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コンゴウインコは他者のやり取りを見て学ぶ「第三者模倣」ができる。人間以外で初観察

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アオキコンゴウインコ Photo by:iStock
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 誰かのやり方を見て、それを真似して覚える動物がいることはこれまでにも知られていたが、「第三者模倣」と呼ばれる、他者同士のやり取りを観察して学ぶ方法は、人間だけが持つ特別な能力だと長く考えられてきた。

 ところが、コンゴウインコの一種、アオキコンゴウインコにこの能力を持っていることが科学的に確認された。

 研究者たちは4,600回以上にわたる行動観察を通じて、この鳥が、直接ではなく、間接的に、人間と他のインコのやり取りを観察するだけで、正しく行動を学習できることを発見したのだ。

 この研究は『Scientific Reports』誌(2025年9月4日付)に掲載された。

「ただの物まね」とは違う、第三者模倣のしくみ

 「第三者模倣」は、動物が単に誰かの動作を真似するのとは根本的に異なる。

 たとえば、サルが人間の仕草を真似したり、オウムが言葉を真似する行動は「第二者模倣」と呼ばれる。これは、相手が自分に向けて何かを見せてくれたとき、それを直接学ぶというしくみだ。

 それに対して「第三者模倣」は、自分が直接教わっていないにもかかわらず、他者同士のやり取りを間接的に観察するだけで、そこからルールや行動の意味を理解し、自分でも同じ行動ができるようになるというものだ。

 人間の子どもが、他の子と先生のやり取りを見て学ぶのと似た仕組みで、これまで動物にはほとんどできないと考えられてきた。

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Photo by:iStock

アオキコンゴウインコは第三者模倣ができること証明

 マックス・プランク生物知能研究所をはじめとする、ドイツ国内の複数の研究機関に所属する研究チームは、アオキコンゴウインコ(Blue-throated Macaw)を対象に4,600回以上もの実験を行った。

 研究チームは、アオキコンゴウインコを2つのグループ(AとB)に分けた。

 Aグループには、透明な仕切りの向こう側で、仲間が対面する人間から手信号を教わっているところを観察させた。

 手信号は5種類で、その動作は、羽を逆立てる、体を回転させる、鳴く、片足を上げる、羽ばたく、の5つである。

 一方、Bグループのインコには、仲間が手信号を覚えている様子を見せなかった。

 その後、同じ手信号を両グループに送ったところ、Aグループのインコは、何をすればよいかを正しく理解し、習得までの時間も短かった。

 一方、Bグループのインコは手信号の意味をなかなか理解できず、習得に時間がかかった。

 この違いから、他の個体が人間とどのようにやり取りしているかを観察するだけで、インコたちはその意味を理解し、自分の行動に応用できたことが明らかになった。

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人間以外で初めて証明された第三者模倣

 アオキコンゴウインコは、南米ボリビアの限られた地域にのみ生息するコンゴウインコの一種だ。体長は約85cmほどで、鮮やかな黄色の顔と、青い喉元が特徴で、絶滅が危惧されている希少種だ。

 寿命は野生下で40年程度、飼育下で60年程度。中には70年生きる個体もいる。

 野生では小さな群れで暮らし、音声や動作による高度なコミュニケーションを行う。コンゴウインコの仲間は知能が高く、道具の使用や音声模倣なども確認されており、社会的学習には適した種といえる。

 そして今回、アオキコンゴウインコは、人間以外の動物で第三者模倣が確認されたのは初めてのケースとなった。

 非常に優れた言語理解能力や象徴記号を使ったコミュニケーション能力にたけた、霊長類のボノボのカンジ(KANZI)も第三者模倣ができた可能性があったかもしれないが、他者同士のやり取りだけを観察するという設定の実験が行われたことがないので、研究報告がなされておらず、正式には証明されていない。

 KANZI の研究は主に「指示された行動を模倣する」「人との言語的や象徴的なやり取りを通じて学ぶ」というタイプの観察学習が中心で「第二者模倣」に近い条件だ。

 第三者模倣の実験を行うには、「示す・観察する・報酬や指示なしに見ただけで学ぶ条件」を設計する必要があり、そのような条件を満たした実験が KANZI に関しては公表されていないようだ。

 研究チームは、インコたちが新たな社会環境に素早く適応するため第三者模倣を習得したと考えている。観察だけで群れのルールや行動を学べるため、新しい群れでもすぐに馴染むことができるからだ。

 さらに、こうした行動が群れの中で代々伝えられていけば、鳥たちにも独自の文化や伝統が形成されている可能性がある。

第三者模倣ができる動物は他にもいるかもしれない

 論文では「人間以外の動物でも、目的のない動作に対して第三者模倣が可能であり、これにより集団ごとの文化的慣習に迅速に適応できることが示された」と結論づけられている。

 更に研究チームは、この能力がアオキコンゴウインコに限られたものではないと考えている。

 今後は他のインコ類や霊長類などにも対象を広げ、観察による学習能力の広がりを調べていく予定だ。

 実際に「第三者模倣」は調べられていないだけで、実は他の動物たちもできる可能性は高い。

 カラパイアが紹介した事例では、足を怪我した犬がやさしくされているのを見て、足を引きずるようになった猫の話なんかもある。

追記(2025/09/13)ボノボに関して、第三者模倣の実験が行われたことがなかった記述をいれて再送します。

References: Macaws learn by watching interactions of others, a skill never seen in animals before / Nature

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この記事へのコメント 16件

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  1. 小さいのかインコで
    このこサイズはオウムと違うの?

    • +2
    1. 小さいのがインコで大きいのがオウムだと思われがちで、大体の場合はそのイメージも正しいけど例外はある(わかりやすい例外がこのコンゴウインコ)
      確実な見分け方は、頭に冠羽があるのがオウムで冠羽がないのがインコ
      名前に「インコ」とついてても、オカメインコやモモイロインコは冠羽があるから本当の分類上はオウムなのはまあまあ有名な話

      • +9
    2. >オウムはその特徴的な冠羽(crest)と湾曲したくちばしにより、容易に識別できる。オウム科で最小の種であるオカメインコは小型だが、一般的にオウムはインコよりも大型である。羽毛の色彩はインコと比べて地味な傾向があり、主に白色、灰色、または黒色を基調とし、冠羽や頬、尾羽などに彩色が見られる。
      >インコ(鸚哥/音呼、英: true parrots)は、オウム目(Psittaciformes)におけるオウム科を除く広義の“インコ科”(Psittacidae)に属する鳥の総称である。
      一般的なオウムは、オウム目オウム科
      オカメインコはオウム科
      コンゴウインコはオウム目ヨウム科(広義の“インコ科”)
      大きさでの区別は当てにならないみたいですね

      • +5
  2. 犬も猫もドア開けるけどな
    誰も教えてないけど
    カゴやゲージの鍵だってそう、犬猫小鳥ほか

    モデリング学習で一括りでいいのに
    条件反射2種ほど違うなら別だが
    分ける意味はないと思う

    • +10
    1. それはドアを開けている人間の真似をしてるから第二者模倣な。
      第三者という言葉の意味から学んだ方がいい。
      第二者模倣と第三者模倣の違いが理解できてないから、当然分ける意味も理解できてないんだよ。

      • -6
  3. 冠羽があるのがオウム、
    無いのがインコです。
    どちらもオウム目。

    • +10
  4. 「人間以外で初めて観察された第三者模倣」というのは誤りです。ボノボにて既に確認されています。Kanziで検索してみてください。

    • -5
  5. オカメインコ辺りのせいだろなサイズでオウム、インコわけちゃうの

    • +3
  6. 人間が仲間の鳥を世話して餌をあげているのを見て、病気のふりをするカラスの動画があったけどアレとは違うのかな

    • +4
  7. 腕が羽に進化しなかったら人類並みに賢くなったかもなぁ。

    • +2
  8. 犬が屋台に木の葉を持ってきて食べ物と交換してもらおうとする動画とかあるよね?あれも第三者模範じゃないの?

    • +5
    1. 沢山の犬について、それができるかどうかなんだよね

      • 評価
  9. 犬猫を多頭飼いしてると
    他の子に怒ったり教えたりした事を真似したり
    自分は怒られないようにしたり学習する子いるよね。

    賢いと言われない犬種とかでもそうなんだから
    シェパードやラブラドールなんかで観測してみてほしいな。

    • 評価

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