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暗黒時代の教会女性指導者の墓を発見。貴重で豪華な貴金属を発掘

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(著)

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 ローマ帝国の衰退に従い、西ヨーロッパでは「暗黒時代」となった。ローマ人が減少し、都市文明や経済が衰退し、道徳が退廃する中、新しい宗教であるキリスト教が普及し始めた。

 最近の研究で、英国中世史において、女性が教会で権力の座に就き、異教徒とキリスト教の伝統が混在した短い時代があったことを示す宝の山が発見された。

 これらが発見されたのは、イギリス、ノーサンプトン郊外の1400年前の墓だ。暗黒時代のもっとも重要な発見だと考えられている。

暗黒時代の墓地を発見。中には豪華な貴金属の遺物が

 2022年4月11日、ハーポールの小さな村での8週間に渡る発掘調査の最後の2日で、考古学者のレヴェンテ=ベンス・バラーズが、土からなにかが突き出しているのを見つけた。

 それは歯にかぶせる2つの歯冠だった。つまりこの場所は墓地だったことがわかったのだ。

「ふたつの金の遺物が、土の中から私に向かって輝きを放っていたのです」バラーズは語る。

「これらは1300年もの間、埋もれていたのです。最初に目にしたときは、信じられなくて言葉が出ませんでした」

 考古学者が土や泥の中から輝く黄金を見つけることは、めったにない。ロンドン考古学博物館(MOLA)の5人から成る発掘チームのリーダーであるバラーズは、貴金属の遺物を見つけたのは、17年間の発掘調査で初めてだという。

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発見されたネックレス(左)と復元されたもの(右) / image credit: MOLA/Hugh Gatt

 バラーズのチームは、ローマ硬貨、ガーネット、ガラス、半貴石でできた豪華なネックレスを30点も発掘した。

 イギリスで見つかったこの種のネックレスとしては、もっとも豪華なものと考えられている。

埋葬されていたのはキリスト教の指導者女性である可能性

 埋葬者の遺骨は、歯のエネメル質のいくつかの破片以外は、崩れてしまっていたが、ネックレスはほとんど女性の遺体と共に発見されていることから、この埋葬者は裕福、あるいは地位の高い女性だったと考えるのが妥当だ。

 さらに、この女性と共に大きな銀の十字架、装飾のついたふたつの壺、銅の浅い皿も埋められていた。

 十字架は劣化していたが、墓のまわりをX線撮影した画像にはくっきりと写っている。この十字架には、時の経過を生き延びた、銀でできた珍しい人面の飾りがついていた。

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墓のX線画像 / image credit: MOLA/Hugh Gatt

 墓の中の遺物がいろいろ混ざっているのは、この女性が、異教徒とキリスト教の信仰がまだ混在していた西暦630年から670年頃の時代に生きていたことを示している。

 考古学コンサルタントのサイモン・モーティマーによると、死者をたくさんのきらびやかな装飾品と共に埋葬するというは異教徒の方法だという。

 この墓の場合は、明らかにキリスト教の図像も使われているため、異教から、新しい宗教であるキリスト教へと切り替わっていった急激な時代の変化の渦中で作られたものだという。

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墓から出てきた人間の顔をかたどった銀製品 / image credit: MOLA/Hugh Gatt

 遺物の種類が豊富なことと、象徴的なことから、この女性は修道院長や王女など、裕福なキリスト教徒の指導者だったのではないかと考えられる。

 この人物は、イギリスの教会で初めて権力の座に就いた女性のひとりだったに違いないと、専門家は考えている。

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墓周辺で見つかったお宝 / image credit: MOLA/Hugh Gatt

貴重な中世初期の女性の埋葬例

「これは、イギリスでこれまでに発見されている中世初期の女性の埋葬例の中でももっとも重要なものです」バラーズは語る。

「このようなものを見つけるのは、考古学者の夢なのです」

 イギリスではほかにも、高い地位にいたと思われる女性の墓が12ほど発見されていて、似たようなネックレスが副葬品として一緒に埋められていた例もある。

 しかし、7世紀以前のものは少なく、地位の高い埋葬者のほとんどは男性なのが一般的だ。

 ロンドン考古学博物館のリン・ブラックモアによると、キリスト教が広まるにつれ、ネックレスのような貴重品が一緒に埋められることは少なくなったという。初期のキリスト教会が難色を示したためだ。

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MOLA/Hugh Gatt

 今回発掘されたハーポールのお宝は、数という点ではそれほど多くはないが、富の投資という点では最高に豊かだ。金の量が非常に多く、宗教的な象徴の意味合いもそなえているからだ。

 考古学者たちは、住宅開発に先だってVistryグループという会社から、現場の発掘を依頼されていた。

 専門家たちが今週、調査結果を発表すると、住民たちは新しい物件に引っ越す準備を始めた。

 この墓の正確な場所は明らかにされていないが、その上に住宅が建てられているわけではないという。

References:‘Once-in-a-lifetime’ 1,300-year-old gold and gemstone necklace discovered within internationally significant female burial | MOLA / Stunning Grave Find Once Belonged to A Dark Age Female Church Leader : ScienceAlert / written by parumo

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この記事へのコメント 13件

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  1. 日本で考えると卑弥呼の墓が見つかり遺物が見つかったという偉業

    • 評価
  2. エナメル質がないってことは生前は虫歯だったのかな?
    うへー痛そう

    • -7
    1. ※2
      逆だろ。
      歯のエナメル質「以外」がない(=風化で失われている)。
      エナメル質は骨よりも硬いから、かろうじて残ったんだろう。

      • +8
  3. ローマに影響される前は英国は女性の地位が高かったのかな。バチカンやローマから遠い事は自国文化とキリスト教文化の共存の可能性が高くなるからね

    • +1
    1. ※4
      「地位の高い埋葬者のほとんどは男性なのが一般的」
      とあるから、過大評価は勇み足な気も。

      • +3
      1. >>7
        僅かな例を元に歴史を肯定的に評価するようなことがあってはなりませんからね。
        むしろ高位の役職が男性によって独占されてきた当時の男性中心社会を積極的に批判しつつ反省するのが本来あるべき歴史学なので。

        • +2
  4. ソウルシリーズのアイテムっぽい
    ステータスがちょっとあがるやつ

    • 評価
  5. 初期のキリスト教は王族や貴族が在俗のまま高位聖職者になる事も良くあったようなので、このお墓の人もそういう立場だったのかも。
    まあ、宗教界に派閥を広げたい俗世権力者と俗世権力にマウント取りたい宗教界の呉越同舟コラボみたいなもんなんで、(本人の信仰心はあるかもしれないが)かなり生臭い話でもあるのだけど。

    • +4
  6. ブリテン島がようやくまともな(少なくとも以前よりは)信仰に歩み出した時代を象徴する発見ですね。
    ローマから遠く離れた未開地方の閉鎖的で保守的な狭苦しい土着コミュニティーを新たな光で照らし、既存のローカルな民族宗教(多神教)を少しずつ克服、浄化していった当時のグローバルなキリスト者たちの大き過ぎる功績を思うと勝手ながら胸が熱くなります。
    残念ながら、私たち日本人は未だにそれを経験せず(拒絶したとも言います)今に至ってしまっているわけですが….

    • -9
  7. なんだここのコメ欄の傾きっぷりは…(困惑)

    • -1
    1. >>10
      それを言いたいだけならわざわざコメント書き込む意味無いよね?
      なにが気に食わないのか文字に起こしたらどうですか?

      • +1
      1. >>11
        IDも出ないフィルタリングもされてるブログのコメ欄でシャドーボクシングして楽しい?

        • -5
        1. ※12
          ID:RH1Vxgvr0「IDも出ないフィルタリングもされてるブログのコメ欄でシャドーボクシングして楽しい?」
          普通にID表示されてるのに「シャドーボクシング」?
          その理屈を情弱の私に是非教えて頂きたい

          • +1

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