
コウテイペンギンの隠れコロニーが続々と発見される/iStock
南極で暮らすコウテイペンギンたちにとっては、ちょっと気恥ずかしいことだろう。英国南極観測局の研究グループは、人工衛星でペンギンが落としたうんちっちを撮影し、そこから彼らのコロニーの位置を割り出した。
その結果、新たに11カ所発見され、コウテイペンギンのコロニーはこれまで考えられていたより2割ほど多いことが明らかになったそうだ。
コウテイペンギンのフンを人工衛星で追跡調査
コウテイペンギンは、体長1.3メートル、体重45キロに達し、現生のペンギンとしては最大の種である。それだけ大きいのだ。きっと発見もたやすいと思うかもしれない。ところが、南極はそう甘くない。
地球上でもっとも過酷な地形と気象で知られ、年間の大部分が暗闇におおわれている大陸だ。気温がマイナス50度にも下がるその環境では、思うように調査を進めることができない。
そこで研究グループはESAの地球観測衛星「センチネル-2」を利用して、地球の軌道上からまだ知られていないコウテイペンギンのコロニーを捜索することにした。
センチネル-2は、従来利用されていたNASAのランドサットよりも優れた観測能力を誇る。搭載されている観測機器の解像度はピクセルあたり10メートル。ただし、これではペンギンを直接見ることができない。
そこで「グアノ」というペンギンのフンが堆積した巨大な茶色いシミが観測された。

コウテイペンギンのコロニーの位置。赤い丸は新発見/再発見されたもの。青い三角は、既知のコロニーの場所を示す
image credit:ESA/BAS
11の新コロニーを発見
その結果、新しいコロニーが11か所発見され、南極にある既知のコロニーの総数は61か所になった。また、これによってコウテイペンギンの生息数は50万羽以上に上方修正された。つがいの数は26万5500〜27万8500組だ。すごい数に思われるかもしれないが、各コロニーは小さいために、従来の推定から5〜10%程度増えただけに過ぎないという。

新発見/再発見された11のコロニーの画像
image credit:ESA/BAS
温暖化に脆弱な地域にあるコロニー
英国南極観測局によると、新しくコロニーが発見されこと自体は歓迎すべきことであるそうだ。ただ、ペンギンの一部が温暖化で脆くなっている氷盤の上で暮らしていることが、相変わらず懸念されるという。コロニーの中には、大陸の海岸から180キロも離れた場所で営まれているものもあるのだ。
新たにコロニーが発見されたのは朗報ですが、そうした営巣地はいずれも、今後コウテイペンギンが死滅するだろうと予測された地域にあります。そのため、そうした地域のペンギンは”炭坑のカナリア”のようなものでしょう。「炭坑のカナリア」とは何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆を示す。
温暖化が与える影響を注意深く見守る必要があります(英国南極観測局保全生物学部 フィリップ・トラセン氏)
これはかつて炭鉱労働者がカナリアを籠にいれて坑道に入ったことに由来する。カナリヤは常にさえずっているが、有毒ガスが発生するとそれをいち早く察知して鳴くのを止めるため、毒ガス検知として使用していたのだ。
新たなコロニーの発見により、コウテイペンギンの生息数は5〜10%程度増えたが、気候変動の影響で、今世紀末までには全体の約8割が死滅するとも予測されている。
海氷が解けだしているコロニーに住んでいるのペンギンは、危険を知らせるカナリヤのようなものだ。コロニーがなくなってしまえば、ペンギンを救う手立てはない。
この研究は『Remote Sensing in Ecology and Conservation』(8月4日付)に掲載された。
Discovery of new colonies by Sentinel2 reveals good and bad news for emperor penguinsReferences:ESA - Discovering new penguin colonies from space/ written by hiroching / edited by parumo
https://zslpublications.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/rse2.176
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コメント
1. 匿名処理班
フンなのに、フンボルトペンギンではなく、コウテイペンギンとは之如何に
2.
3. 匿名処理班
某腹黒パンダ「君の住処を英国南極観測局に売ったらいいお金になったよ」
4. 匿名処理班
地球から最も遠いペンギンコロニーサイド3はペンギン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた
5. 匿名処理班
南極だけにコウッテイルペンギン
6. 匿名処理班
※1
好きw 南極だけに寒いけど
7. 匿名処理班
これからは気軽に野グソもできないな
8. 匿名処理班
ちょっと驚いたのはコロニーがちゃんと大陸の沿岸部付近にあることかな。海氷の上ど真ん中とかありそうに思うけど、とんでもない体力だと思うわ
9. 匿名処理班
(´;ω;`)googleマップじゃウ〇コ見つけられんかった
10. 匿名処理班
>>8
南極は一番寒い極点から海岸に向かってほとんど強風が吹いてる
ペンギンは何ヵ月も立ちっぱなしみたいな子育てを迫られるし、ヒナも寒さに耐えられないんで、風の影響が弱まる大陸(斜面)と平らな氷の境目を拠点にするんや
11. 匿名処理班
うちのマンション前の通りに犬グソをほぼ毎日残していく飼い主もトレースして欲しいわ
12. 匿名処理班
こうして新しいコロニーが発見されたことで見物人が増えないことを祈る
興味本位で南極に行くやつが増えれば当然環境も汚染されるわな
13. 匿名処理班
もしかして俺の💩も衛星に見られちゃってる?
14.
15. じょん・すみす
※12
コウテイペンギンが子育てするのは南極の真冬で、人が行けるほど
気候の良い時期はほぼ空き家状態だから、問題は少ないと思うけどね。
南極の真冬にそこに行く事自体が
非常に危険な事だから、研究者ぐらいしか近づかないと思うよ。
16. 匿名処理班
※10
なるほどね