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ケルト人戦士像を含む約2000年前の大量の遺物がドイツで発見される

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(著)

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修復後のケルト人戦士の小像/ Image credit: Bavarian State Office for Monument Preservation
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 ドイツ・バイエルン州マンヒングの古代遺跡で、紀元前120年から60年ごろのものとされるケルト人戦士の青銅像が発見された。

 像は高さ7.5cmの小さなものだが、剣と盾を構えた動きのある姿勢や、鎧をまといながら下半身が裸という奇妙なデザインが学術的にも注目されている。

 この像を含め、遺跡からは4万点以上の遺物が出土しており、鉄器時代におけるヨーロッパ最大級のケルト人都市の生活、宗教、交易の実態が明らかになりつつある。

 この発掘調査はバイエルン州文化財保護局と考古学専門企業「Pro Arch Prospektion und Archäologie GmbH」が2021年から2024年にかけて実施したもので、2025年8月13日にプレスリリースが発表された。

ケルト人とは?

 今回の出土品はケルト人によって作られたものだが、「ケルト人」という名称には注意が必要だ。

 ケルトという語は、古代ローマ人が自分たちの支配圏外にいた未知の人々を指して使った「Celtae(ケルタイ)」という呼称に由来する。もともと、特定の民族を示す正式な名称ではなかった。

 現在の歴史学では、ケルト人とはインド・ヨーロッパ語族に属するケルト語を話していた人々の総称とされている。

 彼らは共通する言語や装飾、宗教観を持っていたが、地域ごとに異なる社会や文化を築いていたことから、単一の民族ではなかったと考えられている。

 また、古代ローマ人はケルト人の一部を「ガリア人(Galli)」と呼んでいたが、これは現在のフランス周辺に住み、ガリア語(ゴール語)を話していた人々に限定された呼称であり、ケルト人全体を指すものではない。

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ケルト人の分布 青 – 紀元前1500年から紀元前1000年 ピンク – 紀元前400年 WIKI commons / CC BY-SA 3.0

謎めいたケルト戦士像

 発掘された戦士像は、高さ7.5cm、重さ55gの小さな青銅像である。

 剣と盾を持って前に踏み出すような躍動感あるポーズをとっており、解剖学的なディテールも極めて精巧に造形されている。

 最大の特徴はその服装で、胸部には鎧がある一方で、下半身は完全に裸という非対称なデザインになっている。

この奇妙な意匠は、古代ギリシャにおいて裸体が勇気や力の象徴として美術に表現されていたことと関係している可能性がある。

 実際、ケルト戦士がギリシャ軍で傭兵として戦っていた記録もあり、地中海世界との文化交流がうかがえる。

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発見されたケルトの戦士像。現在、バイエルン州文化財保護局に展示されている

高度な金属加工技術を持っていた

 像は、蝋で作った原型を粘土で覆い、焼いて中の蝋を溶かし出した後、空洞に青銅を流し込む「ロストワックス鋳造法(ろう型鋳造法)」で作られていた。

 この技術は、非常に細かい形状を金属で再現することができる高度な鋳造法で、古代エジプトやギリシャなどでも使われていた。

 X線分析により、像の内部まで完全な青銅製であることが確認されており、当時のケルト社会が高度な金属加工技術を有していたことを示している。

 頭部には小さな輪があり、装飾品として身につけられていた可能性のほか、宗教的あるいは儀式用の道具だったとする見方もある。

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左:修復前の像。右:像のX線写真 、バイエルン州文化財保護局

アルプス以北最大のケルト人都市

 この戦士像が発見されたマンヒングのオッピドゥムは、紀元前2世紀に繁栄した鉄器時代最大級のケルト人都市である。

 発掘された面積は6,800平方mにおよび、住居、作業場、倉庫、道路などが計画的に配置されていたことから、当時すでに高度な都市設計が行われていたことが分かる。

 出土した金属製品は15,000点以上。その多くが金属の再利用によって作られており、リサイクルの概念が存在していたことを示している。

保存処理前には2,034枚のX線写真が撮影され、構造や材質の詳細が分析された。

食生活と家畜利用の新発見

 今回の調査では、食生活に関する重要な知見も得られた。

 初めて魚の骨とうろこが出土し、ケルト人がパール川やドナウ川の淡水魚を食していたことが確認された。

 また、馬は主に農作業や輸送に使われ、寿命を迎えた後に食用とされた。羊やヤギは肉ではなく、毛や乳の供給源として飼育されていたことも明らかになった。

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発掘中に発見された動物の骨は、ケルト人の食習慣の証拠となる バイエルン州文化財保護局

埋葬儀式の痕跡

 遺跡内の一角では、井戸のような構造をした埋葬地が発見された。

 この埋葬地からは、3人分の人骨、牛・豚・羊の骨、32点の金属器、50点以上の土器片がまとまって出土しており、2体の人骨はほぼ完全な形で並んでいた。

 このような埋葬は、神への供物や儀式など、宗教的な行為だった可能性が高いと見られている。

 これはヨーロッパ各地の鉄器時代ケルト遺跡と共通する特徴であり、当時の精神世界の豊かさを象徴している。

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少なくとも 3 人の人間の遺骨と多数の動物の骨を含む儀式用の埋葬地

都市の栄光と終焉、失われた財宝

 マンヒングの都市は紀元前4世紀末に成立し、紀元前2世紀には政治・経済の中心地として栄えた。

 最盛期には400ヘクタールを超える防壁に囲まれ、最大で1万人の人口を抱えていたと推定される。

 しかし、紀元前1世紀半ば以降、都市は徐々に衰退し、人々は周囲の小規模な集落へと分かれていった。

 しかし、紀元前1世紀半ば以降、都市は徐々に衰退し、人々は周囲の小さな集落へと移り住むようになった。

 なお、1999年にはこの地で、483枚の金貨と3.7kgの金塊からなるケルト財宝が発見されたが、2022年にマンヒング博物館から盗まれてしまった。

 犯行は短時間で行われ、博物館の通信を遮断したうえで、複数の人物が計画的に金貨を盗み出した。

 その後、ドイツ警察によって容疑者4人が逮捕されたが、盗まれた財宝のほとんどは、金を再利用できるようにするために犯行グループによって溶かされ、元の姿を失ってしまったようだ。

References: Blfd.bayern.de / Blfd.bayern.de / Ancient Origins

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この記事へのコメント 16件

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  1. はえー、紀元前にこんな小さいフィギュアみたいなの作るって凄いっすねぇ
    頭の輪っかの用途がすげー気になる

    • +6
  2. 当時の偉い人のコレクターズアイテムっぽい雰囲気はある
    頭の丸カンとか集めさせる気まんまん

    • +3
  3. ケルトの宗教って何だろう。
    アイルランドのケルト人はドルイド教らしいけど全て口伝だったからどれだけ正確に残っているか分からないからね。ケルトの分布は広かったし複数の部族がいたらしいからそれぞれ宗教も違っていたと予想するのだけれど謎なんだよね。

    • +4
    1. 記事中にある通り地域によって変わるんだけど、概ね自然崇拝を基にした多神教と理解して良いんじゃないかな?
      日本で類似の信仰を探すとアイヌの宗教がかなり近いと個人的に思う。
      ドルイドとしてまとめられているなら神道かな?

      あとは、地母神信仰的な流れで女神信仰があったと思うんだけど、この辺は記憶があやふやでちゃんと調べてない。

      • +1
  4. ケルト人が武器の類いを持ってたなんて知らなかった。
    ゲルマン人に侵略されて追いやられたりとかいう聞きかじりの知識だけで、てっきり武力はほとんど持っていなかったんだと思い込んでた…
    てかどうせなら下半身もちゃんと防御しようずw

    • +2
  5. メタルフィギュアってこんな大昔からあるんだなあ

    • +2
  6. 昔のヨーロッパで男は長い上着のようなものを着てパンツやズボンの類は後々着用するようになったようだから 下半身はぶらぶらしてたと読んだ覚えがある。

    • +3
  7. ブレンヌスの率いるガリア連合軍はテルモピュライでギリシア連合軍と戦っている。狭隘な地形では数的有利を活かせず、かつてペルシア軍が使った抜け道を見つけたけど察知されて無傷で逃げられてしまった。

    • +1
  8. 剣で戦う人は、鎧を着ている時と、服装だけの時で剣の使い方が大幅に変わるのは日本も西洋もおんなじなので、裸なのはどっちかというと象徴的な意味合いでの表現かな?

    • +1
  9. 古代のトレーディングフィギュアって考えるとワクワクするな。

    • +1
  10. ケルト人は遺伝を見たら海を渡っていなかったっていう情報もあったりする。
    それが本当なら、アイルランドやスコットランド等に昔からある音楽や神話は偏った名前で呼ばれていることになる。
    いずれにしても、古代のケルト人の遺物が出てくるのは喜ばしいことだ。

    • +1
  11. どうしてこう、物を盗む人って愚かに感じるんだろう。
    溶かしちゃった後の金より遺物としての金の方が『価値』があるって感じるんだけどな〜。

    • +6

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