この画像を大きなサイズで見るタイムトラベルは、長いあいだSF小説や映画の定番の題材であり続けてきた。だが、現実の世界で本当にタイムマシンを作り、過去や未来へと自分自身を送り出すことができる日は来るのだろうか。
2006年、ウクライナの首都キーウに奇妙な身なりの男性が姿を現した。彼はセルゲイ・ポノマレンコと名乗り、1950年代のソ連の身分証明書を持っていた。
さらに首には、50年代当時の日本製のカメラをかけ、自分自身や恋人、そしてUFOと思われる飛行物体の写真まで撮影していたのだ。
あまりにも多くの、否定のしようがない証拠の数々。彼は本当にタイムトラベラーだったのだろうか…?
2006年のキーウに現れた1950年代のソ連人
2006年4月23日、ウクライナの首都キーウの路上に、ひどく混乱している様子の男性がいた。
男性の身なりはきちんとしてはいたものの、どこか古めかしい感じがした。そして首には、時代遅れのカメラを提げていたという。
通報を受けた警官がやって来て声をかけると、彼は自分の名前は「セルゲイ・ポノマレンコ」だと言い、通りや場所の名前を告げて、そこに行きたいと話したという。
だがその地名は、警官にとってなじみのないものだった。
後に調べたところ、通りも場所もすでに地図から消えて久しい、今では存在しない地名だった。
不審に思った警察官は、身分証の提示を求めた。彼が提示してきたのは、1950年代に発行されたソ連(現ロシア)の身分証だった。
記されていた名前は、間違いなくセルゲイ・ポノマレンコで、出生地はキエフ、つまり今のキーウとなっていた。
出生年は1932年とある。2006年なら74歳となっているはずだが、目の前の男性は20代にしか見えなかった。
警官は男性に精神的な問題があるのではないかと判断し、精神病院へと彼を搬送した。
この画像を大きなサイズで見るUFOを撮影した途端タイムリープした?
セルゲイは次第に不安そうな様子を見せ、警官に「今年は何年ですか?」と尋ねたという。
警官が「2006年4月23日」と答えると、彼は激しく動揺し、「ありえない」と何度も口走ったそうだ。
この奇妙な事例を調べるため、精神科医のパベル・クトリコフ医師が呼ばれた。セルゲイは診察室に入ると、周囲を注意深く観察している様子だった。
落ち着かない様子でセルゲイがソファに腰をおろすと、面談が始まった。クトリコフ医師が、どうやってここに来たのかと尋ねると、セルゲイはこう答えた。
ちょうど休日だったので、散歩に出て写真を撮ろうとカメラを持って家を出たんです。
すると空に、巨大な鐘のような形をした飛行物体が見えました。これまで見たことのないものだったので写真を撮ったんです
また、彼は一貫して、自分は1932年6月16日にキエフで生まれたと主張していた。それが本当なら、2006年には74歳になっているはずだが、どう見ても彼は若い。
本人の主張する「25歳」という年齢は、あながち嘘とは思えなかった。
この画像を大きなサイズで見る日本製のカメラの中身を現像した結果
セルゲイは自分の話が事実だと証明するために、首にかけていたカメラのフィルムを調べてほしいと頼んできた。
クトリコフ医師は、プロの写真家ワディム・ポズナー氏に依頼して、カメラやフィルムを確認してもらうことにした。
ポズナー氏によると、カメラに入っていたフィルムは、1970年代には既に製造が終了していたものだったという。
通常なら2~3年、冷凍保存してもせいぜい20年で劣化して使えなくなるといい、40年以上たっても新品同様の状態なのはあり得ないことだった。
さらにカメラ自体も、1970年代に生産中止となった日本製のカメラで、2006年の時点ではすでにコレクター向けの品だった。
だが、セルゲイが所持していたカメラもフィルムも、状態は驚くほど良好…というよりも、新品同様のものだったという。
この画像を大きなサイズで見る警察は、カメラに入っていたフィルムを現像することにした。出来上がった写真には、身柄を拘束された当日と同じ服装のセルゲイと、美しい女性が写っているものもあった。
その写真について質問されたセルゲイは、女性が自分の恋人のヴァレンティナ・クリシュだと語った。
新しいカメラを試したくて撮影した、ただのスナップ写真だと言うのが、彼の説明だったという。
この画像を大きなサイズで見る他の写真を調べてみると、そこ写っているキーウの街並みは、2006年のものとは明らかに異なっていた。
フィルムの保存状態を考えれば、これほど鮮明な写真が残っていること自体が信じがたいものだった。
さらにセルゲイの話を裏付ける写真も見つかった。現像された写真の1枚には、確かに巨大な鐘のような飛行物体、UFOのようなものが写っていたのだ。
この画像を大きなサイズで見るこの写真を見せられたセルゲイは、あのとき見た光景そのものだと話した。
写真を撮った次の瞬間、気がつくと周囲の景色が一変しており、見知らぬ場所に立っていたという。
一連の事情聴取や写真を見るかぎり、ポノマレンコがウソをついているとは思えなかった。
クトリコフ医師は、彼が撮影したという写真は本物であり、飛行物体はUFOだったと考えざるを得なかった。
忽然と姿を消す。元の時代へ再びタイムリープか?
それから2日後の2006年4月25日、セルゲイはクトリコフ医師との面談を終え、自分の病室に戻った。それが、2人の最後のやり取りとなった。
間もなく、病院の職員がセルゲイの姿が消えていることに気づいた。彼の病室の窓には鉄格子があり、そこから逃げ出すことは不可能だった。
彼が医師の部屋を出て自分の部屋まで歩き、中へ入る様子は監視カメラにもしっかり写っていた。だが、彼が部屋を出ていく様子は記録されていなかったのだ。
この画像を大きなサイズで見る実はその後の警察の調べで、1960年代のキーウで、彼と同姓同名の男性が行方不明になったという記録が残っていることが判明した。
だがそれがわかった時には、セルゲイは既に姿を消していた。そこで警察は、セルゲイの写真に写っていた女性、「ヴァレンティナ・クリシュ」を探すことにした。
そしてとうとう、警察は彼女を探し出すことに成功した。2006年当時、ヴァレンティナは既に74歳になっていた。
警察が彼女にコンタクトをとると、ヴァレンティナは写真に写っている女性が確かに自分であることを認めた。
彼女はアルバムを開き、1958年にセルゲイと一緒に撮ったという写真を見せてくれた。
そこにあったのは、セルゲイのカメラから現像された写真とまったく同じものだった。
クトリコフ医師が、セルゲイのカメラから現像した写真を見せると、彼女は驚き、どこで手に入れたのかと尋ねたという。
この画像を大きなサイズで見るヴァレンティナによると、セルゲイは1957年頃、数日間行方不明になったことがあったという。
後にどこにいたのか訪ねると、彼は「留置場にいた」と答えたそうだ。
さらに彼女は、セルゲイが当時、未来の話をしていたことを思い出した。電子レンジについて、電気を使って数分で料理ができる装置だと説明していたという。
映像を見ると、セルゲイが電子レンジに興味を示しているようなシーンも確かにあった。また、彼は「将来の技術」として、携帯電話や人工心臓についても語っていたという。
この画像を大きなサイズで見る実はTV番組の宣伝だった
この疑いようのない「証拠」の数々や、ヴァレンティナ本人の映像などから、「セルゲイ・ポノマレンコ」は本物のタイムトラベラーだと信じる人も多かった。
だが2023年になって、超常現象や未解決事件の検証を行うアメリカのYouTuberジョー・スコット氏が、この事件についての検証動画を制作することになる。
彼はその動画の中で、この「セルゲイ・ポノマレンコ」騒動の元ネタは、ウクライナのテレビ局1+1で2012年に放送された番組「Aliens」だとしている。
問題のセルゲイ・ポノマレンコの物語は、その第3話「The Time Traveler」で、ドラマ仕立てとして再現された内容だったのだ。
番組の冒頭では、「再現映像」であるという注意書きまで表示されていたという。
つまり、ネット上に広まった写真や映像は、番組用に制作された映像だったのだ。
さらに細部にも不整合が見つかっている。例えば身分証に押された印章は、当時のソ連の正式なものとは、はっきりと異なるデザインだった。
また、彼が調査した範囲では、実在の警察記録や、医師や写真専門家とされる人物の活動記録、当時の報道記事などは確認されていないという。
こうした点からスコット氏は、テレビ番組が都市伝説をもとに制作したフィクションが、インターネット上で事実のように拡散したのが、いわゆる「セルゲイ・ポノマレンコ」事件だと結論づけている。
もしこの結論が真実だったとしても、タイムトラベルは我々の夢でありロマンである。心のどこかで、「本当の話」だと信じたい気持ちも否定できない。
タイムトラベラー「セルゲイ・ポノマレンコ」の物語は、きっとこれからも都市伝説として、ネットの中で生き続けていくような気がするんだ。
















エル・プサイ・コングルゥ
端末員から監視局へ
現時間軸でのカバーストーリーの定着を確認しました
これにて任務を完了します
Ура ссср!