この画像を大きなサイズで見る野生では決して成立し得ないであろう、異種の動物間の友情が、飼育下という特殊な環境で実現してしまうことがある。
アメリカの動物保護施設に、かつて「クマとライオンとトラ」という、猛獣トップ3と言ってもいい組み合わせの仲良しトリオが存在した。
2001年に保護された3頭は、それぞれ出身地も生態も寿命も違う生き物たちだ。だが彼らの間には、友情とも家族愛とも言える深いきずなが結ばれていた。
2025年、最後まで生きていたクマのバルーがこの世を去ったことで、海外メディアでは再び彼らの物語が取り上げられるようになっている。
カラパイアでも以前少しだけ紹介したことがあったのだが、改めて3頭の物語を振り返ってみようと思う。
麻薬密売人宅から保護された仲良し猛獣3頭組
仲良し異種トリオ、通称「BLT(ベア・ライオン・タイガー)」が暮らしていたのは、ジョージア州ロカスト・グローブにある「ノアの方舟動物保護区(Noah’s Ark Animal Sanctuary)」である。
BLTを構成していたのは、アメリカクロクマの「バルー」、ライオンの「レオ」、そしてベンガルトラの「シア・カーン」の3頭だ。
彼らは2001年、アトランタで行われた麻薬捜査の過程で、密売人が違法に飼育していた地下室から保護された。
警察が踏み込んだとき、幼い3頭は悲惨な状態で閉じ込められていた。バルーは幼い頃に装着されたハーネスが身体に食い込み、取り外すためには外科手術が必要な状態だった。
レオは小さな箱に閉じ込められ、鼻にはひどい傷ができて、感染症を引き起こしていた。シア・カーンは痩せ細り、栄養失調と寄生虫に苛まれていたという。
自然界でなら、決していっしょに暮らすことなどありえない3種の動物たち。保護された当初、施設では当然この3頭を別々の区画で飼育するつもりだったという。
だがそこで予想外のことが起きた。彼らはお互いを探して吠えたり鳴いたりし、神経質になって餌を食べなくなってしまったのだ。
そこで施設のスタッフは、思い切った決断をした。3頭を一緒に、同じ場所で飼育することにしたのだ。
麻薬組織の地下室で暮らした数か月間は、彼らにとって地獄のような日々でしかなかった。そしておそらくその恐怖に満ちた時間が、彼らの間に切っても切れない絆を築いたのだろう。
3頭はいっしょに遊び、いっしょに食事をとり、寄り添って眠った。お互いにグルーミングをし、まるで家族のように過ごしていた。
15年後、別れのときが始まる
保護区で彼らは穏やかな生活を続け、地下室でのトラウマをすっかり乗り越えたかのように、幸せな日々を送っていた。
だが、保護されてから15年の月日が流れると、加齢は否応なく3頭の上に訪れ、少しずつ別れの日々が近づいてきた。
2016年初夏、レオは関節炎の悪化で体調を崩し、低カルシウム症や尿路感染症を併発。レオの身体への負担を考え、体格の大きい他の2頭はフェンス越しにしか会えなくなってしまった。
8月になってもレオの体調は元に戻らなかったため、原因を突き止めるための手術が行われることになった。
8月2日、バルーとシア・カーンは、レオが闘病している囲いの中へ「お見舞い」に。だが、これが彼らが外で触れ合う最期の機会となった。
11日、レオの開腹手術が行われた結果、肝臓の80%が腫瘍に侵されていることが判明。
既に手の施しようがなかったため、医療チームは安楽死の決断を余儀なくされた。享年は15歳程度であったと推定されている。
安楽死の直前、バルーとシア・カーンはレオにお別れをする機会を与えられた。スタッフは、2頭はレオが末期がんであることに気づいていたようだと語っている。
レオの死から2年が過ぎた2018年11月のある日、シア・カーンが突然ものを食べなくなってしまった。原因は歯の根に膿が溜まる歯根膿瘍によるものと思われた。
だがシア・カーンは脊椎の椎間板を損傷しており、鎮痛剤の投与が思うようにできなかった。
懸命の介護で一時は元気になったものの、12月に入ると再び容態は悪化し、一進一退を繰り返すように。
そして12月19日、シア・カーンはバルーに寄り添われながら、虹の橋へと旅立って行った。シア・カーンの年齢は17歳と推定されている。
そして2025年4月、バルーはスロープを降りている途中、転んで足を捻挫してしまった。
当初は大したことがないと思われたが、バルーの食欲は減退し、だんだん動けなくなっていった。
検査の結果、バルーの足は骨折していなかったものの、脊椎に問題がある可能性が高いことが判明。
5月7日付のInstagramへの投稿で、医療チームは苦渋の決断を下し、バルーを安楽死させたことを報告した。バルーの年齢は24歳程度と推測されている。
野生と飼育下では違ってくるが、アメリカクロクマの寿命は約15~25年、ライオンは約12~16年、ベンガルトラは約10~20年と言われている。
BLTの3頭は、幼少期を過酷な環境で送ったものの、保護されてからは仲良く穏やかな日々を送り、天寿を全うしたと言えるのではないだろうか。
在りし日の3頭の仲良し風景は、下の動画で見ることができる。
この保護区にはBLT以外にも、ベンガルトラのタイガー・リリーとライオンのリバティという、異種の仲良しペアもいた。
残念ながらタイガー・リリーは2020年にこの世を去ったが、リバティーは今も健在である。
ノアの方舟保護区では、動物たちの食費だけで年間1万ドル(約158万円)以上の資金を必要としている。
その他、医療費や施設費、人件費など、運営に必要な資金は大半を寄付に依存しているんだそうだ。
同保護区は火曜日から日曜日までは一般にも公開されており、園内のガイド付きツアーや家族連れで楽しめるプログラムも用意されている。
ジョージア州を訪れる機会があったら、ぜひ訪問してみてはいかがだろうか。
References: The Heartwarming Story of How a Lion, a Tiger, and a Bear Defied Biology and Became Best Friends















悪人に酷い飼われ方をしたのは不幸だが
ほんの少しの間でも三匹一緒の穏やかな晩年が過ごせてよかった
保護されたときは3頭とも1歳未満だったようだから
かなり早い時点で救出できたのは良かった
劣悪な環境で飼育された異種に強い絆が生まれるって、他の動物でもあったな……。
仲睦まじい姿にはにっこりするけど、そうなった背景を思うとしんどい。
保護飼育下という環境の為に人間がボス化して、3頭はその下の群れの仲間として同列化するのかも?
その麻薬密売人というのはどうしてそんなひどいことができるのか
他者への共感力が低すぎるでしょ
悪趣味な金持ち等にこうした美しい猛獣への需要があるんだろう。人間の業は計り知れない
戦友が亡くなっていって残された人を思い出しました。 年取ったせいか、涙を禁じ得ません
これ前も取り上げてなかった?
あっちで会えたかねえ…
みんなすぐに見つけて仲よく遊んでいるさ。
覚えてるよ!この三頭!酷い環境で寄り添って生きてきてやっと穏やかに暮らせるようになったの。
あれからずうっと一緒で幸せだったかな、イヤな思い出は消えていたかな、そうだったらいいな。
過酷な環境を共に耐えた、同志の絆だな。お互いの匂いや、鳴き声なんかのちょっとした変化で、そろそろお別れがわかるんだね。種属を超えて3頭でいる事が幸せだったんじゃないかな。今はもう苦しみのない世界に行けたんだ、と思う事にする。
虎の子供と黒猫の子供が額を付き合わせて
「どけよ魔法瓶」「そっちこそどけよ宅急便」とコメントがついてる画像を思い出した。
ライオン x タイガー = ライガー
クマ x タイガー = クーガー