
生命の始まり / Pixabay
はたして生命はどのようにして誕生したのだろうか? ドイツの科学者たちはその前段階へいたるプロセスの再現に成功したと主張している。その実験では、太古の地中の環境を再現したところ、生命ではないはずの構造が生存戦略を発達させたことが確認されたという。
はじめに泡があった
はじめに泡があった。今、それは細胞膜に包まれた袋状の構造となり、「小胞」と呼ばれている。38億年前、地球の地殻の奥深くには無数の亀裂が走っており、その中を原始のスープが満たしていた。暖かいこのスープに泡が発生し、そこに圧力が加わる。すると何が起きたのか?
それを解明するべく、デュースブルク=エッセン大学(ドイツ)の研究チームは、原始のスープを再現した液体を40〜80度で温め、圧力をかけるという実験を行った。
大昔の地球の地殻の中に存在し、今も残されている環境のシミュレーションだ。

Pixabay
泡で確認された生存戦略
2週間で1500世代分に相当する泡を作っては、破壊するという実験を繰り返した結果、驚くべき現象が確認されたという。一部の小胞が、原始のスープからタンパク質前駆体を膜の中に取り込み、破壊を生き残ったのだ。タンパク質前駆体のおかげで安定性が向上し、小さくなった。そして、より重要なことに膜の透過性までが向上したそうだ。
「この方法を通じて、小胞は破壊圧を相殺することができたと結論づけました。言うなれば、生存戦略です。」(クリスチャン・マイヤー氏)
仮にある小胞が破壊されてしまったとしても、次の世代がそのタンパク質構造を取り入れる。まるで古典的な遺伝的形質のようだ。

image by:C. Mayer
細胞誕生へいたるプロセス
研究チームによれば、これは生命の予備的段階へいたるプロセスを表したものだという。数十億年前、こうした変化を経験した小胞は、地表へ吹き出す間欠泉に乗っても壊れないだけの安定性を獲得。そのおかげで地下から地表へと進出できるようになった。
そしてやがては、それ以外の機能をも獲得し、ついには最初の細胞が誕生した――。
「こうした地下での分子進化は、他のメカニズムと並行して起きたか、あるいは一時的にそれらにとって変わったのだと考えています。」(ウルリッヒ・シュライバー氏)
この研究はマイヤー氏とシュライバー氏の著書『The First Cell: The Mystery Surrounding the Beginning of Life』(7月出版予定)で解説されている。
References:Potential beginning of life simulated in lab/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
こういうの見ると、やっぱり生き物はただの化学反応の結果産まれた物質で、死後の世界は無く無に帰るだけなんだなって...ショックだ。
夢も希望もない学問だね。
2. 匿名処理班
これ本当なら大変な成果だよ
それだけに簡単には盲信せず、少し見守りたい
3. 匿名処理班
これに魂はあるのかと言われればほとんどの人はないと答えるはず。
じゃあどのタイミングで魂は生まれるのか?多分、どの生物にも魂はない。
4. 匿名処理班
地下の話が出るのが唐突過ぎる。
「泡に分子が並ぶ、そこに熱と圧力を加えた」なら、今までの通説通り、潮溜まり、地上の水溜り、海底チムニーどこでもいいじゃん(温度さえあれば、圧力に変わるのは波や風)。
どうして地下なのか、根拠となる理論が足りない。
あと地下だとエネルギーが足りないのでは?
熱と圧力はある、でも電気や紫外線といったもの(従来の理論の基礎とされた)はない。
どうにも温い研究だ。
熱だけかな
5. 匿名処理班
生命誕生の起源と
人体に起こる神秘か
似てる事に偶然って言えるのだろうか?
昔から変わっていない
とも言えるかも知れない
良い形を自然と選んでいたのかも知れないね〜
6. 匿名処理班
このタンパク質を特定の構造で作成し、さらにタンパク質が壊れないようにする機能を外側に用意し、タンパク質を組み合わせてミトコンドリアなどを作り、DNAの部品を作り、人間までの進化機能をプログラミングする...。自然発生説の証明はたいへんそうだね。
7. 匿名処理班
此の身は脆きこと泡沫の如し by空海
8. 匿名処理班
あー…死んだら終わりなのかぁ…でもそうなると確認が取れた前世の記憶持つ奴らはどうなんだろうか。謎である。
9. 匿名処理班
>>4
最後をよくみれ
そういったプロセスの一つとして考えられると言うことだ
第三者の検証はこれからだね
10. 匿名処理班
ぁわわ ぁわわ
11. 匿名処理班
月や火星も地上に生命はいなくても地下にはいること考えれば納得できる
12. 匿名処理班
※6
この記事に自然発生説は関係ありませんよ
自然発生説は昆虫や植物が自然に突然湧くという説で現在は完全に否定されています
13. 匿名処理班
神は土くれに息吹を吹き込み、命を与えられた・・・。
全くの嘘というわけじゃないのか。
14. 匿名処理班
この泡にも魂はあるし泡になる前のスープにも魂はあるんだよ。
ただ希薄すぎてなかなか気づけないだけなんだ。
動物になるとようやく気づけるようになるってだけで、ただの物質でも魂はあるのさ。
山川草木悉有仏性だよ。
15. 匿名処理班
※4
磁力電力放射能は地下鉱脈でもよくないか
金属を含んだ熱水溜まりなら海のように拡散しないでゆっくり進化できる
16. 匿名処理班
※1 ※3
生命の定義、魂の定義をどうするかは各論まちまちだから一概には言えないんだけどね
例えばイリヤ・プリコジンが唱えた散逸構造を生命の基礎状態と捉えるなら、従来の生命のみならず、この世界のあらゆる現象が半生命または準生命状態にあるとも言えるし、もちろんそうでないと考える科学者も多い
しかし、何であろうと「〜のはずだから存在しない」みたいな論の組み立て方は主観に基づく部分が多すぎて科学的では無い
17. 匿名処理班
バブルの自然淘汰という発想がスゴいね
ありふれてて生れては消えてゆくものって他に何があるだろう
あとは星くらいしかないなー