
銀河の衝突 / ESA/Hubble & NASA, A. Adamo
お正月はもう過ぎてしまったが、こんな形で新年の祝砲を放つのもいいだろう。ここで紹介する6枚の画像は、NASAとESAが公開しているハッブル宇宙望遠鏡によってとらえられた銀河と銀河が衝突する姿だ。銀河同士が衝突すると、恐ろしいほどに濃密で明るい星々の領域ができあがる。そうした「星団」と呼ばれるスポットは、私たちが暮らす天の川銀河においては、太陽の1万倍の質量がある。だがこれらの銀河衝突は太陽の数百万倍という質量だ。
銀河衝突の輝き
銀河同士の衝突の輝きは、衝突のあとで銀河が落ち着きを取り戻してからも、かつて起きた融合現象の目撃者として銀河を照らし続ける。こうした星団を紫外線カメラや近赤外線カメラで観測することで、その年齢や質量を推定し、そこでどのくらいのペースで星々が誕生しているのか知ることができる。
だが、それとて恒星系全体がいつ生まれたのかという謎を解き明かすパズルの1ピースに過ぎないそうだ。
尚これらの画像は2008年から2020年10月にかけて撮影されたものだ。
地球から1億光年離れた特異銀河「NGC 3256」

ESA/Hubble, NASA
地球から1億光年離れた特異銀河「NGC 3256」。かつて銀河が融合したことで、このような歪んだ姿になった
2億光年の彼方にある銀河「NGC 1614」

NASA, ESA, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration and A. Evans
エリダヌス座の方向、2億光年の彼方にある銀河「NGC 1614」。別名ザ・リバー。銀河衝突によって大きな方の銀河の核に巻き込まれた小さな銀河から星間ガスの乱流が生み出され、核で始まった爆発的な星形成が銀河の外側へゆっくりと広がっていった。
その外観から、特異銀河、スターバースト銀河などに分類されている。とても強く輝いており、2億5000万光年の範囲にある銀河では2番目に明るい。
1億3000万光年の先にある「NGC 4194」

ESA/Hubble & NASA, A. Adamo
おおぐま座の方向、1億3000万光年の先にある「NGC 4194」は、衝突合体した2つの銀河によって構成されている。また、銀河の相互作用によって引き起こされた爆発的な星形成領域が銀河の中心部分に見てとれる。若い銀河がより小さな銀河を飲み込み、星々やチリが放出されたことで形成された。この銀河はギリシア神話における怪物メデューサに例えられており、「メデューサ銀河」と呼ばれることもある。
輝く銀河の中心はメデューサの人を石に変えてしまう事のできる目。銀河の潮汐力によって引き伸ばされた星の尾は、メデューサのヘビの髪の毛を表してる。
7億年前にすれ違った「IC 694」と「NGC 3690」

NASA, ESA, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration and A. Evans
およそ7億年前にすれ違った「IC 694」と「NGC 3690」。この巡り合いによって爆発的なまでに激しい星々の形成がうながされた。過去15年、銀河の辺縁で6つの超新星爆発が生じており、界隈では有名な超新星工場となっている
衝突銀河のペア「NGC 6052」

ESA/Hubble & NASA, A. Adamo et al.
ヘルクレス座の方向、2億3000万後年の彼方にある。この不規則に歪んだ銀河の形状は、2つの銀河が衝突し融合している状態を示しており、それぞれの銀河を分ける場合は「NGC 6052A」「NGC 6052B」と呼ぶ。
くじら座の衝突銀河「NGC 34」

ESA/Hubble & NASA, A. Adamo et al.
くじら座の方向にある「NGC 34」は約2億7000万光年の距離にある。中央の明るい領域では、銀河の衝突によって新しい星がいくつも誕生しており、周囲のガスを照らしているReferences:Behold six galactic collisions, masterfully captured by Hubble | Popular Science/ written by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい





コメント
1. 匿名処理班
過去にあった衝突、現在どうなってるのか見てみたいが
その先2億年以上は俺は生きちゃいねえよ
2. 匿名処理班
これらの衝突銀河も何億年も前の姿だから現場では普通の渦巻銀河になっていて衝突時に生まれた若い星々の中には原始生命を宿した惑星を抱えているのもあるんだろうな
3. 匿名処理班
銀河系とアンドロメダ銀河の衝突まで、あと40億年・・・らしい
4. 匿名処理班
>>3
どのみち俺らはいないから気にすることじゃない
5. 匿名処理班
銀河って結局中に太陽とか水星とか金星みたいな星々があるわけでしょ?
銀河同士の衝突って中の星々的にはどうやってぶつかってるんだろう
6. 匿名処理班
銀河の衝突というと、
なにかオッカナイ雰囲気がするけれど
ご心配いりません。
例えば、我々の天の川銀河における地球の移置するあたりの恒星の密度は、
太平洋にスイカ二つ浮かべたくらいのもので、
将来、起こり得るアンドロメダ銀河との衝突でも、
お互い同じ密度の場所ならば、それがスイカ四つになるだけなので、
まず、星どうしがぶつかるなんてことはありえません。
ご心配なきよう。
ただし、そのころの満天の星空は
今より2倍くらい、賑やかで美しいでしょうね。
7. 匿名処理班
「だがこれらの銀河衝突は太陽の数百万倍という質量だ。」じゃなくて、「だがこれらの銀河衝突で生まれる星団は太陽の数百万倍という質量だ。」が正しいと思う。
8. 匿名処理班
※3
多分何度もすれ違い近寄りすれ違いを繰り返して不規則銀河になると思われます。
さらに長い年月を掛けて二つの銀河核が合体したら、
その様子を他の銀河から観察している知的生命体が「クエーサーの一つ」とカウントするかも知れません。
どのみちそれも、何十億年も先の話になるでしょうけど
9. 匿名処理班
衝突とは言っても実際に衝突してる星はほとんどないんだよなこれ
めっちゃまばらなスクランブル交差点って感じだろう
10. 匿名処理班
※9
ゆずりあい銀河
11. 匿名処理班
銀河の歴史にまた1ページ・・・
12. 匿名処理班
実は我々の天の川銀河も過去に1度ならず銀河衝突してたのが分かってる。
スターストリームって衝突してバラバラにされた銀河の名残も観測されてる。
13. 匿名処理班
>>9
でも地球があの中にあったら潮の満ち引きが大きくなったりとか色んな影響出て、人間の生存的にはただじゃすまなそう…
14. 匿名処理班
無理なのは分かっているけれど、死ぬ前に我々の銀河系を外から一望したい。本当に棒渦巻銀河なのか確かめてから死にたい。
15. 匿名処理班
ビッグバン説であれば凄まじい速度で銀河同士は遠ざかっている筈なのに
こうして度々ぶつかるのはホント謎
16. 匿名処理班
何で衝突なんてのが起こるのだろう?
ビッグバンによって均等に離れて行ってるんじゃないの?
17. 匿名処理班
※12
宇宙は広いのに、銀河どうしの衝突がわりと簡単に起きてしまうのはなんだか不思議。引力で引かれ合うから?
18. 匿名処理班
銀河同士が衝突してしまったら、占星術もイチから作り直しなんだろうな…
19. 匿名処理班
衝突最中の惑星に誰か住んでいたとして、どんな天体観測ができるのか気になる。
惑星同士ががっちゃんってぶつかるわけではないとして、大質量同士のバランスが崩れてポールシフトだの軌道がずれるだのするんだろうか。
20. 匿名処理班
※13
あの中にいたら近隣で超新星爆発が起きまくるからいろんな宇宙線で死ぬ
21. 匿名処理班
※16
宇宙が出来立ての頃も物質の密度が均等だったのではなく、少しのムラがあったことで、現在の銀河団や大規模構造が成立したと考えられています。その中では宇宙の膨張よりも銀河同士の重力の方が勝るので、衝突が起こってひとまとまりになります。
なので遥か遠い未来には、この宇宙は少数の巨大な銀河ばかりになり、お互いの距離はどんどん離れてしまいます。いずれ観測可能な範囲からすべて外れた頃に、もし知的生命がいたとすれば、彼らは「この宇宙には銀河はひとつしかない」と思うでしょうね。
22. 匿名処理班
銀河中心核越しだから地球からは観測できないけど、この天の川銀河も太陽系がある位置とは反対側に別の小銀河が衝突している真っ最中なんて説もあった
23. 匿名処理班
そもそも、太陽系の星間距離が億km離れている状態で、星と星の間ってそれだけ離れていないとぶつかる程の引力がある
それで、現在残っている星ってのはその距離を保って生き残っている、それらがぶつからない程度の距離を保って集まったものが銀河系だとすると、銀河系同士の衝突って数十年自分以外誰も見たこと無い交差点である日一人だけとすれ違ったってレベルより稀なんだろうな
24. 匿名処理班
昔の自分の姿!なんて事ないよねぇw
25. 匿名処理班
※5
星と星の間隔が開いていてスカスカだからぶつからない
26. 匿名処理班
※6
分かりやすい例えをありがとう。
そりゃーめったにぶつかりませんな。
ただ、私らが住んでる銀河には 1100 億個の恒星があって、おそらくその 10 倍くらいの惑星があるから、太平洋にスイカ二個でも当たりやすいってことなのでしょうね。
まぁ、しかもそれぞれが質量が大きい(重力という引力がある)からひきつけあいますしね。
27. 匿名処理班
※17
引力は減衰はするけれど、遮る物がないのでどれほど遠くともいずれは作用し合うという特性があるので、空間が広がるより引力が勝ればいずれは衝突ですねぇ。
その結果が脳神経に似たネットワーク宇宙で、銀河の集まっている領域と隙間が広がる領域なんですけど。
28. 匿名処理班
※27
あれかな
線香花火と同じように考えていいのかな
それにしても連発スーパーノヴァは怖そう
29. 匿名処理班
銀河の衝突なんてスケールでかすぎて想像もつかん。
30. 匿名処理班
衝突や爆発で発生したガスなどがまた集まって新たな星に生まれ変わる
今見てるのが何億年前の状態ってのもなんか不思議な感覚だが同時にロマンも感じる
31. 匿名処理班
マゼラン銀河も大昔に天の川銀河を衝突し通り過ぎた。
その際マゼラン銀河は形状を維持出来なくなって大マゼランと小マゼランの二つに分裂した。
そして反転し再び衝突する。
32. 匿名処理班
>>15
膨張して離れていく力よりも銀河が引き合う力のほうが強いから?
どうにも納得できん。
33. 匿名処理班
※6
時空の歪み、重力があって
膨大な空間があるから問題が無いってことはない
バランスが崩れてそれまで周回を重ねていた惑星の軌道がずれて
惑星は遊星になるし、巨大な系の位置だってずれる、その結果ぶつかることだってある