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恒星間彗星「3I/ATLAS」は氷の火山に覆われていた。表面から螺旋状のジェットを噴出

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3I/ATLASの予想イメージ図 AI-generated by Nano-Banana
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 現在、太陽系を通過中の観測史上3例目となる恒星間天体「3I/ATLAS」について、新たな事実が判明した。

 スペイン宇宙科学研究所の最新の観測によると、この天体は多数の「氷の火山」に覆われており、表面からガスや塵(ちり)、氷の粒子を激しく噴出している可能性があるという。

 2025年10月末に太陽に接近した際のデータを分析したところ、彗星の表面から螺旋(らせん)状に広がるジェットや、奇妙な尾が確認された。

 これらは星内部で起きた化学反応によって引き起こされた「噴出」であると考えられている。

 3I/ATLASは現在も移動を続けており、2025年12月19日には地球に最接近する予定だ。

表面を覆う「氷の火山」と螺旋状のジェット

 2025年10月29日、3I/ATLASが太陽に最も近づく「近日点」を通過した際、スペインのモンセック天文台にある「ジョアン・オロ望遠鏡」はその姿を捉えていた。

 彗星が太陽から約3億7800万kmの距離まで近づいたとき、その明るさは増大し、表面からガスや塵が放出され始めた。

 画像を解析した研究チームは、この噴出物が3I/ATLASの自転に合わせて渦を巻き、「螺旋状のジェット」を形成していることを確認した。

 ジェットとは、自転する彗星から噴き出したガスや塵が、回転するスプリンクラーのように螺旋(らせん)状に広がる現象のことである。

 さらに、通常の尾とは逆に太陽の方角へ伸びる「アンチテイル(逆向きの尾)」も観測されていたが、のちに尾は通常の向きに戻っている。

 スペイン宇宙科学研究所(CSIC/IEEC)の研究チームは、この現象を「氷の火山活動」によるものであると結論付けた。

 地球の火山が岩石の溶けたマグマを噴き出すのに対し、氷の火山は、氷が溶けた液体やガスを地下から噴き出す現象だ。

 今回の観測結果は、3I/ATLASの表面がこうした氷の火山で覆われており、そこから氷の粒子を含む物質が活発に噴出していることを示唆している。

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3I/ATLASの表面からは、渦を巻くような噴出物(ジェット)が吹き出しているように見える。Image credit: Josep M. Trigo-Rodríguez/B06 Montseny Observatory

太陽接近により内部で化学反応が起きた可能性

 3I/ATLASは、なぜ太陽に近づいただけでこれほど活発に物質を噴き出したのだろうか?

 研究チームは、その原因が金属の腐食に似た化学反応にあると分析している。

 3I/ATLASが太陽の熱を受けると、内部にあった二酸化炭素の氷(ドライアイス)が気体へと変化(昇華)し始める。これにより、固体の氷が溶けて生じた「酸化(サビ)を促す液体」が、天体の内部へと流れ込んだのだ。

 この液体が、内部に存在した鉄やニッケルなどの金属粒子と接触すると、金属が酸化(腐食)する反応が進む。

 この過程で「フィッシャー・トロプシュ反応(Fischer-Tropsch reactions)」と呼ばれる化学反応が引き起こされた可能性がある。

 この反応によって生じたエネルギーで内部の圧力が高まり、氷の粒子を含んだガスや塵が「氷の火山」から一気に表面へ噴出したのだと考えられている。 

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STEREO-A(太陽地球関係観測衛星)によって撮影された恒星間天体 3I/ATLAS Image credit: NASA/Lowell Observatory/Qicheng Zhang

3I/ATLASは南極で発見された隕石と成分が酷似

 3I/ATLASの正体を探るため、研究チームは天体から届く光の成分(スペクトル)を分析し、NASAが南極で回収した「炭素質コンドライト」と呼ばれる始原的な隕石のデータと比較した。

 その結果、3I/ATLASの成分は、南極の隕石コレクションに含まれていた「太陽系外縁天体」の破片と思われるサンプルと、非常に近い特徴を持っていることが判明した。

 太陽系外縁天体とは、海王星の軌道の外側を公転する、冥王星のような氷と岩石の天体の総称だ。

 はるか遠くの別の星系からやってきた3I/ATLASが、私たちの太陽系の端にある天体と驚くほど似た構造を持っていることに研究者たちは驚きを隠せない。

 惑星が作られる初期段階では、銀河の離れた場所であっても、似たような物質が生成されるのかもしれない。

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NASAが公開している3I/ATLASのイメージと軌道を示したインタラクティブ画像

2025年12月19日、3I/ATLASは地球へ最接近

 3I/ATLASは現在も猛スピードで太陽系内を移動中だ。今後のスケジュールとしては、2025年12月19日に地球に最接近し、その後2026年3月には木星付近を通過する見込みとなっている。

 ただし、この彗星は二度と戻ってこない「双曲線軌道」を描いているため、今回の通過が最初で最後の観測チャンスとなる。

 研究チームは、この天体が数十億年もの間、星間空間を漂い続けてきたと推定しており、その年齢は私たちの太陽系よりも30億年以上古い可能性もあるという。

 この「氷の火山」を持つ宇宙の旅人は、遠い銀河の記憶を私たちに見せつけ、やがて永遠に去っていくことになるだろう。

 この研究はプレプリントサーバー『arXiv』(2025年11月25日付)に掲載された。

References: Arxiv

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この記事へのコメント 16件

コメントを書く

  1. 直径19kmなので市町村くらいの大きさですよね
    中で宇宙人たちが生活してそう

    • +6
  2. パンスペルミア説を思い浮かべてしまいました

    • +5
  3. 12月19日、よおおおく見たら、宇宙人が手を振っているのが見えるよ。

    • +2
  4. 油断してたらブラックホール並のジェットが地球の核に直撃
    またビッグバンからやり直し
    怖いよね

    • -9
  5. あくまで自然物として誘導しているように感じる。物理法則を無視している11項目の説明無し。

    • +1
  6. あんなサイズの天体で火山とかありえんわ。スラスターだろ?

    • -4
  7. ネェ、ローブ博士、あなたも最初からわかっていたんでしょう!
    それでも敢えて世界中の人々に夢を与えたのはいいことだと思うよ!

    • 評価
  8. 引力もなく、雨も降らず、小さな丘くらいの天体に宇宙人が住めるわけもなく、
    生物が産まれるわけもないのにね笑笑

    • +2
  9. 宇宙船だとしたら少なくとも30億年以上歴史がある文明ってことになるのか
    地球人に勝ち目なさすぎる

    • 評価

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