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ニワトリの言語を翻訳するAIの開発に挑む研究者

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 犬や猫の鳴き声を人間の言葉に置き換えるデバイスは遊びの範囲から、本気の領域まで、数々の開発が進められていたが、現在カナダの研究者たちは、AIを使ってニワトリ語の翻訳に挑んでいる。

 それは鳥の気持ちを理解するためだけの目的ではない。養鶏に革命を起こし、ニワトリたちをより幸せにし、より美味しくなる可能性があるからだそうだ。

 また、ニワトリの世界を覗き込む効果はそれだけにとどまらない。それは牛や豚、羊のようなさまざまな家畜と人間の関係をより良いものにし、野生動物たちの保護にも役立つ、画期的なアプローチなのだという。

鶏は鳴き声で様々な感情を表現している

 ニワトリの鳴き声といえば、まず「コケコッコー」が頭に浮かぶだろう。英語なら「クックドゥドゥルドゥ」だ。

 だが、ニワトリの鳴き声はそんな単純なものではなく、言語ともいえるもっと複雑なものだという。ニワトリは鳴き声によって、喜び・恐怖といった感情や社会的なサインを伝え合っているのだ。

 驚いたことに、”ニワトリ語”は人間と同じように、年齢や環境、さらには家畜化されることによっても変化する。

 そうしたニワトリ語を理解できれば、人間とニワトリは今よりずっといい関係を築けるはずだ。

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photo by Pixabay

AIでニワトリ語を翻訳する試み

 そのための秘密兵器がAIだ。カナダ、ダルハウジー大学のスレッシュ・ニーティラジャン氏らは、膨大な量の音声データをAIに分析させて、ニワトリ語の翻訳機を作ろうとしている。

 それは言うほど簡単なことではない。ニワトリの鳴き声は「高さ」「調子」「文脈」といったさまざまな要素で構成される複雑なものだからだ。

 ニーティラジャン氏は、そんなニワトリ語を解読するために、人間の言葉の解読によく使われる「自然言語処理(NLP)」という技術を応用し、ニワトリの鳴き声をAIに学習させている。

 その一番楽しみなところは、いずれニワトリの気持ちを理解できるようなるだろうことだ。

 彼らが満足しているのか、それとも不満なのかがわかれば、もっと上手にニワトリをお世話できるようになる。

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photo by iStock

鳴き声だけでなく、非言語的なサインからも感情を読み取る

 ニーティラジャン氏らが研究しているのはニワトリ語だけではない。もっと非言語的なサインからもニワトリの感情を推し量ろうとしている。

 たとえば、ニワトリのまばたきや顔の温度も、ニワトリの感情を知るための手掛かりになると考えられる。

 『bioRxiv』に投稿された未査読論文では、ビデオやサーモグラフィなどで、ストレスを感じたニワトリのまばたきや、目や頭の近くの温度の変化を観察している。

 あくまで予備的な調査だが、ニワトリの感情を理解する新しいアプローチになるだろうと、ニーティラジャン氏は述べている。

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photo by Pixabay

畜産業の発展にもつながる可能性

 ニワトリ語の翻訳プロジェクトは、鳥好きの好奇心を満たすためだけのものではない。

 たとえば農業や畜産といった分野では、ニワトリ語を理解できれば、より良い飼育法を考案できるようになるという。

 幸せで健康に育てられたニワトリは、もちろん品質だって良くなるはずだ。

 このアプローチを牛や豚などにも応用すれば、さまざまな家畜の育て方や関わり方を画期的なまでに進歩させるかもしれない。

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photo by iStock

動物の福祉の向上にもつながる

 その影響は農業や畜産業にとどまらず、動物の福祉や倫理に関する政策をも左右する可能性がある。

 動物の心や感情について知れば知るほど、私たちは彼らが幸せに生きられるような関係を築かざるを得なくなるからだ。

 ニーティラジャン氏によれば、AIによるニワトリ語の解読プロジェクトは、今後の動物科学における技術的応用の素晴らしい先例になるだろうという。

 その意義はただニワトリ語を解読するだけでなく、教育や保護活動にまで及ぶ。

 ニワトリのコミュニケーションを知ることは、ほかの動物たちのコミュニケーションの複雑さを学ぶことにつながるし、そうした知識は野生の動物たちを保護するうえで不可欠なものだ。

 AIで動物を理解しようというこのアプローチは、動物と人間の新たな関係の扉を開くことになると、ニーティラジャン氏は熱く語っている。

References:Vocalization Patterns in Laying Hens – An Analysis of Stress-Induced Audio Responses | bioRxiv / Fowl language: AI is learning to analyze chicken communications to help us understand what all the clucking’s about / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 18件

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  1. 人が近づくとクルクル甘えた声出したり、上空を猛禽類が飛ぶと不安な声出したりするもんね。お腹空いたーの声とか「ご飯ここだよー」の声とか、改めて考えてみると沢山の鳴き方ある。

    • +7
  2. 言葉が分かって
    「昨日から友達がいないんだけどどこ行ったの?」
    と聞かれたら鶏肉が喰えなくなる。

    • +9
    1. >>5
      「私の子供はどこ?」と言い出すニワトリ…

      • +4
  3. ニワトリの声を聞けたら誰も捌けないのでは?

    不幸なケージ飼いが減るのでは?

    異質なものと認識したら人はとても残酷になれる。
    言葉を理解し、心が分かったらできなくなります。

    私はそういう世界がいいと思います。

    • +4
    1. >>6
      人工肉の開発とかもそうだけど、今はまだ夢想の様に聞こえるにしても人類は紆余曲折を経つつも科学の発展と共にそういう方向へ行くのだと思う。

      • +1
  4. 「ごはんおいしいね!」「仲間がいっぱいだし住みやすい場所だね!」「お世話してくれる人間もニコニコ笑顔でみんな嬉しいね!」「そういえば昨日からお隣さんのグループが居ないなあまいっか」「日に日に数が減ってくような気がするなあ」「あれえ人間さんたちどこ連れてってくれるの?」

    • +5
    1. 中国語の部屋?
      >>7
      かわいい、つらい、おいしい

      • 評価
  5. なんてことだ、ケンタッキーフライドチキンを食べられなくなったらどうしてくれるんだ!!!

    • +3
  6. 昔飼ってた雄鶏の言葉を理解できたら……多分「水飲ませろ」とか「小屋を掃除しろ」とか言ってたんだろうか。

    • +5
    1. >>11「すきだよ、すきだよ!」「いっしょにあそぼ?」とも言ってたはずだよ。

      • +4
  7. じゃあニワトリとか動物と話せる日が来るかもしれないってこと?

    • +2
  8. 知りたいような知りたくないような
    「なんか調子悪い」は早く知りたいかも

    • +2
  9. 昔ダチョウに人が乗るCMがあったけど、あれは人がダチョウを捕まえたて乗った時は「!」と思うけど、次の瞬間忘れてしまい、何事も無かったように走り出すと聞いたことがある。
    仮にニワトリとコミュニケーションを取れたとしても次の瞬間には忘れてしまい、友達にはなれない気がする。

    • 評価

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