
これまで、プレシオサウルスは海でのみ生息していたと考えられてきた。ところが、化石が発見されたサハラ砂漠は、プレシオサウルスが生きていた1億年前は淡水の河川だったところなのだ。
学術誌『Cretaceous Research』(2022年7月21日付)で発表されたこの発見は、これまで海棲と考えられてきた生物が、じつは淡水域で暮らしていた可能性を示唆するものだ。
とするならば、淡水であるネス湖にプレシオサウルスような首長竜が生存していてもおかしくはないと、ここにきてネッシー生存説が浮上してきたが、果たしてどうなのか?
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6世紀から目撃情報があったネス湖のネッシー
スコットランド北部にあるネス湖は、古来よりネッシー伝説で知られている。現存するネッシーについての最古の記録は565年のものだ。それによると、布教活動を行なっていた聖コルンバが「水の獣」に遭遇し、十字を切って撃退したという。
それ以来、ネス湖では首の長い謎の生物が繰り返し目撃されていたが、1934年に外科医が撮影したというネッシー写真が出回り、人々は大きな期待を寄せた。
ところが1993年、その写真がフェイクであることが明かされるたことで、期待は裏切られ、その存在を絶望視する人も増えたが、それでも現在に至るまで、まだネッシーはいると信じている人も多い。

ネッシーはプレシオザウルスの生き残り?
1823年に世界で初めて首長竜「プレシオサウルス」の化石が発見されると、ネッシー伝説と結び付けられるようになった。小さな頭のついた長い首、4本のヒレという姿は、まさにネス湖の伝説の生物を彷彿とさせ、いつしかネッシーはプレシオサウルスの生き残りなのではないかと噂されるようになった。
専門家ならこの噂を鼻で笑ったに違いない。これまでプレシオサウルスは海の生物であり、ネス湖のような淡水には生息できないと考えられてきたからだ。

プレシオサウルスは淡水に生息していた可能性
だが今回の発見によって、少なくともプレシオサウルスが淡水で生きていた可能性を否定できなくなった。新たに発見されたプレシオサウルスの歯の化石は、川に生息していた絶滅種「甲冑魚」と同じ、エサを砕きやすい作りになっていることがわかったのだ。
このことは、プレシオサウルスが淡水の獲物を食べるよう進化していたことを示唆している。

バース大学の研究グループのニック・ロングリッチ博士はその化石について、「断片的なものだが、こうした骨は太古の生態系と動物について教えてくれる」と語る。
歯は骨格よりも見つかりやすく、それゆえに多くの手がかりを与えてくれるのだという。
なお今回発見された化石は、プレシオサウルス丸ごと1頭分のものではなく、いろいろなところに散らばっていたもので、すべて合わせて動物10数体分になるとのこと。

またロングリッチ博士は、化石が淡水で発見された理由ははっきりせず、議論の余地があるとしつつも、「古生物学者が”海棲爬虫類”と呼ぶからといって、それらが海で暮らさねばならなかったことにはならないだろう」と語る。
海棲とされつつも、やがて淡水に進出した種はたくさんいるのだそうだ。
Scientists Say New Fossils Point To Existence Of Loch Ness Monster
ネッシーは本当に存在したのか?
プレシオサウルスは、これまでイギリス、アフリカ、オーストラリア、北アメリカ、中国で発見されている。今回の新事実を知って、やはりネッシーはプレシオサウルスの生き残りと信じたいロマン派のお友達も多いことだろう。
だが残念なお知らせがある。
プレシオサウルスが絶滅した6600万年前、ネス湖はまだ存在しなかったのだ。この神秘的な湖が誕生したのは約1万年前に最終氷期が終わり、氷河が解けてからのことだ。
ということでプレシオサウルスが例え淡水に生息していたとしても、それはネッシーではなさそうだ。だがこれですべての決着がついたわけではない。
ネッシーの捜索に情熱を傾ける人がいる限り、新たな情報が次々とでてくることだろう。地域おこし的な意味も含めて。
References:Plesiosaur fossils found in the Sahara sugges | EurekAlert! / Plesiosaur fossils found in the Sahara suggest they weren’t just marine animals / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
哺乳利がクジラ類(クジラ・イルカ)、海牛(ジュゴン・マナティー)、鰭脚類(アシカ・アザラシなど)などとして水に進出(回帰)ことを思えば、あの長い期間生きた彼らなら海水から淡水への移行など、何度も起きたと思う。
また首長竜は長い首のもの、短い首のもの、半端な長さのものの、その関連と分類がよくわかってないらしい。
この分類に淡水竜という考えが入れば整理がつくかもしれない。
2. 匿名処理班
ネッシーの存在を追求するのと同時に、
ネッシーが生存するのに足る環境がそのときあったのかということも、同時に
検証しなければならない。
周囲環境の存在を確認するのも、ネッシー云々よりも易い感じはするが、どうでしょうか。
3. 匿名処理班
日本の公園の池で少年が育ててた事があったから
首長竜は淡水に適した種もいるはず。
4. 匿名処理班
恐竜と呼ばれるものの中で一番(?)鳥類から遠くて爬虫類に近いタイプらしいのが面白い
5. 匿名処理班
>>4
首長竜は「爬虫類に近い」じゃなくて「爬虫類」では?
6. 匿名処理班
だよね
今淡水だからといって当時もそうだったかは判らんし
化石から判別付く訳じゃないんでしょ?
7. 匿名処理班
少し調べて見たけど、首長竜の中には淡水性と思われる種がいるみたいね
レウロスポンディルスとビシャノプリオサウルス
※4
恐竜でhなく海洋性爬虫類だよ
8. 匿名処理班
ネス湖の水全部抜いてみた!緊急特番木曜20時!
9. 匿名処理班
>新たに発見されたプレシオサウルスの歯の化石は、川に生息していた絶滅種「甲冑魚」と同じ、エサを砕きやすい作りになっていることがわかったのだ。
いえいえちがいます。一般的なプレシオサウルスの歯には見られないような擦り減った跡や欠けた跡があり、これが同じ産地のスピノサウルスなどの歯に見られる特徴と似ていたのです。そしてすり減ったり欠けたりしている原因はスピノと同じく、この地域の硬い鱗や頭骨を持った淡水魚を食べていたためではないか。ということです。なおこの時代甲冑魚はいません。
10. 匿名処理班
首長竜の首骨格は鎌首をもたげるような曲げ方が出来ない構造になっているので、もしそういう写真が出てきたら明らかに偽物だと思って間違いないです。
11. 匿名処理班
※2
食料もそうだけど、寿命やコミュニティを維持できるほどの頭数とかを考えるとなぁ…。
12. 匿名処理班
淡水云々よりエサと繁殖考えたら狭いでしょあそこじゃ
13. 匿名処理班
カモノハシの方が凄いと思うんだけど
可愛いし
14. 匿名処理班
首長竜といえばレイ・ブラッドベリの『霧笛』だね。ぜひ読んでほしい。
初代ポケモンアニメの巨大カイリューのエピソードの元ネタにもなっているよ。
15. 匿名処理班
現代に見られたネッシー系ってシャチやクジラのペ◯スなんだろ!!!!
16. 匿名処理班
伝説は伝説のままでそっと…