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生贄代わりか。インカ帝国の儀式用供物が納められた石の箱がチチカカ湖の水中から発見される

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(著) (編集)

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インカ帝国の遺物をチチカカ湖で発見 image by:Teddy Senguin, Universite libre de Bruxelles
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 南米最大の湖、チチカカ湖の水中から古い石の箱が引き上げられた。その中には、金のホイルと貝殻でできたラマの像が入っていた。

Antiquity』誌に掲載された記事によると、これらはインカ帝国の儀式用供物として使われたものと思われ、人間の生贄代わりだったのではないかという。

儀式にふさわしい貴重な材質でつくられた供物

 ラマ(リャマ)像は、カキなどのトゲのある貝を使って作られており、こうした貝はインカ時代以前から、長い道のりをたどって取引されてきた交易品だった。

 ベルギー、ブリュッセル自由大学のクリストフ・デラーレは、ラマ像などに作り変えれば、このような貝はさらに価値が出る希少な材料だと考えられていたのではないかと説明する。インカの高官によって厳しく管理され、儀式向けのふさわしい供物が作られていたからのだ。

 ラマ像が納められていた石の箱は、ダイバーによって湖底から回収された。箱は封印されていてほぼ無傷だったが、流れのせいか片側が腐食していた。

 この古代の箱の中には、流入したシルト(沈泥)が層になっていて、その下にラマ像と円筒形に丸められた金のホイルが埋もれていた。

 似たような石の箱はこれまでにも見つかっているが、封印されておらず、中身は空だったため、今回見つかったこの箱はまさに貴重なお宝といえる。

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image by:C. Deaere / Antiquity Publications Ltd

なぜ石の箱は封印されていたのか?

 だが、どうしてこの箱だけが封印されていたのだろうか? それにはふたつ理由があると、デラーレは説明する。

「箱が見つかったカカヤ岩礁付近は略奪にあったことがなく、湖の流れなどの影響もあまりうけていません。このような貴重な宝がほぼ完全な状態で見つかる条件がすべてそろっていたのです」

「箱は真ん中が円形にくりぬかれ、それに栓をして封印するようになっていました。中の泥の層を慎重にかき分けていくと、ラマ像と金のホイルがあったのです」共同研究者である米ペンシルヴァニア大学のホセ・M・カプリレスは言う。

「堆積物の中には、小型の魚の骨もあったので、小さな生き物もこの箱の中に入り込んでいたということです。金と貝(炭酸カルシウム)の両方が残っていたのは、両方とも水中で腐食や分解したりしないからです」

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image by:Teddy Senguin, Universite libre de Bruxelles

チチカカ湖はインカ帝国にとって重要な場所

 チチカカ湖で見つかったラマ像は、この南米最大の湖がインカの儀式の中心だった証拠のひとつになる。

 1977年、アマチュアダイバーによって太陽の島近くで引き揚げられた破片は、儀式のための供物の一部ではないかと言われている。

 1988年と1992年には、プロのダイバーがコア岩礁付近を探索し、小さな像の入った似たような石の箱を発見している。

 かつてインカ帝国だったとされるほかの場所でも、水陸を問わず遺物が見つかっているが、チチカカ湖のものは、インカにとってとくに重要なものだと研究者たちは考えている。

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チチカカ湖の地図 image by:Penn State and Christophe Delaere, Universite libre de Bruxelles

「わたしたちの水中考古学調査の目的のひとつは、同じような遺跡の存在を特定することで、少なくともひとつは見つけたということです」デラーレは言う。

この調査結果は、水中に捧げられたインカの供物が手つかずの状態で発見された稀有なケースであるだけでなく、湖の別の場所でも見つかっていることを示しています。

これは、ヨーロッパ人が接触してくる以前に、拡大したインカ帝国と、湖付近に住んでいた人々のコミュニティ、そしてチチカカ湖そのものとの間の関係を理解するために重要な意味をもっています。

水中世界はまだ未探索の部分が多く、先史時代の社会を理解するまたとないチャンスを与えてくれます。チチカカ湖の水中遺産は、まだまだたくさんの驚きを秘めているのです

Isla del Sol & Lake Titicaca, Bolivia in HD

The context and meaning of an intact Inca underwater offering from Lake Titicaca
https://www.cambridge.org/core/journals/antiquity/article/context-and-meaning-of-an-intact-inca-underwater-offering-from-lake-titicaca

References:ancient-origins / iflscience/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 17件

コメントを書く

  1. ラマの方カラスのパン屋さんのパンみたい
    美味しそう

    • +10
    1. ※1
      今やカラスのやおやさんとかカラスのおそばやさんとか色々出てんねんで…

      • +1
  2. 戻しておかないとなんかこうやばいんじゃ…

    • 評価
    1. ※3
      似たような箱がたくさん発見されてて、
      しかも中身は空になってるのに
      別に何も起きてないから大丈夫だよ

      • 評価
  3. 金のホイルは言われないと古ぼけた何かの部品にしか見えないな
    どういう意味があってこの形状に加工されたんだろう

    • 評価
    1. >>4
      加工された物体の、腐食せず残った個所からもしれないね
      似たようなものが陸上から発見されたら答え合わせできるかもしれない

      • +6
    2. ※4
      ひもを通すような穴が開いてるから、香木か花に巻いてあったのかも。

      • +3
  4. まあ供物も儀式化するのはどこも同じ。
    神社の絵馬は「馬の代わり」で以前は本当の馬を収めていたんだ(のちに絵馬から馬が抜け出て畑を荒らすので手綱を書き足した話がある)。
    諏訪大社では鹿の生首20余りを収めていたが、今は蛙の干物を供えている。
    (これでは力が出ないと思うが、逆にお怒りになりそうな気もする)

    • +8
    1. >>6
      饅頭にしろ埴輪にしろ、やっぱり殺す方も生贄なんて本当はやりたくはないんだろうなあ

      • +7
  5. インカあたりってとにかく生贄のイメージがある。
    日本や中国みたいに生きてるものの代わりに人形使うことがあるんだな。

    • +5
  6. 生首を饅頭に代えたのと同じようなものか

    • +6
  7. ヘビィブーツ手に入れると取れるやつですね

    • +2
  8. あんがい子供のタイムカプセル的な物だったりしてね。宝物を隠すのってよくやるし。貴族の子供だったら人を頼んでケース造って貰ったりできただろうし。

    • 評価

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