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ワームホールに落ちても最後のメッセージを送信する時間は少しだけ残されている可能性

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(著) (編集)

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 もし宇宙のワームホールにうっかり落ちてしまったらもう2度と戻っては来られない。ワームホールは背後ですみやかに閉まってしまうことだろう。

 それでもワームホールの内側から外へ、最後のメッセージを送信する時間が少し残されている可能性があるという。

 これが本当なら、この不可思議なトンネルの内部をカメラで撮影して観察するなんてことも、理論上は可能ということになる。

不安定なワームホールの内側を知ることは可能なのか?

 あくまで仮説上の構造でしかない「ワームホール」だが、本当に存在するのなら、宇宙のはるか遠方への近道や、まったく別の宇宙へのアクセスポイントとして利用できるかもしれない。

 だが一方で、ワームホールは極めて不安定で、物質が進入するやいなや、ただちに崩壊して閉じてしまうだろうとも考えられている。

 ならばワームホールの内側を知ることなど、人類には不可能なのでは?

 そうとは限らない。なぜなら、1つわからないことがあるからだ。それは「その崩壊がどれほど速いのか?」ということだ。

 『Physical Review D』(2022年11月29日付)に掲載された論文では、この問題に答えるべく、ワームホールを何かが通過したとき、それがどのように反応するのかシミュレーションされている。

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photo by Pixabay

ワームホールを通過した探査機がメッセージを送信することは可能

 例えば、ある探査機をワームホールに進入させてみる。その瞬間にワームホールの崩壊が始まるので、探査機は諦めるよりない。

 では、ワームホールが完全に閉じる前に、内側から光のシグナルを送り返すことはできるだろうか?

 あくまでも仮説上のシミュレーションだが、その答えは「イエス」だ。

 じつは今回のシミュレーションでは、「ゴーストマター」と呼ばれる不可思議な物質が考慮されている。

 ゴーストマターは重力に対して、普通の物質とはまったく逆の反応をする。つまり、ゴーストマターでできたリンゴがあれば、木の枝から”上”に落ちる。

 ただし一般相対性理論的にはOKでも、現実にはほぼ間違いなく存在しないだろうとされている。

 今回のシミュレーションでは、それでもゴーストマターをワームホールに通してみた。すると予想通り、ワームホールは崩壊することなく、むしろ広がることがわかった。

 普通の物質ならこうはいかない。進入した途端、ワームホールの崩壊スイッチが入り、後にはブラックホールのようなものが残るだろうことが、シミュレーションで確認されている。

 だが何もできないほどの電光石火で閉じてしまうわけではない。高速で移動する探査機ならば、ワームホールが完全に閉じる前に、中から光速のシグナルを送り返すだけの時間はある。

 そんな危険なことを生身の人間に行わせるわけにはいかない。

 だが宇宙のどこかで本物のワームホールが発見されたとき、そこにカメラを搭載した探査機を放り込み、内側の様子を観察するなんてことも、少なくとも理論上はできるということになる。

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photo by Pixabay

いずれワームホールの内部を知ることができるのか?

 ワームホールの内側を見られるなんてワクワクするような話だが、このアイデアに懐疑的な意見もある。

 ミュンヘン数理哲学センターの物理学者ザビーネ・ホッセンフェルダー氏は、シミュレーションについて「我々が知る限り、存在しないだろうものの存在を前提としています。数学的に可能だったとしても、その多くは現実と無関係なのです」と話す。

 それでも論文著者のベン・カイン氏(ホーリー・クロス大学)によれば、ゴーストマターなしでワームホールを安定させる方法を探るうえで有意義な研究なのだそうだ。

References:Matter traveling through a wormhole / Travelers Through Wormholes Might Get Time For One Last Message | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 15件

コメントを書く

  1. 星野之宣の漫画にそんなのがあった気が

    • +1
  2. んー、じゃあそのワームホールっての作ってよ

    • -7
  3. ワームホールの途中や向こう側がこっち側と物理法則が同じ可能性は低いと思うので難しいかな。
    同じなら量子もつれを使った通信でワームホールが閉じた後でも向こう側の映像が視られるかも。

    • 評価
  4. インターステラーみたいな事が本当に出来るかもしれないってロマンがあって良いですね!

    • +2
  5. 存在するのかわからないものを存在するのかわからないものでどうにかできるかもしれないって事?
    ……何言ってんのかわからない……(;´∀`)

    • +2
    1. ※6
      宇宙物理学に限らず最先端物理学は仮説の上に仮説が立っている感じが多々あるから…
      かの有名な相対性理論だって仮説の上に仮説が立っていたけど、それを様々な観測によって徐々に証明されてきているし
      ブラックホールも近年撮影に成功するまではその存在は「仮説」と言っていいモノだった

      • 評価
  6. いつもこういう極度に専門的な内容を理解できるようになりたいと思うが、何を勉強したらそうなれるんだろう。
    大学に行かないとだめなのか?そんなことないよな。

    • +1
    1. ※8
      専門的なことを理解するならそりゃ専門的な学校に行って学ぶべきだと思う
      そういう意味じゃなくてジャンルに限らずなんでも、こういう専門的なことを紹介する記事を見て紹介されている内容くらいは理解したいってことなら、普通に読解力じゃないかな
      極論かもだけど専門用語や単語以外の文章は読み取れるのなら、後は分からない単語の意味を調べさえすればざっくり理解できるはず
      単語以外の部分で躓く、何を言っているのかわからないってことはそもそも文章を読み取れていないってことだから
      文章のほうが不十分だったり破綻していたりももちろんあるけど、自分の読解力が確りしていればこれは文章のほうに問題あるって自分でわかるようになるしね

      • +2
    2. >>8
      大丈夫だ。大学出てても解んないから!

      • 評価
    3. ※8
      大学って「研究法」を教えたり実際に研究させたりする部分以外は、基本的に教科書の内容をわかりやすく説明する場でしかないから、大学で使われている教科書を読めばいいと思うよ
      ただ、もちろんその教科書自体が、小中高校の内容が身についていることが前提となっているから、そっちもきちんと先に身につけること
      その上で、大学一年→二年と順番に教科書の専門性を上げていきつつ、分からないところはネットで調べるなりそれについて分かりやすく解説した本を探すなりすればいい
      あとは本人の根気とやる気次第

      • 評価
  7. 数式上時間があっても
    脊髄反射よりも短い時間やろ?

    • 評価
  8. ワームホールを覗いたら、向こうから別の何かがこっちを見てた。
    みたいな事件が起きる日を楽しみにしてる。

    • 評価

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