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古代両生類は海を渡り世界中へ広がっていった。2億5000万年前の化石の再発見で明らかに

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Image credit:Pollyanna von Knorring (Swedish Museum of Natural History)
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 三畳紀初期、海に住むサンショウウオのような姿をした古代の両生類は、驚異的な適応力で世界中に拡散していたことが、2億5000万年前の化石により明らかになった。

 この化石は、約50年も所在不明だったが、スウェーデンなどの研究チームがそのありかを突き止めた。

 分析の結果、この両生類が大量絶滅直後の過酷な環境にありながら、北極から南半球まで海を越えて短期間で広がっていた実態が明らかになった。

 この査読済みの研究成果は『Journal of Vertebrate Paleontology』誌(2026年2月22日付)に掲載された。

三畳紀初期、オーストラリアを支配していた古代両生類

 現在の西オーストラリア州北端に位置するキンバリー地域は、赤い土が広がる乾燥した大地だ。

 だが、2億5000万年前の三畳紀初期は、海水と淡水が混ざり合う汽水に覆われた浅瀬の泥湿地だった。 

 当時この場所に生息していたのが、分椎目(ぶんついもく)と呼ばれる古代の両生類だ。

 分椎目は現代のカエルやサンショウウオの祖先に近いグループであり、その姿は現生のサンショウウオとワニと掛け合わせたような独特なものだった。

 全長2mから3mに達する種も珍しくなく、重厚な骨格と力強さを備えた、まさに進化の成功者だ。

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オーストラリア、西オーストラリア州キンバリー地域 Image by Istock Jennifer Sophie

50年、忘れ去られていた化石

 1960年代、キンバリー地域の地層から分椎目であるトレマトサウルス科の新属新種の化石が発見され、1972年に「エリトロバトラクス・ヌーンカンバエンシス(Erythrobatrachus noonkanbahensis)」と名付けられた。

 ところが、この貴重な化石の断片は、研究のために複数の機関へ送られた後、その後の50年間で所在がわからなくなってしまった。

 そこで2024年、スウェーデン自然史博物館などの国際研究チームは大規模な調査を行い、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校や、西オーストラリア博物館などの異なる収蔵庫にバラバラに保管されていた複数の断片を特定した。

 研究チームは、これら断片を一つに統合して最新技術による再解析を実施した。

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2億5000万年前の海洋両生類、エリトロバトラクスの頭蓋骨の化石 Image credit: Benjamin Kear (Swedish Museum of Natural History)

大量絶滅直後の環境で見せた適応力

 統合された化石を3D解析した結果、これまで単一の種と考えられていたエリトロバトラクスの化石群の中に、別の属、「アファネランマ(Aphaneramma)」の個体が混在していることが確認された。

 共にトレマトサウルス科に属する両者は、海洋適応に特化している。

 エリトロバトラクスは頑丈な頭部を持つ捕食者、アファネランマは魚食に適した細長い鼻先を持つといった形態の違いはあるが、同じ科の仲間として、共通して過酷な海洋環境を生き抜く能力を備えていた。

 本来、両生類は皮膚の構造上、塩分に弱く海洋進出には適さない。

 しかしエリトロバトラクスもアファネランマも、地球史上最大の絶滅イベント「ペルム紀末の大量絶滅」からわずか100万年足らずで塩分耐性を獲得しており、過酷な海洋環境を生活圏としていた。

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海洋両生類 アファネラマ歯付き顎の化石Image credit:Benjamin Kear (Swedish Museum of Natural History)

北極から南半球まで海を渡り世界に広がる

 この再発見は、当時の両生類が成し遂げた世界規模の移動を裏付ける結果となった。

 今回共存が確認されたアファネランマ属の化石は、北極圏のスヴァールバル諸島やロシア、パキスタンなど世界各地から報告されている。

 これはトレマトサウルス科のグループが、中生代の極めて早い段階で、大陸の沿岸を伝い、北極から南半球まで広がる世界的な拡散を成し遂げていた証拠だ。

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2億5000万年前、現在のキンバリー地域の海岸沿いを泳ぐ 古代の海生両生類、エリスロバトラクス(前)とアファネラマ(左上)Image credit:Pollyanna von Knorring (Swedish Museum of Natural History)

 世界規模の繁栄を築いたトレマトサウルス科だが、残念なことに、彼らが現代にまで生き残ることはなかった。

 三畳紀の終わりに衰退が始まり、分椎目という大きなグループ自体も白亜紀(約1億2000万年前)を最後に地球上から完全に姿を消してしまったのである。

 海洋という新天地を開拓し、世界を制覇した彼らの直系の子孫は現代には存在しないのが残念だ。

References: Tandfonline / Eurekalert / Unsw.edu.au

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この記事へのコメント 9件

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  1. そういえば現在、海に両生類はおらんな

    • +7
    1. カニクイガエルというカエルは体内に蓄えた尿素で
      浸透圧を調節することで汽水域に適応してるそうだから
      もうちょっとで海に進出できるかも?

      まあ海で暮らすとなると塩分以外にも餌やら敵やら
      克服すべき課題が山積だろうけど

      • +2
    2. 海で両生類はメリットが薄そうだね
      陸が住めなくなった場合だけこうして海で生活してたんだろうと思う
      ワニも海で同じように生活してたのかもしれない

      • +3
  2.  三畳紀って気温が 30 ℃近くまであったらしいのね。 やっぱり体温が変化する動物は気温が高いと大きくなるものが出現していろいろ面白そう。 現代は 14-15 ℃くらいだから今と比較すると私らにはとても暑かったんだろうな

    • +6
  3. かつての地球には「大海を知る蛙」もいたかもしれないね

    • +9
  4. 度重なる大量絶滅で種の豊富さは相当減ったらしいね
    そこからの派生種は多いけど

    • +1
  5. 海水が混ざる汽水域にならカニクイガエルってのがいるそうだ。

    • +2
  6. ワニとの生存競争に敗れたせいでこいつらみたいな大型両生類は滅んだとする説があるね。
    最終的に彼らが残ったのはワニがいない今の南極とかだった。

    • 評価
  7. 両者共に同じ産地・同じトレマトサウルス類とは言え、アリゲーターの様にガッシリしたErythrobatrachusとガビアルの様に吻部が細長いAphanerammaが混同されるとは、発掘当時に混乱があったのでしょうか?三畳紀前期の西オーストラリアは、他の発掘地でも大型両生類・ステレオスポンディルス類と魚化石が多く、陸生爬虫類は僅かしか報告されていません。どうやら浅い海や周辺の水域で大半が占められていた様です。Aphanerammaはスヴァールバルからも海生魚や初期魚竜等と共に化石が見つかっており、確かに海洋進出していた可能性が高い両生類です。

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