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アイスランドの断崖から、毎年ツノメドリのヒナが投げ落とされる理由

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(著)

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崖の上のツノメドリの集団この画像を大きなサイズで見る
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 アイスランド、ウェストマン諸島の住民にとって、たくさんのツノメドリのヒナが崖から海に投げ出される光景は、毎年の恒例行事なのだという。

 なんて残酷な!とぎょっとするかもしれないが、この毎年の習慣は「パフィリングシーズン」として知られていて、命を救うための重要な取り組みなのだ。

 ツノメドリは英語で「パフィン」と言うため、この恒例行事が行われるシーズンは「パフィリングシーズン」と名付けられた。

光害で方向感覚が狂い海を見つけられないツノメドリ

 ウミスズメ科に分類されるニシツノメドリのヒナは、海にそびえる高い崖に作られた巣で生まれる。

 巣立ちの頃を迎えると、彼らはコロニーから飛び立ち、海で数年間過ごした後、陸地に戻ってきて繁殖活動に入る。

ツノメドリは月明かりを追って海を見つけるのが習慣だが、今、街の明かりが彼らの方向感覚を惑わせてしまう問題が起きているのだという。

 彼らは人工的な照明を月の光と勘違いして街に迷い込んでしまうのだ。

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Photo by:iStock

ツノメドリのヒナを救い、海に投げ入れるパフィリングシーズン

 デジタルクリエイターのカイアナ・スー・パワーズ氏は、昨年、アイスランド南岸沖にあるウェストマン諸島を訪れたときに、このパフィリングシーズンのことを初めて知ったという。

 暗くなってから、懐中電灯や箱を持った地元の人たちが通りを走り回ってなにかを追いかけている奇妙な行動に気がついたのだ。

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 ウェストマン諸島の人たちは8月と9月に数週間かけて、人工的な街の灯を月の光と勘違いして町に紛れ込んでくるニシツノメドリのヒナを捕獲していたのだ。

 翌日、崖からヒナを放って、正しいルートに戻してやるという活動を伝統的に毎年行うようになった。これが「パフィリングシーズン」だ。 

Why People Are Throwing Baby Puffins Off Cliffs in Iceland

絶滅の危機に瀕しているニシツノメドリ

 南アイスランド自然研究センターのロドリゴ・A・マルティネス・カタラン氏は、こうした人間の活動は、ツノメドリの種の保存にとって不可欠になっていると言う。

 決まった相手と生涯添い遂げるという一夫一妻制のツノメドリのつがいは、1シーズンにひとつの卵しか産まず、しかも必ずしも毎年産むわけではない。

 子育てに失敗する世代が続くと、ニシツノメドリほぼ絶滅してしまう可能性があるのだ。

 実際にニシツノメドリは、漁業による餌資源の減少、気候変動による海水温の上昇、人間の活動による産卵地への影響などにより絶滅危惧種となっている。

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Photo by:iStock

パフィリングシーズンの備え方

 この活動に参加したいと願う人たちにとって一番ネックになっているのは、ニシツノメドリが繁殖活動を行う険しい崖までたどり着くことだろう。

 現在、ウェストマン諸島にはニシツノメドリの最大のコロニーがあるが、北大西洋での子育てはどこでも大変なのだ。

 毎年、いつ放鳥するか、その正確な時期はエサなどの要因によって変わる。ツノメドリのおもなエサは魚なので、海水温がニシンやイカナゴなどの生息数に悪影響を与えると、ヒナの成長が遅くなる。

 つまり巣立ちのシーズンが遅くなるということだ。今年は、ほとんどのヒナが9月中旬に見つかっている。

 パフィリングは、たいてい午後9時から午前3時くらいに行われる。

 港、ゴルフ場、病院、学校、ガソリンスタンド、建設現場など明かりが多い場所で見つかることが多いようだ。

 港にたどり着いたヒナは、船から流れ出た油が体に付着して溺れてしまうこともあるのだという。

On Heimaey, it is encouraged to throw baby puffins off a seacliff

 ひと晩でひとり4~10羽は捕獲できるという。ヒナたちは1羽ずつ箱に入れられ、毎年行われる科学的データの集計に加えられる。

 翌日、崖から放つときは、地面にヒナを置いて彼らが自然とその気になるのを待つか、人間がヒナを手に持って崖から放り投げる。

 ツノメドリのヒナを崖から落とすのは、彼らを救うためだったのだ。元気に成長して、素晴らしい鳥生を送ってくれるといいね。

References: Humans help baby puffins fly out to sea! - Boing Boing / During puffling season, Icelanders save baby puffins by throwing them off cliffs : NPR

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この記事へのコメント 9件

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  1. 目回りの模様がいつも困ってるみたいな顔に見えるのも
    小魚をたくさんくわえて爆速で飛び回るのも
    白い胸もともオレンジ色の水かきもみんな大好きな鳥なのに
    絶滅危惧種なんて知らなかった
    サムネとタイトルにぎょっとしたけどそういうわけだったのね…
    1羽でも多く、たくさん生き残ってほしい
    街灯りで混乱させてしまってごめんねという気持ちでいっぱいだorz

    • +15
  2. タイトルを見て何事かと思ったら善意の行動だったのね

    • +15
  3. 住民にキチンと正しい知識が行き渡ってるのが素晴らしいな
    自然科学はおざなりになりがちだけど実際自分達の環境に直結して来るからもう少し本気で義務教育で遣って欲しい所だな
    基礎おさえるだけでも見識広がるんだからさ

    • +15
  4. 鳥って紫外線が見えたり、人間とは可視光線が違うので、ナトリウムライトとか特殊な光源を使ったりして何とかなるとか研究されてたりしないのだろうか?

    • +1
  5. なにやってもいじめられてるように見える顔だからね…

    • 評価
  6. ふわっふわ?ふかふか?
    いちど手に持ってしまったら虜になりそう
    こうならないのが一番なのはそれとして
    いつも来年を待ちわびそう
    コロニーが繁栄しますように

    • +2

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