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AI顔認証をうのみにし裏付け捜査を怠った警察、無実の女性を逮捕し5カ月以上も拘束

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(著)

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Image credit:EvgeniyShkolenko
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 アメリカで、AI顔認証の判定を信じ切った警察が裏付け捜査を怠り、無実の女性を5ヶ月以上も拘束する冤罪事件が起きた。

 被害に遭ったアンジェラ・リップスさんは、一度も訪れたことのない遠方の地での詐欺容疑で逮捕され、自宅や車、愛犬まで失う悲劇に見舞われた。

AI顔認証だけで容疑者と特定された銀行詐欺事件

 2025年4月、ノースダコタ州ファーゴの銀行で、偽造された身分証を悪用して数万ドルを引き出す詐欺事件が発生した。

 捜査にあたったファーゴ警察は、監視カメラに映った犯人を特定するため、AI顔認証ソフトウェアを使用した。

 AIが「犯人」として弾き出したのは、現場から約1,600kmも離れたテネシー州に住む50歳のアンジェラ・リップスさんだった。

 担当刑事は、リップスさんのSNS投稿や運転免許証の写真を見比べただけで、「顔の特徴や髪型が一致する」と断定。

 警察は本人への確認連絡を一切行わず、AIの判定のみを根拠に逮捕状を取った。

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Image credit:gorodenkoff

銃を突きつけられた逮捕と「逃亡犯」としての長期拘束

 2025年7月14日、自宅で子守をしていたリップスさんの元に、突然、米連邦保安官がやってきた。

 彼女は理由も分からぬまま銃を突きつけられ、「ノースダコタ州からの逃亡犯」としてテネシー州で逮捕された。

 リップスさんは、「ノースダコタには行ったこともないし知り合いもいない」と訴えたが、ノースダコタ州の事件から逃げた「逃亡犯」として扱われたため保釈は認められなかった。

 結局彼女は108日間もテネシー州の郡刑務所に収監され、警察によってノースダコタ州へと空路で連行された。

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Image credit: :Aneesh Agrawal

弁護士が暴いた警察の怠慢

 ノースダコタ州へ移送された後、新たに彼女の弁護を担当したのがジェイ・グリーンウッド氏だった。

 グリーンウッド弁護士がリップスさんの銀行利用履歴を調査したところ、驚くべき事実が判明した。

 事件発生のまさにその時刻、彼女は1,900km以上離れた地元テネシー州で社会保障の小切手を銀行に入金し、ガソリンスタンドで買い物をし、ピザを購入し、配達サービス「Uber Eats」の支払いも行っていたのだ。

 警察が本来行うべきだった「裏付け捜査」を弁護士が代わりに行ったことでリップスさんのアリバイが証明され、警察は誤りを認めた。

 2025年12月24日、事件は取り下げられ、リップスさんはようやく釈放された。

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冤罪は晴れたものの人生が大きく変わる

 釈放された時、リップスさんはノースダコタ州ファーゴに取り残された。警察が帰宅費用を負担しなかったためである。

 冬のノースダコタ州は非常に寒く、リップスさんは夏服しか持っていなかった。コートもなく、帰る手段もない状態だったという。

 地元の弁護士たちがホテル代と食事代を出し合い、非営利団体F5プロジェクトが帰宅の手配を行った。

 団体の創設者アダム・マーティン氏が車でシカゴまで送り、そこからテネシー州へ帰ることができた。

 しかしリップスさんは、長期間の拘束により、ローンの支払いができなくなったことで、自宅や車を失い、飼っていた犬とも離れ離れになったという。 

AI顔認証による誤認逮捕は全米各地で起きている

 AI顔認証は犯罪捜査で利用が広がっているが、誤認による逮捕も問題になっている。

 2025年にはニューヨーク市警が監視カメラ映像をもとにトレヴィス・ウィリアムズという男性を逮捕したが、後に映像の人物より15cm以上背が高いことが判明した。

 またミシガン州デトロイトでは、顔認証システムによって殺人容疑者と誤認され逮捕された女性が警察を訴えている。

 AIは強力な捜査ツールだが、結果をそのまま信じてしまえば無実の人を犯罪者にしてしまう危険がある。

 今回の事件は、AIの判定を人間が十分に検証しなかった場合に何が起きるのかを示した例となった。

フ ァーゴ警察のデビッド・ジボルスキー署長は、会見でもこの失態への回答を拒んでおり、リップスさんへの謝罪は今も行われていない。

References: AI error jails innocent grandmother for months in Fargo fraud case / AI Mistake Throws Innocent Grandmother in Jail for Nearly Six Months

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この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1. だからAIはまだ馬鹿なんだってば

    • +10
    1. ていうか警察が馬鹿なんだってば

      • +18
  2. こういう問題が起きたときにどうして謝罪やミスを認めることを真っ先にしないのかが全くわからない。屁理屈で駄々こねてる子供みたい

    • +23
    1. 日本が異常なんだよ
      とりあえず頭を下げればいいと考えてる
      だから謝罪した事実に付け込まれさらに難癖をつけられる
      スーパーの店員が土下座させられるケースがこれ

      訴えられて敗訴が確定しない限りは謝罪はしない
      謝罪を先にすれば敗訴なしに罪をみとめたことになる
      大半の国がそう

      どっちがいいかはさておき、世界の慣習を知るべき

      • -10
    2. プロトコル通りなら非はない、文句あるなら法廷でって国だから⋯

      • +1
  3. 女性が有効なビザを取得している英国人であることと、外国人摘発に歩合がついている部分が記事に欠けている。

    • +8
    1. ごめん、うまく見つけられなかったんだけど、できればソースを教えてくれると有難い。

      自分が探した範囲では、この女性は「人生のほとんどをテネシー州の中北部で過ごしてきた」「今回の件で連行されるまでは、今まで一度も飛行機に乗ったことは無かった。自動車で移動できる近隣地域にしか出掛けない」といったコメントをしているようだった。

      • 評価
    2. ちなみに、さっき書き込んだ飛行機うんぬんの話題は、ガーディアンやインディペンデントで見た。

      • 評価
  4. AI 「※あくまでも個人の見解です」 

    • 評価
  5. これ怠慢何てレベルじゃないじゃんチャンと仕事しろよ。
    あと怖い事だけどAIを利用して犯罪が出来ると証明してしまった。
    容疑者のすり替えができるわけでしょ?仮に今回の事件みたく
    仮釈放できてもその頃に真犯人は逃げるだけの時間が確保されてしまう。

    • +17
  6. 「AI故の」ではなく、ただの怠慢。

    • +11
  7. 冤罪って、その間真犯人がのうのうとしていることも問題だよな

    • +13
  8. 誤りを認めたのに帰宅費用すら出さないのか無能警察

    • +15
  9. 滅茶苦茶だなあ
    せめて補償くらいはするべきじゃないか?

    • +12
  10. 機械の判断信じ込んで人の人生めちゃくちゃにしておいて何の保証も謝罪もないとは…
    機械の判定に頼り切った捜査システムが改善されないなら今後こういったそっくりさん逮捕増えそう

    • +14
  11. AIを戦争に使ってる国があるらしいぞ

    • +1
  12. AIじゃなくて警察の無能さが大問題

    • +4
  13. AIによる顔認証ってあの問題解決したのか?・・・そう、AIゴリラ問題の事だ。

    • +1
  14. AIは便利な”道具”なんだから最後は人間が責任持たなきゃだめでしょうに。まあここはAI使ったら拍車かかってるけど、元々管理職が監督怠ってミスや被害が発生する事って多々あった、どんな職場でもそう。
    責任ある立場・管理職は偉いから給料多いわけじゃ無く、面倒が多く責任が大きいから給料多いんだって常に思って無いと、部下をナメるしミスも増える、気を引き締めねば。

    • 評価

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