メインコンテンツにスキップ

スイスの酪農家がサイバー攻撃を受け、母牛とお腹にいた子牛が死亡

記事の本文にスキップ

30件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 ITだのDXだのへの取り組みが、いろんな分野で当たり前のように行われるようになってきた今日この頃。

 これまでサイバー攻撃なんかには縁がないというイメージがあった業界にも、ハッカーたちの魔の手が迫っている。

 スイスのとある酪農家では、オンラインを利用した搾乳ロボットや生体情報を記録するシステムがランサムウェアの攻撃を受け、実際に牛が死亡するという事件が起きていた。

スイスの酪農家がサイバー攻撃を受けシステムダウン

 スイスのハーゲンドルンという街で酪農家を営むヴィタル・ビルヒャー氏は、最近搾乳ロボットのオンラインシステムからデータが届かなくなったことに気づいた。

 データにアクセスしようとしても、ディスプレイには何も表示されない。通常ならそれぞれの牛の名前や体重、搾乳した乳量などが表示されるはずなのだ。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:photoAC

 最初は単なるシステム障害だと思ったビルヒャー氏がメーカーに連絡したところ、実は故障などではなく、外部からハッキングされていたことが判明した。

 ハッカーはランサムウェアを仕込んでおり、1万USドル(約150万円)と引き換えにロックを解除すると要求してきた。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:photoAC

 ビルヒャー氏は当初、この要求を受け入れることを拒んだ。以前のバージョンのソフトウェアを入れることで、前年のデータは回復できたからだ。

 もともとオンライン搾乳システムを導入するまでは、70頭以上いる牛たちの管理は手動でやっていたのである。今すぐにシステムが復旧しなくても、大きな問題はないと思われた。

最新のデータが得られず、牛の母子が命を落とす結果に

 だが、この選択が深刻な結果をもたらしてしまう。ビルヒャー氏はシステムを通じて牛たちのリアルタイムの生体データを受け取れなくなっていたため、緊急事態をすぐに認識することができなかった。

 もっとも重要となる、現在どの牛が妊娠してどれくらい経過しているのかがわからなくなってしまったのだ。

 ある日、1頭の牛が床に横たわったまま動かなくなってしまった。その牛は妊娠しており、胎内で子牛が死んでいたのだ。

 母牛を救うために、あらゆる手を尽くしたが、結局、安楽死させるしかなかったという。

 結果として母子2頭の命が失われ、今回の攻撃でビルヒャー氏が被った損害は6,000フラン(約102万円)を超えることに。

 ここには牛たちの妊娠状態を把握するために獣医に依頼した診察費用と、新しいコンピューターの購入費用も含まれる。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:photoAC

農家にもサイバーセキュリティ対策が求められる時代

 実は同様の事件が、2023年末にイギリスでも報告されている。メールで送られて来た添付ファイルをクリックしてしまいネットワークがダウン。搾乳の順番や、トラクターによる畑の作付け状況がわからなくなってしまったという。

 搾乳ロボットは日本でも導入するところが増えており、人手不足の解消や作業時間の短縮など、省力化に大きな効果を発揮しているようだ。

 1頭の搾乳にかかる時間は10分程度。牛にとってもストレスが減るというメリットもあるらしい。

 この搾乳ロボットの機能は、搾乳を行うことだけではない。1頭ごとの搾乳回数はもちろん、搾乳速度や搾乳時間の偏り、乳電気伝導度といったさまざまなデータを集めてくれる。

 さらに体温や心拍数、反芻回数、餌を食べる頻度や量、また歩数といった牛の活動度など、個々の牛の健康に関する生体情報も集めることができ、病気の早期発見などにも役立てられているのだ。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Pixabay

 農家でのIT導入が進む中、セキュリティやデータ保全への認識の甘さに付け込んだハッカーたちに、標的にされるケースも増えているそうだ。

 今後は農家と開発者が協力して、サイバー攻撃の脅威に対抗する手段を構築していく必要があるようだ。

References: Ransomware attack paralyzes milking robots — cow dead / Hacker violano robot mungitura e chiedono riscatto, una mucca muore / Hacker violano robot mungitura e chiedono riscatto, una mucca muore

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 30件

コメントを書く

  1. ひでぇなこいつら。 金を脅し取る為に個人情報ばら撒いたりPC使えなくするだけじゃなくて生命まで奪うのかよ。

    • +7
    1. >>1
      アメリカだと直球で病院狙うよ、命に代えられないから間に交渉人入れて払うんだとさ
      まあその交渉人が犯人とグルじゃないって保証はないんスけどね
      ランサム使ってんのはガチの非人間的な奴等じゃけえの

      • +5
  2. こういう緊急事態に備えて、ホワイトハッカーさんたちが助けてくれるシステムを国が作れないものだろうか。

    • +3
    1. >>3
      無理。上は爺さんと婆さんばっかだから。

      • -3
  3. 便利な時代になったがイヤな時代にもなったな

    • +5
  4. 支払ったらまた脅されるだけなので選択肢無いね
    ソフト会社やエンジニアが頑張っても使う人が迂闊じゃどうしようもない
    病院や工場なんかはコンシューマみたいに独自のハードで管理できるようにすると少しは安全なのかね

    • +5
    1. >>5
      ある意味、身代金よりも安く再構築できたから牛の機会損失分がいくらかわからないけど意識付けの授業料としては、身代金を払うよりマシだと思う。というか自分ならそう解釈することにして気持ちを切り替えるかな。
      悔しいけど身代金の金額はいいところを突いてるとは思う。でも絶対に払ってやるものかとも自分に置き換えたら考えるね。

      • +2
  5. 電子データと一緒に耳標と名前ごとに紙用意して各種履歴を書き込んで行くのが一番だぞ。
    家ではそうしてた。

    • +1
  6. 見境なさすぎ。食料に手を出すとか、遠回りに自分の首を絞めてることに気づいてほしい。

    • +3
    1. >>7
      やってるのが犯罪者だからいかにもバカで外道なことだと認識しやすいけど、
      目先の利益のために自分の存立基盤すらも脅かす、ってのは
      環境破壊とかで現代文明がやってることと基本的に一緒なので、実は他人事じゃないのよね

      犯罪者だろうが一般社会だろうが、ブレーキのない資本主義を原動力にしてる限りこれはもうどうしようもない

      • +2
  7. あまりにも汎用的なOSを多くのシステムで稼働させすぎなのでは?
    まだ工場ではPC-98が稼働しているという話を聞く。
    おそらくMS-DOSならこんなことにならなかったのでは。

    • -3
  8. 耳標とペンと帳面と記憶で管理すればシステム導入費も維持費も電気も要らない
    ハッカーとかからの攻撃も受けないよ
    以前はそうやってたんでしょ??

    • -3
    1. >>9
      システム導入したメリットも記事に丁寧に書かれてあるよ、読んでみて

      • +3
    2. >>9
      そういうのは非効率的な上に、所詮別の問題に変わるだけなので意味のない思考
      デジタルにもアナログにもそれぞれトラブル要因がある。それでも以前のやり方から移行が進んでるんだから、合理的な理由があるんだよ。そんなことすら分からん程老いたか、爺さんよ。

      • +4
    3. >>9
      極論を言ったところで、どんな生産性があるの?っていうことを言う人が一定数いるけど、
      極論を言ったところで賢くは見えないからね?
      実のところ、そんな事はみんな考えた上で発言してるんだから。

      • +3
  9. >もっとも重要となる、現在どの牛が妊娠してどれくらい経過しているのかがわからなくなってしまったのだ。

    意味が分からん

    システムが牛が妊娠していることを検知しているとでもいうのか?

    • -3
    1. >>10 家畜の牛馬は妊娠から出産まで自力ではうまく行えず、獣医さんと連携で細かいケアが必要なんだ。
      餌や運動を管理し、出産もそろそろ今日と当たりを付け、始まったら時間を計り、赤ちゃんの足にロープをかけて引っ張る事もある。だからデータはとても大切。

      • +5
  10. ヒトも予測不能なバカをやらかすけれど、遠隔操作で意図的にエラーを起こさせようとするのは、人手と手間がそれなりにかかる。
    Iotへの攻撃ではそこらへんの手間が省けるから、何かあった場合の被害がとてつもなくなる気がするわよね。利便性と、被害と、そこの釣り合いがどうなのかはずっと気になっている。

    第一次産業の担い手が増える一方で消費者ばかりが増える現状で、Iot化には宿命めいたものもあるけれど。

    過去のデータが参照できなくなるのは痛いよなあ。
    日報みたいな感じでログを紙に打ち出しておくとかすれば、冗長性を確保したり、できないやろか。

    • -1
  11. 酪農が機械化されていくのを見てるとマトリックスを思い出す

    • 評価
  12. 大切な物は閉じた環境に置いた方が良いかもね。

    • +1
    1. >>22
      絶対に安全な閉じた環境なんて存在しない
      完全に外部からのアクセス(人力含む)をシャットアウトする構造なら安全かもしれないが、
      それって中身を使いたい人間もアクセスできないことと同義なので

      「ハッキングできないものはない」ってのがハッカーの有名な格言
      ハッカーが本気で侵入しようと決意したならどんなクローズドなシステムであってもいつかは誰かに突破されるので、
      クローズドだろうと何だろうと絶対の安全なんてありえないって意識で臨むことが肝要

      • +2
  13. システムの運用者がオフラインのデータバックアップと参照方法を用意していれば避けられた悲劇だな

    • +2
  14. システムが問題なく稼働してたら防げた事故なのか疑問がある
    そもそも自然の動物は人間が管理せずとも生まれてくるわけで。

    • -3
    1. >>25
      家畜は自然の動物ではないんですが…
      直接触れる機会はあまりないだろうけど、普段自分たちが利用してる「家畜」が一体どういう存在なのか
      勉強しておいた方がいいと思うよ
      そしたらそんなとんちんかんなコメントはしなくなるから

      • +6
  15. いざという時に
    全部アナログの手作業を出来る人材を育てて
    確保しておかなきゃダメなのよね

    • 評価
  16. ハッカーに牛糞をトン単位で送りつけてやれ

    • +2

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動物・鳥類

動物・鳥類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。