
credit:M. OSYPINSKA
エジプトの考古学者たちが、世界最古と思われるペット墓地を発見したそうだ。エジプト東端、紅海沿岸の港町ベレニケに、およそ2000年前の動物たちの埋葬地があることがわかったのだ。ここには、猫や犬や猿など、ペットとしてかわいがられていたと思われる合計585匹の動物たちが埋葬されていて、中には、貝殻、ガラス、石のビーズなどをつなぎ合わせた首輪をしているものもいたという。
ペットとしてかわいがられていた痕跡のある動物たちの墓地
古代エジプト人たちが、神への捧げものとして多くの動物たちをミイラにしたことはよく知られている。だが、この墓地の動物たちはそれとは違う、とワルシャワにあるポーランド科学アカデミーの動物考古学者、マルタ・オシピンスカは言う。ほかの場所に埋葬されている動物のミイラは、餓死させられたり、首を折られたりと、人間の手にかかって死んだと思われるものがあるが、ベレニケの墓地に埋葬されていた動物たちにはまったくそんなことはない。
「それどころか、年老いて病気になったり、体が不自由な動物にもエサを与え、面倒をみてやった痕跡があります」オシピンスカは言う。
「ベレニケのほぼすべての動物たちが、非常に丁寧に埋葬されているのです。毛布にくるんだり、陶器で覆ったりして、寝ているような格好で安置されているのです」
あるマカクザルは、3匹の子猫、草で作ったカゴ、布、容器の破片(子豚にもついていた)とともに埋葬されていて、とても美しいインド洋の貝殻がふたつ頭に飾られていたという。「つまり、ベレニケに埋葬された動物たちは、神への生贄ではなく、人間がかわいがったペットだったと考えられます」

ペット墓地に埋葬されていたa)犬、b)猫、c)猿
約2000年前の墓地に、585匹の動物たちが丁寧に埋葬されていた
この墓地は、西暦1世紀半ばから2世紀半ばまで、エジプトがローマに支配されていた時代の初期にさかのぼるものと思われる。この付近には、古代エジプトのゴミ捨て場があるため、研究者は何年にもわたってベレニケの町はずれを発掘していた。
2011年、ある特定のエリアで小動物の骨が次々と見つかり始め、動物考古学の専門家であるオシピンスカ氏の知るところとなった。
「猫の骨が数十体もあることがわかりました」実際に、猫536体、犬32体、サル15体、キツネとハヤブサがそれぞれ1体(計585匹)見つかっている。
ミイラにされているものはなかったが、即席の棺の中に安置されているものもあった。例えば、ある大型犬はヤシの葉のマットにくるまれ、大きなアンフォラを半分に割ったものが、まるで石棺のように遺骸の上に丁寧に置かれていたという。

乾燥したエジプトの砂漠に残っていた毛布に包まれて埋葬された猫の遺骸
credit:M. OSYPINSKA
古代エジプト人と動物たちの関わり
これらの動物たちの一部は人間の飼い主のために役にたっていたのかもしれない。とオシピンスカ氏は言う。例えば、猫はネズミを捕るし、犬は番犬や猟犬として役に立つ。だがそれだけではないようだ。しかし、中には体に障害を抱えていたらしい動物もいたという。事実、年老いてほとんど歯のない犬や、猫よりも小さい、使役用にはならなそうな愛玩用の犬3匹も見つかっている。
つまり役に立たなくてもかわいがり、手元に置かれていたということだ。
ほかにも、これらの動物たちがペットだった証拠を示す痕跡がある。多くの猫が鉄製の首輪や、希少で高価なビーズのついたネックレスをつけていたのだ。

青銅の首輪をつけた猫の遺骨、一緒に埋められていたビーズのネックレス、猿の埋葬の装身具
この遺跡からは、文字を刻んでやりとりするのに使った陶片「オストラコン」が見つかっており、そこには、「他の者が猫の世話をするので、飼い主は心配しなくていい」といった意味のメモが刻まれている。
古代世界には、ペットという概念はなかったというが、この発見からは、人間が動物との関わりを心から必要としていたことがうかがえる。
およそ2000年前、ベレニケの港は世界の果てで、空虚で敵対的な世界の一部でした。商人たちは、珍しい商品を帝国に持ち込みましたが、ここにやって来る行程は、長く大変な旅だったことでしょう。この研究は、『World Archaeology』(1月25日)誌に発表された。
犬をかわいがったり、インドからサルを連れてきたり、猫を飼ったりして共にそれを乗り越え、この地に彼らを葬ったことはありえる話です(オシピンスカ氏)
References:sciencemag / written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
>ほかの場所に埋葬されている動物のミイラは、餓死させられたり、首を折られたりと、人間の手にかかって死んだと思われるものがあるが、
ミイラを作る目的で、死なせたり殺したりしたのかな
2. 匿名処理班
縄文遺跡には死んだペット(犬)のお墓の横に、数年後埋めてもらった人のお墓が実はある。
どんなに時代が変わろうとも文明が発展しようとも、ペットは大切で愛おしい存在であることは変わらないんだね。
3. 匿名処理班
エジプトでは猫は神聖な生き物として扱われてたしな。殺そうもんなら罰当たりにもほどがある扱いを受けたらしいしね
4. 匿名処理班
さすがはネコの盾で敗北した国
5. 匿名処理班
>>エジプトの考古学者たちが
今やそのエジプトの考古学者は、ほぼ全てイスラム教徒で人種すら古代エジプトとは違うと言う事に盛者必衰の理りを感じるな
6. 匿名処理班
可愛いは古今東西価値が有るって事だよ!
7. 匿名処理班
人間もだけどミイラになるのは超高貴な身分で超高価な薬剤等使われるので生贄って表現はしっくり来ないな。アステカみたいな神の供物は消耗品あるいは身代わり的な使われ方で生贄って感じだけど、扱いも準神と奴隷以下で天と地だしなぁ。現代の価値観半端に持ち込むのイクナイ
8. 匿名処理班
秘密結社「NNN」の痕跡があるとは
その謎は深まるばかりである
9. 匿名処理班
これ神様であって
ペットではないかも
ネコもNNNのせいで神様として
崇められてたしね
10. 匿名処理班
これが噂に聞くペットセメタリーかぁ
11. 匿名処理班
※7
エジプトのミイラは王族〜庶民階級まで種類が豊富だよ
簡易ミイラは内臓も取り除かないし
アステカの生贄も、インカ帝国ほど厳密ではないとしても生贄には秀麗で健康な者が選ばれ、競技で勝ったチームの方が生贄に選ばれるという事例も含めて、奴隷以下の扱いとは少し違うよ
12. 匿名処理班
※5
エジプトはローマ植民地時代から結構混血が進んでるよ(特に支配階級はコーカソイドに)。現在のエジプト庶民は、ハプログループ的にはコーカソイドとネグロイドの混合。盛者必衰というと海の民以降はエジプトの影響力が落ちて、3100年前のエジプトの記録に「レバノン商人がつれない。現金払いで支払ってくださいよと言われた」という嘆きが残されている。
13. 匿名処理班
>>4
それデマの作り話な上にイエネコの原種の原産地リビアだけどね
14. 匿名処理班
>猫536体、犬32体、サル15体
猫が好きすぎる