この画像を大きなサイズで見る高度なソフトロボット技術をブタの心臓と融合させることで、まるで生きているかのように鼓動する心臓シミュレーターが開発された。
マサチューセッツ工科大学(MIT)をはじめとする研究チームが作り上げたこのバイオロボティック心臓モデルは、これまでならありえないほど人間の心臓の複雑さをリアルに再現している。
心臓手術の練習代や、研究用のモデルとして使用することで、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病の治療を画期的なまでに進歩させてくれると期待されている。
心臓を模倣し医療をサポートする強力なツール
新たに考案された医療技術は、それがどのようなものであっても、実際に病院で採用する前に、安全性と効果を徹底的に検証する必要がある。
心臓の手術に関するものの場合、検証する方法は主に2つ。シミュレーターと動物モデルだ。
だが、どちらも理想的な方法ではない。既存のシミュレーターは耐久性が低く、数時間しか使用できず、また複雑な心臓が完璧に再現されているわけでもない。
動物実験は、コストも時間も高く、しかも倫理的に大いに問題がある。
このような難点を克服するため、ミニチュア臓器であるオルガノイドが開発され、コンピューター・モデルや細胞株が利用されるなど、新技術をテストする技術にも一定の進歩は見られている。
このほど発表されたバイオロボティック心臓もまたそうした進歩の1つだ。それは心臓手術の練習や、それ自体を研究したい人をサポートする強力なツールとなる。
この画像を大きなサイズで見るブタの心臓とソフトロボットを融合
今回発表されたバイオロボティック心臓は、特に「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべん へいさふぜんしょう)」という病気を念頭に置いて作られたものだ。
世界で推定2420万人がかかっているこの病気は、左心房と左心室の間にある僧帽弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流することで発症する。
そのせいで心臓や肺に負担がかかり、動悸や息切れが起きたり、ひどくなれば呼吸困難や心不全になったりもする。
この症状を再現するために作れた心臓シミュレーターは、ブタの心臓をベースに、その左心室を包んでいる筋肉を取り除き、シリコン製のロボットポンプを取り付けたものだ。
このポンプを膨らませると、本物の筋肉と同じように心臓をギュッと握り込んで、血液を送り出そうとする。
この心臓の僧帽弁を意図的に破壊し、血液が逆流するようにしてやれば、心臓手術用のシミュレーターとなる。
今回の研究では、「僧帽弁の組織を固定する手術」「開閉を助けるインプラントを移植する手術」「僧帽弁を人工僧帽弁に置き換える手術」の3つが試されたが、そのいずれもうまくいったという。
透明な人工血液で内部を可視化
このロボティック心臓の優れた点の1つは、無色透明の人工血液を使用しているところだ。
本物の心臓では血液が流れているために、細かい部分を詳しく観察することはできない。
ところが人工血液は視界を遮ったりしないので、患部がどうなっているのかはっきり見える。これは心臓の手術を練習するうえで、とても大切なことだ。
それでいて、病院に置かれているさまざまな画像診断機器にもきちんと反応するので、外科手術の練習台や研究モデルとして打ってつけなのだ。
研究チームは現在、このロボティック心臓の保存期間を延ばすとともに、より簡単に制作できるよう工夫を凝らしているところだ。
ブタの心臓の代わりに、3Dプリントした人工心臓を使うのもありかもしれないという。
このような努力はすべて、いずれは患者のためになるものだ。その患者の中には、もしかしたらあなたも含まれているかもしれない。
この研究は『Device』(2024年1月10日付)に掲載された。
References:A beating biorobotic heart aims to better sim | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2024/01/23)誤字を訂正して再送します。
















すごいな
いずれは今の人工心臓を置き換えられるだろうか
豚をドナーとして育成する攻殻機動隊の世界がすぐそこに来ているなあ
ヤマハの人工心臓