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タランチュラの毒が副作用のない鎮痛剤開発のカギとなる(オーストラリア研究)

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副作用のない鎮痛剤とタランチュラの毒/iStock
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 ケシから採取されるアルカロイドなどを主成分とする化合物、オピオイド薬は、現時点ではもっとも強力な鎮痛剤であり、手術やがんによる強い痛みを抑える上で、医療の現場に欠かすことができないものだ。

 その一方で、この薬には依存性があり、過剰摂取すれば死亡するリスクもある。実際、たとえばアメリカでは、2015年の薬物中毒死のおよそ4割がオピオイド薬で占められていたほどで、その濫用が社会問題になっている。

 そこで今、オピオイドに変わる副作用のない鎮痛剤の開発が進められているが、その鍵を握るのがタランチュラの毒なのだそうだ。

オピオイド薬に代わる副作用のない鎮痛剤の開発が急務

 オーストラリア、クイーンズランド大学の研究チームは、オピオイドの代わりとなる強力でありながら、副作用がない鎮痛剤の開発を進めている――その鍵を握るのは、あの毒グモ、タランチュラだ。

 クリスティナ・シュローダー博士は、世界中でオピオイド危機が起きており、モルヒネやモルヒネ様薬剤に変わる鎮痛剤の開発が急務だと語る。

 「オピオイド薬は鎮痛剤として効果的ですが、吐き気、便秘、依存のリスクといった副作用があり、社会に大きな負担となっています。」

Manipulation of a spider peptide toxin alters its affinity for lipid bilayers and potency and selectivity for voltage-gated sodium channel subtype 1.7
https://www.jbc.org/content/295/15/5067

タランチュラの毒から抽出したミニタンパク質

 シュローダー博士らが発見したのは、タランチュラ(オオツチグモ)の一種であるチャイニーズバードスパイダーの毒から抽出されたミニタンパク質「Huwentoxin-IV」が、体内の疼痛受容体と結合することだ。

 タランチュラの毒に含まれるミニタンパク質、その受容体、周囲の膜の3つを利用することで、特定の疼痛受容体に対するより強力な特異性を発揮させることができる。

 「このおかげで、疼痛受容体とその周りにある細胞膜にちょうどいい量のミニタンパク質が確実に結合してくれます」とシュローダー博士は説明する。

 マウスを使った実験では、ミニタンパク質が効果的に作用することが確認されたとのこと。副作用がない代替鎮痛剤が開発されれば、オピオイド薬依存問題の緩和にもつながるだろうと、シュローダー博士は話している。

 この研究は『Journal of Biological Chemistry』(3月5日付)に掲載された。

References:Spider venom key to pain relief without side-effects — ScienceDaily/ written by hiroching / edited by parumo

追記:(2020/04/21)本文を一部訂正して再送します。

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この記事へのコメント 14件

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  1. タランチュラ「咬んで良い?痛くしないから」

    • +5
  2. 完璧な鎮痛剤ができれば大規模な開腹、開頭が麻酔なしでできるかも?
    一見恐ろしいけど麻酔に耐えられない患者でも治療できる

    • 評価
  3. 疼痛受容体に結合するのは良いとして、その後はどうなるんだろう
    永遠に結合して鎮痛作用が効きっぱなしだとしたら末期癌の緩和ケアくらいにしか使えなそう
    まあオピオイドの代替ならそれで良いのかもしれんが

    • 評価
  4. クモの糸から繊維とか近年クモへの注目度が上がってますな

    • +3
  5. 一昔前(団塊世代)の不勉強な医者がオピオイドを乱用した為だろうか
    関東近辺では10年くらい前までは中毒者が病院の夜間救急を受診して、
    詐病でオピオイド注射を求めるなんてのが良く見られた
    酷いのになると、私が栃木で当直した時にオピオイド注射を求めて夜間外来を受診した患者が、全くの偶然なのだが翌日に東京足立区の病院で私が当直中にオピオイド注射を求めて受診したこともあった
    いずれも中毒者だと丸判りなので、断って追い返したが
    最近は減ってきているようで何より

    • +3
    1. ※10
      センセ―、こんな時間に何書き込んでんですかー!

      • +1
    2. >>10
      日常的に強い鎮痛剤を使用して胃に穴が開いたのでオピオイドどうなんだろう?と思っていたけど依存は、もっと怖いですね。貴重でリアルなコメントありがとうございました。カラパイアには良い情報を下さる方々がいるので助かります!

      • +1
  6. まだまだデータが、足らんちゅら なんちゃってw

    • -2
  7. Cyriopagopus schmidtiはペットとしてそこそこ出回ってる種類なんだよな
    地中性で地味だからアースタイガーは殆ど飼ってないけどこういう記事みると一匹欲しくなる

    • 評価
  8. オピオイドに吐き気の副作用があるのはガッカリ。
    最後くらい安らかにしてチョーダイ。

    • +1
  9. 要するに鎮痛剤って、一種の痺れ薬(神経の情報伝達を阻害する)
    だから、生物が生成する毒の中には人間に有効な例も有るだろう
    て言うよりも、生物が生成する毒の大部分は未だに未研究な物が
    多い気がする。だって毒を持つ生物って無茶苦茶多いし、
    こういう研究は手間もお金も掛かるだろうし、手付かずになるよ

    • +2
  10. アメリカでは製薬会社が膨大な金を投じてオピオイド処方のハードルを下げさせた結果、オピオイド中毒が蔓延してしまった。近年の医療用大麻解禁の動きの背景にもこのオピオイド乱用問題があるという。何がどう転んでも製薬会社が儲かるようにできている国。

    • +2

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