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本物の三葉虫の化石を加工した古代ローマのお守り、スペインで初の発見

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(著) (編集)

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Credit: Adolfo Fernández-Fernández / CC BY 4.0
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 スペイン北部ガリシア州のローマ時代集落跡で、約4億5000万年前の三葉虫の化石を加工し、お守りとして使用していた証拠が初めて発見された。

 「ア・シブダ・デ・アルメア(A Cibdá de Armea)」で発掘されたのは、オルドビス紀(約4億5000万年前)に生息した三葉虫の仲間の全長4cmの断片で、裏面には人の手で削られた痕跡が確認されており、1世紀から3世紀頃に加工された可能性が高いという。

 分析の結果、この化石はスペイン中部から約430kmの距離を運ばれてきたことが分かっており、当時いかに珍重されていたかを示している。

 今回の発見は、古代ローマにおいて先史時代の化石が霊的な力を持つと信じられていたことを示す世界初の直接証拠となる。

 この研究は『Archaeological and Anthropological Sciences』(2025年7月15日付)誌に掲載された。

ローマ時代の遺跡から見つかった三葉虫の化石のお守り

 今回見つかった化石は、オルドビス紀に生息していた海生節足動物・三葉虫の一種三葉虫の仲間「コルポコリフェ属(Colpocoryphe)」のものだ。

 スペイン・ビーゴ大学の考古学者アドルフォ・フェルナンデス=フェルナンデス氏らの分析によれば、1世紀から3世紀頃に金属や革の枠に取り付けられ、アクセサリーやお守りとして使われていた可能性が高いという。

 注目すべきは、その裏面に明らかに人の手で削られた痕跡が最大7か所あったことだ。

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発掘された化石は、約4億5000万年前に生息していた三葉虫の仲間のもの/オルドビス紀(約4億5000万年前)に生息していた三葉虫の仲間「コルポコリフェ属(Colpocoryphe)」のもの / Image credit:A. Fernández-Fernández et al./Springer Nature LINK

 古代ローマ人は化石に神秘的な力が宿ると信じており、とくに三葉虫の節状の背中は鎧をまとった昆虫のように見えることから、強い守護の力があると考えられていた可能性がある。

 古代文献にも、大型の化石が神話上の巨人や英雄の骨とされ、小型の無脊椎動物の化石がお守りとして利用されていたことが記されている。

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アルメアで発見された三葉虫化石がアクセサリーとして使用されていた様子を再現したCG。
a~b:中央に開けられた穴を通して三葉虫を取り付け、裏側にもう一枚の革を縫い付けた革製ブレスレット。
c~e:化石を銀などの金属製フレームに組み込み、ペンダントにしたもの / Image credit:A. Fernández-Fernández et al./Springer Nature LINK

430kmを越えて運ばれた貴重な化石

 岩石成分の分析から、この化石はスペイン中部のトレドやシウダ・レアル地方で産出したものと一致した。

 発見地のアルメアまでは約430km離れており、おそらく古代ローマの交易路「銀の道(Vía de la Plata)」を経由して運ばれてきたとみられる。

 長距離を移動してきた事実は、この化石が当時どれほど貴重視されていたかを物語っている。

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image credit:Pixabay

太古の化石が伝える古代ローマ人の文化

 今回の化石は、古代人が三葉虫化石を加工していた世界で12番目の事例である。

 これまでには、フランス旧石器時代の1万4000年前の三葉虫ペンダント、中世エストニアの墓地から出土した護符、アメリカ先住民族ユート族の「石になった水生昆虫」のお守りなどが発見されていたが、古代ローマ文化に直接結びつく例は今回が初めてだ。

 また、三葉虫の節状の形は、古代ローマの装飾品デザインにも影響を与えた可能性がある。

 考古学的調査から、当時は「三葉虫のビーズ(Trilobitenperlen)」と呼ばれる節模様を模したガラスや黒玉(ジェット)製のビーズが帝国各地で大量生産されていたことが分かっている。

 黒玉(ジェット)とは、古代に沈んだ木が長い年月をかけて炭化した黒色の宝石状の素材で、軽く加工しやすく、磨くと美しい光沢が出るため、古代ローマでも人気があった。

 これらのビーズは女性や子どもの間で広く流行し、本物の化石よりも入手しやすく、同じ守護や魔除けの力が宿ると信じられていた。

 一方、今回発見されたアルメアの三葉虫化石は、最終的に陶器やコイン、動物の骨などと一緒に廃棄されていた。装飾枠が壊れたり、持ち主が亡くなったりして、お守りや装飾品としての役割を果たせなくなった可能性がある。

 それでもこの遺物は、約2000年を経て現代に姿を現し、古代ローマ人が太古の生き物の存在を理解し、それを信仰や日常生活に取り入れていたことを示す貴重な歴史的証拠となっている。

References: Springer.com / Roman Amulet Crafted From Trilobite Fossil Discovered in Spain / Roman Trilobite Amulet: First Ancient Fossil Jewelry Found in Spain

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この記事へのコメント 18件

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  1. 大昔の生き物だと認識していたとしたら、神話の黄金時代の遺物みたいな扱いだったんだろうか

    • +13
  2. 素敵。
    今でも、お守りとして使いたいな。

    • +13
  3. ノジュールから現れる化石
    それは神秘だよね

    • +9
  4. 当時のローマに生きていた学者プリニウスはその著書「博物誌」で化石について記述している
    ウニの化石などを「カメの卵が石化したもの」というように、やはりすでに生物的なものが石化した存在だと考えていたようだ。
    ただし、水晶を「氷が石化したもの」とも記述しているので現代の我々が考えているような化石化現象とは認識が異なるのだろう。

    • +25
    1.  コカトリス・バジリスクやメデューサのような石化能力を持つ存在を思わずにはいられなかったのでしょうね

      • +7
    2. 琥珀は「中に虫が入っていることがあるし、擦ると木みたいなにおいがするから、これは樹液が石化したもの」って書いてあるんだよな

      • +9
  5. メデューサに石にされたでっけえダンゴムシかなんかだと思ってたのかねえ

    • +14
    1. 視力の悪いダンゴムシが石になるほどダンゴムシと見つめ合うメデューサを想像したらかわいい

      • +5
  6. 所謂発掘が行われていたなら既に掘り起こされて忘れ去られた現代では未知の化石もあるのかなあ

    • +3
  7. 宝飾品として使うための加工が行われているようだから
    ブレスレットやペンダントとしての復元図があるわけか
    化石そのものに価値があるから
    発見場所のゴミ捨て場に捨てられるようなものじゃない
    だから、紛失した結果の可能性もあるってあるな

    • +3
  8. むしろこの道具どう使ってたのだ。
    装身具っぽくもあるけど…

    • +1
    1. よく読めブレスレットとペンダントって書いてあるやん

      今でもCreemaとかで似たの売ってる。

      • +6
      1. ほんとだ、ブレスレットって書いてあるね。
        とすると、この三葉虫めちゃくちゃ小さいのか。

        どっちかというと頭に巻くとか腰に巻くの想像してた。
        ベルト長いし

        • +3
  9. 黒玉 仙台城の裏の川に化石林が
    あると聞いたので見に行ったが良くわからず。そばの土産屋で炭化した珪化木を磨いて
    ブローチにしたのを売ってたので
    母の土産に買って帰りました。

    • +7
  10. アンモナイトはよく知られてたもんな
    語源も羊の角を持つ神様アンモーンの角だし

    • +6
  11. 三葉虫の加護を得た
    防御力が3上がった
    石化防御が3上がった

    • +6

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