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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が1つの超新星から放たれた3つの光を観測

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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が1つの超新星から放たれた3つの光を観測。その光は前にある銀河の重力(重力レンズ)によって歪められているこの画像を大きなサイズで見る
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 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、1つの超新星から放たれた3つの光を観察した。その光は前にある銀河の重力(重力レンズ)によって歪められていた。

 今回の観測によって、我々の宇宙の理解に誤りがある可能性がさらに高くなった。

 この宇宙は膨張し続けている。だがそのスピードは計測する場所によって一貫しない。この矛盾を「ハッブル定数の緊張」や「ハッブル・テンション」といい、現代宇宙論の大問題とされている。

 最新の研究では超新星の光から宇宙の膨張スピードを計測。その結果はやはり宇宙標準モデルの予測とは一致せず、ハッブル定数の緊張の存在が再確認されることとなったのだ。

現代宇宙論最大の謎「ハッブル定数の緊張」

 この宇宙はビッグバン以来、ずっと膨らみ続けてきた。この膨張スピードは「ハッブル定数」という定数で表される。

 天文学者を悩ませている大きな問題は、膨張スピードが計測場所によって違ってしまうことだ。

 遠くの宇宙で調べれば、ハッブル定数は標準モデルが予測するものと一致したものになる。

 ところが近くの宇宙では、なぜか一致しないのだ。この謎を「ハッブル定数の緊張」や「ハッブル・テンション」という。

 現在、ハッブル定数を算出する標準的なやり方は2つある。

 1つは、「宇宙マイクロ波背景放射」と呼ばれる、宇宙が誕生したばかりの頃の光から算出するやり方だ。

 この方法から推定されるハッブル定数は、1メガパーセクあたり毎秒約67km(km/s/Mpc)。これは標準宇宙モデルによって予測される定数にほぼ一致する。

 もう1つは、「セファイド変光星」というもっと近くにある星の距離から調べるやり方だ。

 こちらから導き出されるハッブル定数は73.2 km/s/Mpc。1つ目のものと大差ないように思われるが、その開きは8%もあり、宇宙標準モデルの予測に矛盾すると言えるほどにほどに大きい。

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宇宙誕生からの進化を描いたイメージ。時間は左から右へと流れている/Image credit: NASA / WMAP Science Team

単一の超新星から放たれ銀河重力に曲げられた3つの光を観測

 今回の新たな研究では、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観察結果からハッブル定数を推定し、標準モデルとの矛盾があらためて確認された。

 観察されたのは、地球から36億光年離れた銀河団「PLCK G165.7+67.0(G16)」だ。

 そこには、『超新星ホープ』と名付けられた単一の超新星から放たれ、前方の銀河の重力によって曲げられたらしい3つの光がある。

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超新星ホープから放たれ、銀河の重力で曲げられた3つの光 Image credit: NASA, ESA, CSA, STScI, B. Frye (University of Arizona), R. Windhorst (Arizona State University), S. Cohen (Arizona State University), J. D’Silva (University of Western Australia, Perth), A. Koekemoer (Space Telescope Science Institute), J. Summers (Arizona State University)

 この超新星はIa型と呼ばれ、ある星の物質が「白色矮星」に落下したことで、巨大な熱核爆発を引き起こしたものだ。

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Ia 型超新星のイメージ図 image credit:ESA

 白色矮星の質量はどれも均一であるめ、その爆発による明るさも同じになる。

 このことから宇宙の距離を測りハッブル定数を算出するための目盛(標準光源)として利用できる。

 アリゾナ大学をはじめとする研究チームは、3つの光の時間的なズレを調べ、超新星の距離や重力レンズ効果を踏まえた上で、ハッブル定数を導き出した。

 その結果は75.4 km/s/Mpcで、やはり標準モデルとはっきり矛盾している。

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天文学者が遠くにある暗い銀河を研究するために利用する重力レンズ効果を示したイラスト  image credit: NASA、ESA、L. Calçada

 つまりは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測によってもハッブル定数の緊張が再確認されてしまったということだ。

 その銀河団周辺の星の爆発からも重要な手がかりが得られると期待できるため、研究チームは今後も調査を続ける予定であるそうだ。

 この研究は『The Astrophysical Journal』や『Astronomy & Astrophysics』に一連の論文(2024年9月12日8月5月1月24日2023年7月)として発表された。

References: Webb Researchers Discover Lensed Supernova, Confirm Hubble Tension – James Webb Space Telescope / James Webb telescope watches ancient supernova replay 3 times — and confirms something is seriously wrong in our understanding of the universe | Live Science / James Webb Space Telescope finds supernova 'Hope' that could finally resolve major astronomy debate | Space

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この記事へのコメント 3件

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  1. 神の手は大きくは正確なのに詳細になると大雑把って説・・。何処かで聞いたな
    うーむ。・・。たしかカールセーガンプロデュースのコスモスあたりで聞いた気がする(笑
    カールセーガンとかコスモスとか自分がじじいだと言ってるようなものだなw

    まあアラウンド還暦なので間違いじゃないけどナー

    • +1
  2. 観測結果が従来の説と矛盾が出るってのはまだ真理からは離れているってことですね。これら矛盾→説明できる新説→観測結果から新しい矛盾の発見→以前を包含した新説→・・・を繰り返して宇宙の物理含む現代物理、現代科学まで連綿と続いてきています。こういったことが繰り返されて技術を磨き便利な生活、豊かな生活ができています。ヘリクツっぽいかもしれない新説も期待してます。科学者の皆さんガンバって!

    • +2

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