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木星の軌道のすぐ外に惑星製造工場があった可能性

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ジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡がとらえた木星、環、衛星 Image credit:NASA, ESA, CSA, Jupiter ERS Team; image processing by Ricardo Hueso (UPV/EHU) and Judy Schmidt.
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 木星が太陽の周りを回る軌道のすぐ外側に「惑星製造工場」がある可能性が示された。

 太陽系形成直後の約200万年にわたって、惑星や小惑星の構成要素となった初期の天体「微惑星」を次々と形成していた可能性があるという。

 ドイツのマックス・プランク太陽系研究所がコンピューターシミュレーションで太陽系初期の塵(ちり)の挙動を再現したところ、木星の重力が作り出したリング状の塵の集積地帯が、種類の異なる微惑星を生み出し続けていたことがわかった。

この結果は地球に落下した隕石の分析結果とも一致している。

 この研究成果は『The Astrophysical Journa』誌(2026年5月26日付)に掲載された。

参考文献:

微惑星はどこで形成されたのか

 約46億年前、若い太陽はガスと塵(ちり)でできた巨大な円盤に囲まれていた。

 円盤に含まれる塵の粒子が衝突と合体を繰り返して成長した固体天体を微惑星(びわくせい)と呼ぶ。

 微惑星はさらに合体を繰り返して、原始惑星や惑星へと成長する惑星形成の中間段階にあたる天体で、現在の小惑星や彗星の多くも微惑星が生き残ったものと考えられている。

 惑星形成の大まかな流れ自体は以前から知られていた。しかし太陽系のどの領域で、どのような順番で微惑星が作られたのかは長らく不明なままだった。

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Image credit:NASA/JPL

木星が作り出したダストトラップが微惑星を次々と形成

 そこで、ドイツのマックス・プランク太陽系研究所の研究チームは、太陽系形成から200万〜400万年後の時期に焦点を当てたコンピューターシミュレーションを実施した。

 太陽系最大の惑星である木星がすでに現在に近い大きさまで成長し、強大な重力で軌道周辺の物質をほぼ取り込んでいた時期だ。

 木星は太陽から約7億8000万km、地球と太陽の距離の約5倍の位置を公転しており、周辺のガスと塵の円盤に大きなすき間を作り出していた。

 すき間の外縁部ではガス圧が局所的に高くなり、大量の塵が引き寄せられてリング状に集積する「ダストトラップ(dust trap)」が形成されていた。

 以前の研究でもダストトラップが微惑星の形成を助ける可能性は示唆されていたが、長期間にわたって異なる種類の微惑星を生み出し続けられるかどうかは確認されていなかった。

異なる世代の微惑星が次々と誕生

 研究チームはダストトラップ内の塵の挙動をシミュレーションで追跡した。

 ダストトラップ内には壊れやすい細かい塵と、円盤の高温領域で早期に固まった頑丈な塊の2種類の物質が存在した。

 木星は頑丈な粒子に対してより強いバリアとして機能するため、2種類の物質はダストトラップ内に異なる割合で集積していった。

 微惑星が形成されるたびに物質が消費されダストトラップ内のバランスは変化し続け、最初の50万年で壊れやすい物質がいったん減少し、その後の100万年で再び増加した。

 最終的に壊れやすい物質を主体とする世代と、頑丈な物質が支配的な世代という異なる2つの微惑星集団が次々に誕生していったと考えられる。

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微惑星の形成領域を示した概念図。中心の太陽を囲むように広がる円盤の中で、木星の外側にペブル(小石状の粒子)と細粒物質が集積し、微惑星が形成される領域(上部)が生まれる Image credit:© MPS / hormesdesign.de

地球に落下した隕石がシミュレーションを裏付け

 研究チームはシミュレーション結果を検証するため、地球に落下した隕石の分析結果と照合した。

 炭素質コンドライトと呼ばれる隕石は炭素を豊富に含む最も原始的な種類のひとつで、形成後に高温にさらされたことがないため、太陽系誕生当時の物質をほぼそのまま保存している。

 年代と組成の違いから6つのグループに分類されており、触るとボロボロと崩れる脆いグループと小さな鉱物の粒が埋め込まれた頑丈なグループがある。

 先に誕生した微惑星の世代は脆いグループの炭素質コンドライトと、後から誕生した世代は頑丈なグループの炭素質コンドライトと組成が一致した。

 マックス・プランク太陽系研究所所長のトールステン・クライネ博士は、太陽系初期のシミュレーションが隕石の実物分析と初めて正確に一致したと述べている。

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炭素質コンドライトは見た目が大きく異なる。左のアレンデ隕石は鉱物の粒が埋め込まれた頑丈なタイプ、右のイヴナ隕石は触るとボロボロと崩れる脆いタイプだ。カプセルの長さは約1cmで、非常に希少なイヴナ隕石の粒が数粒入っている。 Image credit:© MPS / T. Klawunn

太陽系誕生の解明へ前進

 木星の重力が作り出したダストトラップが惑星製造工場として機能していたという今回の発見は、太陽系の惑星形成史の理解を大きく前進させるものだ。

 研究を率いたマックス・プランク太陽系研究所のヨアンナ・ドロンジュコウスカ博士は、炭素質コンドライト以外の隕石タイプも木星外側のダストトラップでさらに早い時期に形成されており、惑星製造工場の活動期間は、さらに長く続いていた可能性があると指摘している。

 地球に落ちてくる隕石の中には、木星付近から長い旅を経てたどり着いたものもあるなんて、ロマンじゃないか。

まとめ

この研究でわかったこと

  • 木星の重力が作り出した塵の集積地帯が、約200万年にわたって異なる種類の微惑星を次々と生み出していた可能性
  • シミュレーション結果が、地球に落下した隕石の実物分析と初めて一致

身近な例に例えるなら?

時間とともに材料の配合を変えながら異なる製品を作り続ける工場のようなものだ。木星の重力がその工場の仕組みを作り出し、種類の違う微惑星を約200万年にわたって順番に製造していた。

まだわかっていないこと・今後の課題

  • 惑星製造工場の活動がいつ始まり、いつ終わったのかは解明されていない
  • 今回調べた隕石以外の種類も同じ場所で作られたかどうかはまだ確認されていない

References: Scientists discover a giant “planet factory” beyond Jupiter | ScienceDaily

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