メインコンテンツにスキップ

地球外知的生命の信号が届かない理由は恒星のプラズマが原因である可能性

記事の本文にスキップ

24件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Image credit:Christoph Burgstedt
Advertisement

 地球外知的生命体探査(SETI)で有力な信号が検出されない原因は、送信元の恒星周囲にあるプラズマが電波を拡散させている可能性があるという。

 SETI研究所が発表した最新研究によれば、本来鋭いはずの人工信号は「宇宙天気」の影響でぼやけて届くため、従来の探査法では見逃されていた可能性が高い。

 この発見は、天の川銀河の約75%を占める赤色矮星(M型矮星)からの信号検出において、新たな戦略が必要であることを示唆している。

この査読済み研究成果は『The Astrophysical Journal』誌(2026年3月5日付)に掲載された。

参考文献:

恒星周囲のプラズマ乱流が電波信号を拡散させている

 地球外文明が発信した電波信号は、送信元の恒星を囲む激しいプラズマによって、地球に届く前に形を歪められているという。

 プラズマとは、高温で電気を帯びた粒子が自由に動き回る状態を指し、この粒子の流れである恒星風が電波の通り道を乱す原因となる。

 本来、知的生命体が作り出す電波は特定の周波数に集中した鋭い形状をしているが、プラズマの層を通過する際に「にじみ」が生じ、エネルギーが周囲の周波数へ分散してしまう。

 これまでのSETI探査は針のように鋭い信号のみを標的にしてきたため、プラズマで幅が広がった信号をノイズとして処理し、見逃してきた可能性が高い。

太陽系探査機のデータを用いて信号の歪みを数値化した

 SETI研究所のヴィシャル・ガジャー博士率いる研究チームは、太陽系内を飛行する探査機が発する電波を解析することで、プラズマが信号に与える影響を正確に算出した。

 研究チームは、探査機から地球へ送られる電波が太陽の恒星風によってどの程度ぼやけるかを実測し、そのデータを他の恒星系に当てはめるシミュレーションを行った。

 この解析手法により、恒星の活動レベルに応じて電波信号がどの程度の幅に広がるかを予測する理論的な枠組みが完成した。

 宇宙を旅する電波は星間空間でも歪みを受けるが、発信源である恒星のすぐ近くで発生する「宇宙天気」による歪みが、検出の成否を分ける決定的な要因になることが突き止められた。

この画像を大きなサイズで見る
惑星から発信された無線信号は、本来は鋭くはっきりとした形(左側の白い線)をしている。しかし、恒星の周囲に吹くプラズマの風に揉まれることで、信号は引き延ばされ、幅の広いかすかな状態(右側の緑色の山)へと変化してしまう。今回の研究は、私たちが「鋭い白い形」ばかりを探し、「広がった緑色の形」を無視してきたために、宇宙からの信号を見逃している可能性を指摘している。Image credit:Vishal Gajjar

M型矮星の激しい宇宙天気が信号検出の最大の壁となる

 銀河系の恒星の約75%を占めるM型矮星の周囲では、電波信号が最も激しくかき乱されることが判明した。

 M型矮星は、一般的に「赤色矮星」と呼ばれるグループの中でも、特に温度が低く質量が小さい星を指す天文学上の分類である。 

 M型矮星の表面では爆発現象が頻繁に発生し、周囲に膨大な量のプラズマを放出している。

 銀河系で最も数が多いため宇宙人探しの主要な標的とされてきたが、この激しい宇宙天気が信号を隠す「にじみ」を作り出していたのである。

この画像を大きなサイズで見る
赤色矮星のハビタブルゾーンを周回する2つの衛星を持つ仮想惑星を描いたアーティスト予想図  NASA

今後のSETI探査は幅の広い信号への対応が鍵となる

 これからの地球外知的生命体探査は、信号が拡散していることを前提とした新しい検出アルゴリズムを採用しなければならない。

 今後は、従来のような「鋭く一点に集中した信号」だけでなく、プラズマの影響でわずかに広がった形状の信号も検知できるように、探査システムの感度や周波数設定を調整する必要がある。

 また、プラズマの影響を受けにくい高い周波数の電波を重点的に観測することも、未知の文明を見つけ出すための有効な手段となる。

 ガジャー博士たちの研究成果は、探査すべきターゲットの選定や観測手法の設計に劇的な変化をもたらし、長年の沈黙を破る発見に繋がると期待されている。

編集長パルモのコメント

パルモの表情、普通

我々はこれまで、自分たちが望む「完璧に鋭い信号」だけを探していたが、宇宙環境を考えたら、実際に届く信号はもっと控えめで、形を成さない、ぼや~んとにじんでいるものが多いのかもしれない。もし新たな捜査方法が見つかれば、埋もれていたエイリアンからのメッセージがついに姿を現すかもしれないな。

References: Iopscience.iop.org

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 24件

コメントを書く

    1.  「無いことを証明」ってのがとっても難しいのですわ。 まぁ、存在しないかもしれないけど、少なくとも私らが存在しているのだから他の星にも存在してそうでしょ?

      • +11
  1. おー、久しぶりのSETI記事
    AIという強力な道具が出たのに音沙汰無さすぎるぞ

    • +15
  2. こんな全宇宙で辺境らしい銀河系の星に信号を送ってくるくらいの
    文明力だろうに、この程度のことを想定出来てないんかね?
    それとも、想定出来ない程度の文明レベルなのか、少なくとも我々よりは
    上の文明レベルだと思うんだがなあ

    • -17
    1. 我々程度の文明レベルでも既に送ってるぞ

      • +10
    2. 意図的に地球へ向けて信号を送るのと、単に文明内部での通信のやり取りが恒星間に漏れ出すのとでは全く性質が異なります。
      この記事で挙げているのは後者を想定しているのだと思いますよ。

      • +10
  3. なんだープラズマか

    多分、違う気がする
    ただ出力不足か電波じゃなくて全く未知の通信(空間の振動かΓ線バースト、多次元に流れてる重力波とか)
    困ったときのダークマターかもね

    • 評価
  4. 戦闘機がブンブン飛んでいる環境で鈴虫の声が聞こえないのと
    同じ感じか。そりゃ信号も埋もれるはずだ

    • +10
  5. 知性があるならそれくらいの事は想定してサインを送るんじゃない?

    • -8
  6. 高度な生命体は物理的手段は使わないんだよ

    • +2
  7. なるほどな。確かに今の人類と同等レベルの文明ならば、電波を発信した場合には恒星等の電波を発する惑星の阻害を受けてしまうのは当然か
    そういう電波発生源に阻害をされないままに地球まで電波が到達するのはレアケースだろうしね
    当たり前と言えば当たり前の話だけど、当たり前すぎて盲点と言えば盲点かw

    • +9
  8. ごめん、わたしだ。
    自家発電を行うと
    強力なプラズマが発生する。

    • -8
  9. 外宇宙の知的生命体は、自分の居所を察知されたら侵略される恐れがあるので、隠すはずです。三体でした。

    • -10
  10. 電波送る前にまず偵察するだろ。人間がエイリヤンの惑星見つけた時の事考えたら、絶対にやたらな事せずに、まずドローン偵察するのが基本中の基本部隊マニュアルでしょ
    って思いました。

    • -6
  11. 何を送れば(届けば)相手にとって知的生命体のいる証拠と確信出来るんだろ?
    受けとる装置も我々の使ってる装置とは全然違うもの使ってるだろうしね。
    難しいし面白いよね。

    • +4
  12. もし電波が届いてないなら、こちら側の電波も拡散されてない事になる
    こんな朗報はないよ
    敵性知的生命体に感知されたら人類は全滅する

    • +5
  13. 太陽系は今最も暗く何もない宙域を回ってるらしいから生命体と遭遇できないのもそうのせいかもしれんね

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

UFO・宇宙人

UFO・宇宙人についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。