しているのかな。壁画とかカビ生えなさそうで保存しやすそうと別の方向を考えてしまった。でもこういう発掘と情報の蓄積が我々の将来にも役立つといいなぁ

    • +2
    1. 子供の落書きを残して、大人の絵は残さない文明か
      それはそれで面白い文化背景がありそうだな

      • +3
  3. 脚が生えてるとなるとヘビではなくトカゲモチーフの可能性もあるかねぇ。

    • 評価
    1. 基本的にこういうとぐろを巻いた図像は高確率で蛇を指してる

      蛇の図像の場合、足の有無はあまり重要じゃないんだ
      大陸が違うけど、たとえば中世ヨーロッパの写本ではたいてい蛇に足が生えてる
      なぜかはわからないけど、近代以前の人間は蛇を絵にする時は足の有無にあまりこだわらなかったらしい
      現代人からすると奇異に感じるけどね

      • 評価
  4. ジャガーの絵がなく蛇の尻尾の絵が見つかった事を考慮すると白のテスカポリトカのケツァルコアトル信仰の時代だったのだろうな

    • +1

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