
一般的には地上で罠をはっているのだが、なんと地面の中に罠をしかけていたウツボカズラのニュータイプが発見された。
インドネシア、ボルネオ島、北カリマンタン州の熱帯雨林の土の中で発見され、その捕虫袋の中にはたっぷりと獲物が詰まっていたという。
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地中で獲物を捕らえる新種のウツボカズラ
この新種は「ネペンテス・プディカ(Nepenthes pudica)」と命名された。160種の食虫植物が分類されるウツボカズラ属の仲間だ。このウツボカズラは特殊な地下茎を形成し、小さくて白色の葉緑素のない葉を付ける。捕虫袋はこの葉よりはるかに大きく最大11cmで、赤みがかった色をしている。
捕虫袋は地面の下に伸びていて、地中で暮らすアリ・ダニ・甲虫といった獲物を捕らえるのだ。
このように地中に特化したウツボカズラが確認されたのは、今回が初めてであるそうだ。

乾燥した高地ゆえの適応進化か?
地中の獲物を狙う新種のウツボカズラだが、生息するのは標高1100〜1300メートルの比較的乾燥した山の尾根だ。研究グループは、この生息環境ゆえに地下のトラップが進化したのではと推測する。
研究グループの1人、英ブリストル大学のミカエル・ゴロス博士は、「地下空洞は湿度などの環境が安定しており、乾季にはエサが多いのだろう」と仮説を立てている。
ネペンテス・プディカの主な獲物は、ほかのウツボカズラ属の仲間と同じくアリだが、面白い発見もあったようだ。
捕虫袋の中には、蚊の幼虫や線虫のほか、新種と見られるミミズの類など、多くの生き物が見つかっているのだ。

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ネペンテス・プディカはボルネオ島の固有種で、北カリマンタン州メンタラン・フル地区西部にある地域でしか知られていない。狭い範囲にしか分布しておらず、個体数が少ない上に、生息域が失われている可能性もあることから、IUCNレッドリストの「絶滅寸前種」として、予備的に保全されるための条件を満たしている。
研究グループのウェウィン・トジャスマント(Wewin Tjiasmanto)氏は、この発見は「インドネシアのボルネオ島が世界の生物多様性のホットスポットとして重要」であることを示しており、島の自然保護にとっても大切なことであると語る。
「この個性的な食虫植物の発見が、ボルネオ島の熱帯雨林の保全につながることを願う。原生林はヤシ油のプランテーションに変わっているが、これを防ぐか、少なくとも遅れさせることになれば」とのことだ。
この発見は『PhytoKeys』(2022年6月23日付)で報告された。
References:Meet Nepenthes pudica, Carnivorous Plant that Produces Underground Traps | Sci-News.com / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
食虫植物の虫は補助的な栄養だと思ってた
葉緑素のない小さな葉というとこれは虫を主食としているのか、それとも他の植物に寄生とかしているのかな
2. 匿名処理班
地中に潜む食虫植物か。
でかくなったらホラーだな。
3. 匿名処理班
土の中でもこの形状なんだ
4. 匿名処理班
形があまりにウツボカズラだから土の中に埋めたのかと疑ってしまう。
5. 匿名処理班
※1
リンク先の原著論文斜め読みしたけど、ちゃんと地上部あるそうな。で、地上部にもまれにピッチャー作るけど、大半は地下に作るって書いてある。
雄花、雌花の写真とかも載ってた。緑の葉っぱもガッツリついてる。
6. 匿名処理班
地中で蓋開けてるんかな?土も入っちゃいそうだが入り口は土の外?
7. 匿名処理班
※5
1だけどありがとう
8.
9. 匿名処理班
これは保護しなくては!
ただちに開発を止めないと
10. 匿名処理班
トビムシとか
土のプランクトンと呼ばれてるね
11. じょん・すみす
サラセニアかなと思ったが、サラセニアは地上にトラップを仕掛けてましたね。
12.
13. 匿名処理班
サムネが遠目で見て息子スティック・タマタマに見えたのよ。疲れてるのかしら。