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冬に白くならないホッキョクギツネが存在する

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(著) (編集)

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 色違いポケモンかな?北極圏に生息するホッキョクギツネの ”タイプ青” をご存じだろうか。「ブルーモルフ」と呼ばれる青色型の個体は、冬の毛替わりでも白くならない。

 一般的なホッキョクギツネ(白色型)は、季節に応じた毛替わりで毛色が変わり、冬は周囲の雪に溶け込むような白色になる。

 だが希少な青色型(正確にはグレーっぽい色)は、雪の中でもよく目立つ暗色のまま。にもかかわらず、白色型より繁殖率も生存率も高いとする研究もある。

 白と青。ホッキョクギツネが持つ2つの異なる色彩型にせまっていこう。

夏と冬で毛色を変えるホッキョクギツネ

 北極圏の動物たちは、極端な寒さや長い飢餓の季節を生き抜くために、驚くほど洗練された適応を積み重ねてきた。

 その中でもホッキョクギツネは、季節ごとに毛色を変える巧妙な戦略で知られている。

 ホッキョクギツネは短い鼻と短く丸い耳が特徴で、近縁種のアカギツネよりも小型。

 頭から長い尾の先までの全長は60cm前後で、そのうち半分が尾にあたる。体重は2.5~5kgほど。

 ホッキョクギツネの換毛期は夏と冬の2回。夏毛は5月ごろから7月にかけて生える短い毛で、冬毛の換毛は9月ごろから始まり、11月~12月までにはまた密集した下毛と長い保護毛で覆われる。

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冬でも白くならないホッキョクギツネ

 一般的なホッキョクギツネは、夏は岩場にもなじむような色になる。背中と大腿部が茶灰色になり、腹部を中心に両脇腹まで黄色味を帯びた色になる。

 そして冬は雪に溶け込む白になり、尾の先端に少しだけ黒い毛が生える。

 しかし、すべての個体がこのサイクルに従うわけではない。

 画像は写真家でYoutuberのMarek Jackowski氏 がスヴァールバル諸島で撮影した”白くない”ホッキョクギツネ。

 非常に珍しい「ブルーモルフ(blue morph)」の個体が飛び跳ねて狩りをしているようなシーンもおさめられている。

一年を通して暗い色の「ブルーモルフ」

 ブルーモルフと呼ばれる色彩型(モルフ)の個体は、一年を通して寒色系の暗色をしており、冬はわずかに色が薄くなる程度。

 その個体の割合は地域によるが、冬に白くなるホッキョクギツネの数パーセントほどと極めて少ない。

 またブルーといっても実際には青ではない。色の形容は見る人によるが、”冷たそうなダークグレー”や、”チャコールグレー”ともいわれている。

 北極圏の光の加減や周囲の氷雪により、その名の通り青みを帯びて見えるときもあるようだ。

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沿岸部に見られるブルーモルフ

 こうした暗色は真っ白な雪原では目立つが、沿岸部や群島といった環境ではむしろ自然に溶け込む。

 なおブルーモルフは、ホッキョクギツネの白色型(ホワイトモルフ)に対する分類名で、単発の変異種を指すものではない。

 個体数は少ないが、どちらも「ホッキョクギツネ」という種が明確に持つ、白色型と青色型の2種の色彩型であり、珍しい毛色のバリエーションみたいなもの。

 希少ながらも一定の割合で存在し、アイスランドやグリーンランド、アリューシャン列島の海岸など、雪の少ない地域では、ブルーモルフの個体が全体の1〜5%を占めるほどだという。

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11年の研究が示した意外な傾向

 興味深いのは、この希少なブルーモルフが生存に影響するかどうかだ。

 ノルウェーで11年間にわたり行われた研究では、特定の調査環境において、ブルーモルフの成体が、ホワイトモルフの成体より繁殖に成功する確率が高く、成体の生存率も高い傾向が示された。

 この傾向について研究者は、調査地ではホッキョクギツネの捕食者が比較的少なく、毛色によるカモフラージュの重要性が相対的に低かった可能性を指摘している。

幼獣の生存率による環境との微妙な関係

 一方で、幼獣の生存率は気温によって逆転する。寒冷な条件ではブルーモルフの個体が優位に立ち、気温が高い年には白い個体が有利になる。

 この結果は、毛色そのものよりも、環境や行動、生理的な特性が生存を左右する可能性を示唆している。 

珍しい毛色にとどまらない生存戦略の可能性

 ブルーモルフは、ただ珍しい毛色というだけでは語りきれない存在だ。

 北極では、毛色よりも行動や繁殖のタイミング、餌の変動への対応といった複数の要素が生存を左右する。

 幼獣の生存率が気温によって変わるという研究結果も、その複雑さを象徴している。環境が変われば有利な特性も変わり、同じ種の中に異なる戦略が共存する。

 私たちがイメージする白色と異なる色のブルーモルフは、北極という厳しい環境でホッキョクギツネが獲得したもう一つの生存戦略かもしれない。

【追記】(2026/01/10)
本文中の研究結果について、「ブルーモルフのほうが常に有利と読める」との指摘を受けたため、研究が特定の地域・条件下での傾向を示したものであること、および幼獣の生存率は気温条件によって逆転する点を明確にする修正を行いました。研究内容そのものの事実関係に変更はありません。

References: Iflscience / Onlinelibrary.wiley.com

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この記事へのコメント 16件

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  1. ニホンノウサギも白くなるのと茶色のままなのおるやん。動物番組とかのこの手話題の時に白くなるものと茶色のままのが混在して生息している映像のロケ地はだいたい長野の菅平。

    • +9
  2. 黒いホッキョクギツネもかわいいな

    • +23
  3. 青みがかった灰色をブルーって表現するよね西洋人
    ネコのロシアンブルーとかニワトリの羽色でもブルーダンとか
    ミンクだとサファイアなんて銘打ってる毛色もありますな
    たしかに「結構青いな!」ってなる灰色してる

    実はこの手のブルー(灰色)の被毛は黒の色素の混ざり具合で青みを感じるだけで
    青の色素は入ってないらしいですぜ

    • +17
    1. 日本で緑のことを青って言うように、ラテン語でも黒のことを青って呼んでたんだよ
      というか古代ローマには青を示す言葉がなくて、中世まで黒、灰色、茶色、緑、紫とかまとめて同じ言葉で呼んでた
      ラピスラズリの青色が流行るまでそこらへんはっきりしてなかったらしい

      • +14
    2. 日本では緑色を青と表現しますね
      信号機の青とか青々としたという表現とか

      以前飼ってたペルシャ猫はブルーという毛色の灰色の猫でした

      • +8
    3. 日本も、牛や馬の黒毛のやつは、たいてい「あお」って名前が付けられていたりしたぞ。

      なお、白馬の場合にも言う模様。
      正反対のようだけど、要は赤毛(茶色)じゃない無彩系の毛色は
      まとめて青分類にされている。淡い灰色毛とかも。

      • +9
  4. この所謂「青狐」
    興味のある方は、アリューシャン列島のひとつの島にたどり着いて越冬したベーリング一行の様子が書かれた「青狐の島ー世界の果てをめざしたベーリングと史上最大の科学探検隊」という、とても面白い(でも固有の動物を絶滅に導いてしまったところは、とても苦しくなりますが・・)本があります。

    • +5
  5. 毛色が変わらないのなら、スヴァールバル諸島唯一の猫と言われたケシャさんもホッキョクギツネで正しかったんだな
    元気かな

    • +4
  6. 青狐のほうが繁殖率生存率が高いというのは理論上おかしい。
    それなら青狐が希少なはずがない。

    • +4
    1. 特定の調査環境においてなんだよね
      雪が多い場所が多く
      そこでは、白い方が有利なんだな

      • +3
  7. 超長期、もしくは超広範囲に生息出来た場合に、季節や環境変動で、雪が少なく岩が多くなる様な状況になると、こういった個体の方が有利な状況が存在するのかもね、場合によっては白・青の個体数を逆転させて種としての存続に有利が生まれるとか。

    • 評価
    1. 「ハイイログマとホッキョクグマの雑種」に比べれば、単なる色違いなんですよね
      色によって生息場所を選ぶことができて交流がなくなることで
      その結果がハイイログマとホッキョクグマを別の種に分けたわけです

      • 評価

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