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エンパイア・ステート・ビルディングの墜落事故で1日に2度も奇跡の生還を遂げた女性の物語

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(著) (編集)

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エンパイア・ステート・ビルディングを遠くから撮影した古い写真この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock
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 1945年7月28日、アメリカ、ニューヨークで悲劇的な事故が発生した。B-25ミッチェル爆撃機が濃霧の中、エンパイア・ステート・ビルディングに衝突したのだ。

 14名が犠牲となったものの、この事故から奇跡の生還を遂げた女性は、同じ日に、更なる災難に見舞われた。

 彼女が乗っていたエレベーターが75階から落下するという事故にも巻き込まれたのだ。だがその女性はその事故からも死を免れた。

 同じ日に2度も死を免れた女性の名は、ベティ・ルー・オリバーさんだ。1日に2度も奇跡の生還を遂げた彼女の物語は、80年近く経った今も語り継がれている。

1日に2度、死を免れた奇跡の女性

 べティ・ルー・オリバーさんは、1945年7月28日、エンパイア・ステート・ビルディングで続けざまに起こった2度の災難を生き延びた奇跡の女性だ。

 彼女はこのビルでエレベーターガールとして働いていた。

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ニューヨーク市マンハッタン区にある超高層ビル、102階建てのエンパイア・ステート・ビルディングは
1931年4月11日に完成。最頂部は443.2m、屋上は381.0m、最上階は373.2m Photo by:iStock

B-25爆撃機衝突事故に巻き込まれる

 この日、濃霧の中を飛行していたB-25ミッチェル爆撃機が、目測を誤ってエンパイアステートビルの北側79階に激突した。

 B-25はラガーディア空港に着陸する予定だったが、濃霧のためそれがかなわなかった。

 パイロットはニューアーク空港への着陸を要請し、マンハッタン上空を横切ろうとしていた。

 ところが、クライスラービルのそばを通過してから霧のため方向感覚を失い、エンパイアステートビルに突っ込んでしまったという。

午前9時40分、B-25はエンパイアステートビルの78階と80階の間に激突した。

 この事故で爆撃機に乗っていた3名と建物内にいた11人が死亡した。火災がビル全体に広がり、40分たってようやく鎮火した。

飛行機のエンジンのひとつは1ブロック離れたアートスタジオに落下し、もうひとつのエンジン、着陸装置、乗員のひとりがエンパイアステートビルのエレベーターシャフトに落下した。それでもビル自体の構造は損なわれなかった。

当時20歳だったベティさんは、このビルのエレベーター係として働いていた。

 B-25が衝突したとき、彼女の乗っていたエレベーターはちょうど80階で停止していた。

 ベティさんはエレベーターの箱から投げ出され、火がまわって重度の火傷を負った。

 だが、幸いにも駆けつけた救助隊に助け出された彼女は、別のエレベーターに乗せられ、地上に降ろされることになった。

救助され別のエレベーターに乗せられたところ75階から落下

 ところが再び悲劇が起きた。乗せられたエレベーターが動き出すと、ケーブルが切れて一気に75階分落下してしまったのだ。

 誰ひとりとしてエレベーターのケーブルが損傷しているなど思いもしなかった。

 エレベーターには普通、車1台分以上の重量を支えることができる複数のケーブルがつながっていて、緊急ブレーキもついている。

 しかし、航空機の衝突という不測の事態のせいで、複数の故障が発生していた。

 不運が重なりまくった最悪の事態だった。

 ベティさんは意識はしっかりしていたが、エレベーターが自分から遠ざかっていくように感じ、体が浮かないようにどこかにしがみついていなくてはならなかったという。

彼女を救った2つの幸運

 しかしこの日、2つの幸運がベティさんを救った。まずは、狭いエレベーターシャフト内の空気圧が、地下へと落下していくエレベーターの箱の速度を落としたこと。

 箱は最終的にエレベーターシャフトの底にある油圧式緩衝器に衝突して止まったが、緩衝器は底を突き抜けていたという。

 第2に、底に折り重なっていたケーブルが衝突の衝撃を和らげたこと。

 ベティさんは横たわっていたため、衝撃が体全体に分散された可能性がある。とはいえ、これだけの衝撃を受けてなんの影響もなかったわけではない。

 この事故で骨盤、背中、首を骨折。全治数カ月の重傷を負ったのだ。

 彼女はその後結婚し、3人の子どもの母になり、孫もできて、大事故から54年を生きて1999年に74歳で亡くなった。

 彼女は、エレベーターの最大落下を生き延びた人物としてギネス記録に登録されている。

References: Betty Lou Oliver / The Woman That Survived Her Elevator Falling For 75 Floors

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この記事へのコメント 5件

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  1. ほんと、世の中には生存者がいたら奇跡としか思えないような状況で生き残る幸運な人が稀にいる。(本当に幸運な人はそもそもこんな目に遭わないというのは置いとく)
    そして思い出すのは9.11でビルから命からがら逃げ出して助かったのに、その数ヶ月後のクィーンズ地区飛行機墜落事故でちょうどその飛行機に乗り合わせてしまった人。
    奇跡的に助かる人がいる反面、何が何でも死なすという目に遭う人もいる運の不可思議。

    • +26
  2. 生き延びたのはすごい奇跡だとは思うけど、骨盤骨折と背骨骨折と重度の火傷をまだ20歳の女の子が受けるのは純粋に辛いわ…

    • +17
  3. 昔、この女性の話を読んだことがあるのだが、その内容というのがエレベータガールだった彼女が乗っていたエレベーターが衝突の衝撃で一気に落下。

    すると落下している彼女はエレベーター内で一定時間浮いていたことから人類初の無重力を体験した人間なのだ….、というお話。
    今の今まで内心信じちゃってたよ..。
    違ったのね。

    • +3
  4. うわっ
    こんな話初めて知った
    ベティさん、子も孫もできて天寿を全うできて良かったねえ

    • +11
  5. すごい豪運
    いや本当に運が良かったら事故に遭わないか…

    • +2

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