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ミャンマーで急増する動物の違法取引。Facebookから虎や絶滅危惧種を簡単に購入できる事実

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(著) (編集)

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 本来なら国際取引が禁止されているエキゾチックアニマルが、Facebookを通じて売買されているという驚きの事実を『Vice』誌が報じている。

 Facebookのメッセンジャーを通して密売人グループとやり取りを行い、ミャンマーの指定の場所に受け取りに行くことができるのなら、絶滅危惧種の動物ですら購入可能なのだ。トラなら370万円程度で購入することが可能だそうだ。

Facebookで行われている希少動物の売買

 「値段に折り合いがつけば、トラをご用意しましょう」Vice誌のスタッフは、Facebookで公開されている密売人グループから、こんな連絡をもらったという。

受け取り場所は、ミャンマーのヤンゴン。現金払いで。それでいいなら、トラを用意でき次第電話する

 この取引は24時間以内に成立したという。

 トラだけではない。絶滅危惧種とて同じことだ。Facebook Messengerを通じて、Vice誌はたった3日でツキノワグマ(約13万円)、ベンガルヤマネコの子供2匹(合わせて3万5000円)、オオカミ(8500円)、スローロリス(5700円)の密売人を見つけた。。

 ツキノワグマもオオカミもタイとの国境沿いにあるミャワディという町が受け取り場所だった。ベンガルヤマネコについては、料金さえ払えば国際配送にすら対応していたという。

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photo by iStock

政情不安定なミャンマーで急増する動物の違法取引

 2021年2月1日に起きたクーデターで不安定な状態にあるミャンマーでは、SNSを介した野生動物の違法取引が爆発的に広がっているという。

 世界自然保護基金(WWF)のレポートによると、2021年にFacebook上の野生動物取引は74%増加、それを扱う業者も69%増加したという。そのうち3分の1は、ゾウ、クマ、テナガザル、サイチョウといった絶滅危惧種だ。

 Vice誌が実際に行ったやりとりは、そうした動物を入手することがどれほど簡単で、SNSがそのツールとして簡単に利用されていることを物語っている。

 国際的な規制があり、Facebook自身が野生動物取引を取り締まると誓約しているにもかかわらず、違法取引の広告・勧誘・売買が横行しているのが現状だ。

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photo by Pixabay

公然と行われているということは、Facebook上の売買がほぼリスクなしで行えるということを意味する。

その背景としては、匿名で行えることや、ミャンマー当局にそれを取り締まる力がないことが挙げられる

 と、レポートは述べている。非公開にしたい取引でも、Facebook Messengerや電話を使えば済んでしまう。

 WWFは具体的な取引の内容までは確認していない。そこでVice誌が、実際にそれを調べてみようということになったのだという。

ツキノワグマの子グマが13万円ほどで取引

 子グマはまだ小さく、奥に映る人間の膝ほどしかない。タバコの空箱が捨てられた地面に座っており、誰かが撫でようとすると、前足で頭をおおうような仕草を見せる。

 売人から送られてきたというこの映像は、わずか5秒ほどのものだ。しかし胸に白いV字の斑紋があることは一目瞭然だ。

Moonbear cub

 ツキノワグマは、その胆嚢が漢方薬として珍重されることから広く密猟されている。そのために国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、「絶滅危惧種II類(危急種)」に指定されている。

 しばしば狭い檻に入れられ、お腹と胆嚢に穴を開けて黄色い液体が採取される。そのために殺されることもある。

 Facebook Messengerのチャットで、密売人は「18ラーク」と告げてきたという。すなわちミャンマーの通貨で180万チャット、日本円なら13万円ほどだ。

ネットショッピングと変わらない手軽さ

 これらはVice誌が実際に見つけたオンライン取引のほんの一例にすぎないという。Facebookのアカウントさえあれば、誰で閲覧でき、取引が可能となる。

 ほんの数回クリックするだけで、センザンコウ、イリエワニ、スッポン、サイチョウなどの売人が簡単に見つかる。

 象牙やヒョウの毛皮も売られていれば、サル、ムササビ、ジャングルキャットの取引を公然と持ちかける人たちもいる。

 Vice誌はどこまで話を進められるのか試しただけだが、もし本当に買おうと思ったら、実際の発注は普通のネットショッピングとそれほど変わらないようだ。

 そして大抵の場合、支払いはネットバンキングやウォレットアプリで行われる。Vice誌はある業者から「Wave Money」(ミャンマーのウォレットアプリ)が指定されたという。

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photo by Pixabay

感染症拡大や、絶滅の危険性

 「Facebookでは、ミャンマーに生息する野生動物の違法取引が懸念すべきペースで拡大している」と、WWFは結論づけている。

 それは同国が誇る世界有数の生物多様性にとって脅威であるばかりではなく、世界の生物多様性にとっても脅威である。

 センザンコウやジャコウネコのような動物の取引は、新型コロナをはじめとする人獣共通感染症の流行とも関係がある。

 早くも2020年4月の時点で、コウモリから人間へのコロナウイルスの感染をセンザンコウが橋渡した可能性が指摘されている。2000年代初頭に流行したSARSでは、ハクビシンがこの役割を担ったとされている。

 「近年、アジアが人獣共通感染症の温床になっていることを考えると、ミャンマーの野生動物取引はきわめて懸念される」と、WWFのショーン・マーティンは声明で述べている

 だが、おそらくより懸念されるのは、これが野生動物そのものを脅かす可能性だ。

 スローロリス、ツキノワグマ、センザンコウなど、SNSで取引される絶滅危惧種の多くは、東南アジアにしか生息していない。

 だから価値がつく。だが、このまま手をこまねいていては、絶滅するまで密猟が続くかもしれない。

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photo by iStock

クーデターにより取り締まれないミャンマーの実情

 ミャンマーのような発展途上国は、ただでさえ資源も人材も乏しい。加えてクーデターによって政情が不安定になってしまっているのだから、規制や取り締まりはさらに難しいものになっている。

 2021年2月1日、ミャンマー軍は選挙が不正に行われたとしてアウンサンスーチーを拘束。以来、同国の経済は悪化し続け、混迷の度合いを強めている。

 WWFのレポートは、「野生動物と自然環境に関するミャンマーの法的保護機能はもともと弱かったが、政治危機はそれをさらに弱体化させ、(オンライン野生動物)取引に拍車がかかった可能性がある」と指摘する。

Facebook側の対策は?

 Facebookの親会社Metaは、同社プラットフォーム上の野生動物違法取引を根絶すると宣言。2018年に「野生生物の不正なオンライン取引終了に向けた国際的な連合体(Coalition to End Wildlife Trafficking Online)」に参加した。

 しかし非営利団体「反オンライン犯罪同盟(ACCO)」は、Facebookの絶滅危惧種取引に関連するページはむしろ増加していると、2020年10月に報告している。

 ACCOのレポート発表から2ヶ月後、特定の単語を検索すると警告が表示される機能がFacebookに導入された。

 たとえば検索バーに英語で「トラ 販売」と入力すると、「Facebookでは、動物虐待や絶滅危惧動物・その部位の販売は認められていません」とポップアップが表示される。

 しかし今のところ、ミャンマー語で検索すれば、密売人グループのページにいきついてしまうそうだ。

 今後は外部パートナーと提携し、世界で行われている絶滅危惧種・その部位の違法取引に対応するべく努力することを約束するとしている。

References:Upward trend in Myanmar online wildlife trade endangers biodiversity and public health | WWF Asiapacific / It Took Us Less Than 24 Hours to Order an Endangered Tiger on Facebook / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 15件

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  1. 送料無料で配達までしてもらわないとネットショッピングと同じとは言えないだろ

    • -12
  2. スマホで撮った写真のデータにはGPSの位置情報が埋め込まれているので、貴重な動植物の写真をSNSに投稿すると場所が簡単にばれる。
    位置情報は公開しないこと。

    • +1
  3. 今日の食い扶持を稼ぐために明日も見えず
    生きる意味さえ失いそうだね

    • +1
  4. 動物の保護も、まずその国の人々の暮らしが保障されないとはじめられないよね。

    • +6
  5. 人身売買が横行している国で動物が売られない訳ないわな

    • +5
  6. 今のミャンマーは動物愛護どころじゃないもんな…
    ウクライナのことは注目されるけどミャンマーって忘れ去られつつあるよね
    あと、この記事みて手を出そうなんてアホの子はいないと思うけど、一応。

    ミャンマー当局が取り締まらなくても日本政府は取り締まるから買ったら捕まるよ!

    • +11
    1. ※12
      ミャンマーは内戦中だしね。

      でも侵略と内戦は違うから・・・

      • 評価
  7. でも日本のお菓子が個包装されている
    ことの方がよっぽど環境と生態系破壊
    してることにされてる不思議な世の中。

    • +1
  8. 海外だけの話じゃないよね
    日淡とか昆虫とかレッドデータブックの種類や違法採取の個体とか珍しくもないだろ

    • +6
  9. 国内外問わず今の法だけじゃ後手に回ってどうにもならんところまで来てるからなぁ…。
    何がきっかけで生態系が狂うかも解らないし早く打開してほしいもんだ。

    • +4
  10. ちょっとお門違いかもしれんけど、
    いい加減希少生物に由来する漢方薬はもう止めて欲しい
    違法動植物取引の一因だし、残酷すぎる

    • +5
  11. 熊の胆汁採取の様子は悲惨すぎて泣く
    科学的に合成できる成分なのに未だに動物から採ろうとしてる

    • +8
    1. >>17
      胆汁を買い求める人達にあの動画見て欲しいわ

      • +3
  12. ミャンマーとか島国とか中華圏なら、今更?ってカンジだけどね。
    闇取り引きさる生き物って希少だったりするし。ウクライナの戦争なんかでは某大陸はほくそ笑んているだろうし貧しい農村部では食えれば何でも食うだろうし。

    • 評価

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