この画像を大きなサイズで見る夜、ベッドに入って静かになった頃、どこからともなく低くうなる音が聞こえてくる。外を見ても音の出どころはなく、隣で眠る家族にはまったく聞こえていない。
世界中の人々が半世紀ものあいだ訴えてきたこの謎の音は「ザ・ハム」と呼ばれている。
ノルウェー科学技術大学の研究チームがザ・ハムの正体を精密な聴覚検査で調べた。
これまで外で鳴っていると考えられていたが、実は聞く人自身の体の内側で生まれていた可能性が高いという。
この研究成果は『PLOS One』誌(2026年3月27日付)に掲載された。
ブーンと響く謎の怪音「ザ・ハム」
ブーン、あるいはブンブンと響く、低くうなるような音が、どこからともなく聞こえてくる。それは家の前で停まった車のエンジン音にも、遠くの機械の振動にも似ている。
世界中でこの謎の音が聞こえると訴える人がいて、その現象は「ザ・ハム」と呼ばれている。
ザ・ハムが最初に大きな話題になったのは、1970年代半ばのイギリスのブリストルだ。
地元の新聞社に、正体不明の音が聞こえるという手紙がいくつか届いた。
当時は大きな百貨店の倉庫にある産業用の巨大なファンが疑われたが、その倉庫が閉鎖されたあとも音は消えなかった。
「ザ・ハム」はその後、イギリスの沿岸の街々や、アメリカのタオス、ココモといった都市でも報告され、今ではカナダやオーストラリア、ノルウェーなど、世界中の人口の多い地域でも報告されている。
この画像を大きなサイズで見るごく一部の人のみ聞こえる
ザ・ハムにはいくつかの不思議な特徴がある。
屋外では聞き取りにくいのに、屋内ではよく聞こえ、とりわけ夜、眠ろうと静かになったときに最も気づきやすい。
同じ部屋にいても、聞こえる人とまったく聞こえない人がいて、わずらわしいけれど我慢できるという人もいれば、体調を崩したり眠れなくなったりするほど苦しむ人もいる。
ザ・ハムが聞こえるのは、人口のおよそ2〜4%とされ、ごく一部の人にとどまる。
人間の耳が聞き取れる音の範囲は、およそ20Hzから20000Hzの範囲だ。
Hz(ヘルツ)は音の高さを表す単位で、数字が小さいほど低い音になる。
ザ・ハムを訴える人が報告する音は、そ低周波音に分類される50Hzあたりに集中している。
だがその原因は明確になっていない。
換気システムや交通の騒音といった説もあれば、波や風など自然が出す音だという説、海岸沿いの街で報告が多いことから、夜間に飛ぶアメリカ軍機が潜水艦と交信するための低周波音だという説まで、様々な説が飛び交っていた。
この画像を大きなサイズで見るザ・ハムが聞こえる人を対象に2つの仮説を検証
低周波音を専門に研究してきたノルウェー科学技術大学のマルクス・ドレクスル教授ら研究チームは、2つの仮説を立てた。
原因不明のうなり音が聞こえると訴えるドイツの28人を集めて検証を行った。
1つ目の仮説は、この人たちが実際に存在する低周波音を、普通の人より鋭く聞き取っているのではないか、というものだ。
聴力を検査したところ、ほとんどの人の聴力はいたって普通だった。
特定の低周波音だけ平均より少しよく聞こえる人が2人いたものの、大多数には当てはまらなかった。
2つ目の仮説は、耳そのものが出す音を聞いているのではないか、というものだ。
人の耳の奥にある蝸牛(かぎゅう)は、かたつむりのような渦巻き形をした器官で、音を増幅するときにごく弱い音「耳音響放射」を外へ出しており、専用のマイクで測定が可能だ。
本人がこの音を外から届く音と間違えている可能性があるとみて、マイクで測定したところ、参加者から音は検出されなかった。
この画像を大きなサイズで見る音は頭の中で鳴っていた
外部の音でもなく、耳が出す測定できる音でもない。2つの仮説が外れたことで、ドレクスル教授は3つ目の可能性に目を向けた。
大多数の人にとってザ・ハムは、聞く人自身の脳と聴覚システムが作り出している主観的な耳鳴りではないか、というものだ。
耳鳴りは、外で音が鳴っていないのに耳や頭の中で音が聞こえる状態をいう。
音を感じ取っているのは耳ではなく、最終的に音として意識させているのは脳の側だ。
何も鳴っていないのに脳が音の感覚を作り出してしまえば、本人にははっきり聞こえているのに、外を探しても耳を測っても音源は見つからない。
耳鳴りに悩む人の多くは、最初その音を外から聞こえてくるものだと感じる。ところが場所を変えても音がついてくるうちに、音の出どころが自分の外にはないことに気づいていく。
ザ・ハムを訴える人たちも同じで、窓の外を探しても何もなく、引っ越しても音が消えない。
研究チームは、外の音を聞いているわずかな例外を除けば、その正体は脳が生み出す低周波の耳鳴りであることが多いと結論づけた。
まだ解き明かされていない低周波音の世界
ドレクスル教授によれば、人間の聴覚にはまだ大きな謎が残っているという。
耳の研究はこれまで高い音を中心に進められてきたため、低周波音を脳がどう処理しているのかは、あまりわかっていない。
風車や交通、家庭の機械が出す低周波音への懸念はこの10年で高まり続けていて、低周波音と人体の関係を本当に理解するには、感覚の仕組みをもっと深く調べる必要があると教授は考えている。
カラパイアでは以前、古い建物で感じる不気味な気配や幽霊の正体として、超低周波音を取りあげたことがある。
超低周波音は、20Hzより低く、人間が音として聞き取れる範囲を下回るため、ザ・ハムとは原理的に異なることを付け加えておこう。
ザ・ハムは、50Hzあたりという耳に聞こえる範囲の音でありながら、聞こえるのはごく一部の人だけで、しかも外を探しても音源が見つからない。
低周波音・超低周波音が人間に与える影響に関する今後の研究結果を見守っていこう。
まとめ
この研究でわかったこと
- 謎の音「ザ・ハム」は、脳が作り出す自分だけに聞こえる低周波音の耳鳴りである可能性
まだわかっていないこと
- ごく一部の人だけ、なぜ脳がこの音を作り出すのかはわかっていない
- 脳が低周波音をどう処理しているのか、仕組みの多くが未解明のままだ
- 対象者は28人と少なく、外部の音が原因である可能性も残る
References: doi.org/10.1371/journal.pone.0326818 / People Who Hear “The Hum” Are Facing Low-Frequency Tinnitus
















全人類すべての人間が耳鳴りをしている
それを雑音として排除できない人間が耳鳴りだ
薬である程度直る
心霊体験や霊能力もおそらくこれで、
その人には確かに見えてるんだと思う。
日本ではその音を耳鳴りといってますが
「気のせい」が病気として認定される日も来るかもしれない
強迫観念も手伝っているのではないかな
ザ・ハム・・・・
別所哲也さん?
わたしにはソーセージが聞こえます
まず、クレームを寄せる人達の聴覚能力を調べる前に、クレームを寄せる人達の環境で「ハムが聞こえる」ときの音を低周波音域から高周波音域に至るまでサンプリングし、調べる方が先なんじゃないの?
そこで「音がサンプリングされない」というなら、この研究のような話に進んでもおかしくないけど。
Youtubeに実際になってる音を録画した動画があるので、頭の中だけとは限らないんじゃないかな?
記事みたいな低い音じゃなくて「ピコココココピコココ」って不規則で速くて高い音が静かな夜間にいつからか聞こえるようになったんだけどずっと家の外のどこかで鳴ってると思ってた。
それが、家の窓を遮音性の高いものに変更したら外音はかなりシャットダウンされてほとんど聞こえなくなったんだけど、そのピコピコ音だけは変わらなくて自分の身体の中で鳴っていることに気が付いた。
人間って身体の中でいろんな音が鳴っているみたいだよ?
ブンブン~うなるよハム
耳が聞こえる