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冷戦時代、CIAの諜報員として活動していたスパイ鳩。上空からソ連の軍事機密を入手していた(アメリカ)

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(著) (著)

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 ハトは控えめな見た目ながら驚異的な能力を秘めている。一度も行ったことのない土地へ連れて行かれても、そこから数百kmも離れた家まで帰って来れる桁外れの帰巣本能があるのだ。

 大昔からその能力は通信手段(伝書鳩)として利用されてきたが第一次世界大戦以降は諜報活動にも重宝され、CIA(米中央情報局)も目も付けていたらしい。

 このほど、冷戦期にCIAが進めていた極秘の「スパイ鳩」計画の関連資料が公開されたそうだ。資料によれば、1970年代に進められていたその作戦のコードネームは「タカナ(Tacana)」という。

 ハトに小型カメラを取り付け、敵に悟られることなく上空からソ連の軍事機密を手に入れてしまおうという諜報ミッションである。

ハトのものすごい能力に各国の諜報機関が大注目!

 第一次世界大戦以降、諜報活動にも利用されるようになったハト。

 第二次世界大戦が勃発すると、英国の諜報機関MI14は、ヨーロッパの占領地にパラシュートでハト入り容器を投下するという「シークレット鳩サービス」を決行。

 1000羽以上のハトがナチスのV1ロケットやレーダーの詳細を伝えるメッセージを携えて帰還した。

 そうしたメッセージのひとつは「レオポルド・ヴィンディクティブ」というレジスタンスグループからのもので12ページものボリュームがあり、ときの首相チャーチルに直接敵軍の情報をもたらしたという。

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image credit:Pixabay

 冷戦期に入ると英国のハト作戦はほとんどが終了となったが、その力に目をつけたのがCIAである。

 「タカナ」作戦の始まりは、1960年代に実施された各種動物の利用可能性を調べた実験だ。

 資料によれば、CIAはワタリガラスを訓練して立ち入ることができない建物の窓から最大40gの物体の受け渡しを試みたという。

 ターゲットの指定には赤いレーザービームが用いられ、帰還のサインには特殊なランプが使われた。

 ヨーロッパで行われたある作戦では、窓へ盗聴器を投じることに成功している(ただし、目的の音声を得ることはできなかった)。

 さらに渡り鳥を使ってソ連国内にセンサーを設置させ、そこで化学兵器の実験が行われていないか調べられないか検討された。

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image credit:Pixabay

犬や猫、イルカを諜報活動に利用できないかCIAが実験

 詳細は機密扱いで詳しくはわからないが、脳に電気的な刺激を与えることで犬を操るといった実験も行われていたようだ。

 これに似た事例として、ネコの体内に盗聴器を移植する「アコースティック・キティ」という作戦も以前報告されている。

 イルカを利用して港湾施設に潜入できないか検討した実験では、訓練士の命令を聞くようにはなっても、CIAエージェントになかなか従わないという問題が発生した。

 フロリダ州キーウェストで実施されたイルカ関連の実験では、ハンドウイルカを使って敵艦に水中攻撃を仕掛けられないか検討された。

 このテストでは、イルカにセンサーを搭載してソ連の原子力潜水艦の音波を検出したり、付近の施設から放射性物質や生物兵器の痕跡がないかどうかを偵察させるといった可能性や、航行中の船から物資の受け渡しができないかどうかも検討されている。

 1967年までにCIAが3つのプログラム(イルカの「オキシガス」、鳥の「アキシオライト」、犬猫の「ケーシェル」)に投じた資金は、60万ドル(約2億1000万円)にものぼるのだとか。

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image credit:CIA

スパイ衛星よりも優れていたスパイ鳩が撮影した写真

 こうした実験を通じてハトがもっとも有用であることが証明され、70年代半ばになると一連の実験ミッションが行われるようになった。

 ハトには2000ドル(約60万円)のカメラが取り付けられた。重さわずか35グラムの軽量タイプだったが、実験で撮影された140枚の写真の半分はかなり鮮明で、歩行者や車を詳しく確認することができたらしい。

 その画質は当時のスパイ衛星よりも優れていたほどで、万が一、人々がスパイ鳩の存在に気がついてしまったときに備えてカバーストーリー(つじつまを合わせるための作り話)も考案されたとのこと。

 CIAはこれとあわせてハトを放す方法もいろいろ検討しており、たとえば厚めのコートから放したり、車の床に穴を開けて駐車中に放したりといったやり方が考案された。

 ほか、時速80kmでの走行中に窓からハトを放つというやり方も検討された。ターゲットとなる施設の数km離れたところからハトを放ち、ターゲット上空を飛行してから指定された巣に戻るよう訓練されたという。

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image credit:Pixabay

レニングラードの造船所に飛ばされたスパイ鳩の運命は?

 そしてスパイ鳩はソ連国内の機密を探るために、極秘裏にモスクワへと送られるようになる。

 資料によれば1976年9月、当時最先端の潜水艦が建造中だったレニングラードの造船所がターゲットに選ばれたようだ。

 その時点で作戦は遂行可能と判断されていた。だが、あろうことか、公開された資料はここで終わっており、実際にどうなったのか事の顛末は記されていない。

 いったい何羽のスパイ鳩が飛ばされ、きちんと帰還したのか? 肝心のこの部分はまだ機密扱いされたままだ。

References:Mirror / Fox news など / written by hiroching / edited by usagi

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この記事へのコメント 26件

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  1. 平和の象徴にされたり軍事利用されたり鳩も忙しいな

    • +13
    1. ※1
      ソロモン72柱の一柱で戦争を司る悪魔ハルファスが人間に召喚され顕現するときに取る姿はハト

      • 評価
  2. >>ハトには2000ドル(約60万円)

    当時の為替レート換算と一文入れたほうがいいんじゃないかな
    今だと、20万円くらい

    • +4
  3. タカナ、食べてしまったんですか!!!!????

    • +7
  4. 空気に漂う見えないナノマシンで敵国の情報を探る時代が来たりして。

    • 評価
  5. 独力で続きを手に入れることができた者には
    CIA採用試験の権利をやろう

    • +4
  6. MI6「この話の続きなら知っている」
    CIA「何故知ってる ? トップシークレットだぞ ! 」
    MI6「KGBの調査報告書で読んだ」

    • +13
  7. 上野を歩いてたら伝書鳩の協会みたいなのがあった

    • 評価
  8. 今は脳インプラント電極とゲノム編集技術で作られたバイオロボ鳩が、公園でパンくずつつきながら大統領のツイッターアカウントを監視してる訳ですね分かります

    • +1
  9. ロシアがアメリカに対してやっていたら、非難轟々だろうなあ・・・

    • +1
  10. レース鳩は距離が延びると帰還率がどんどん下がっていく
    1000km位になると帰って来るのは10~数%だとか
    最初に聞いた時は「そんなに帰って来ないの?」ってビックリしたなぁ

    • +4
  11. 鳩にカメラをつけて云々って言うのは、比較的昔からあるんだよね。
    ただ、昔のカメラは撮影枚数が少ないから
    欲しい写真が撮影できるかどうかは運しだい、だった様子。

    • +2
  12. >作戦のコードネームは「タカナ(Tacana)」という。

    初見で「タナカ(Tanaca)」と空目しちゃって、ほうほう、日系人がプロジェクト内にいたのかしら。とか思って読み進めたら、そんなことはなかったぜ!
    昨夜飲みすぎたようです。

    • +2
  13. カバーストーリーの内容も知りたい。それが効力発揮したケースはあったのだろうか

    • +1
  14. こういう研究はソ連も熱心にやっていたはずだ

    • 評価
  15. ソウカルトの伝書鳩が有名だったそうだ。
    鳩が他所の友鳩を自分の鳩小屋に連れ込んだり、友鳩ができて他所の鳩小屋に逃げて行ったりする。
    英軍だっけ、犬の片目を摘出しカメラを仕込んで調教し、犬の散歩を装いリードに仕込んだレリーズ操作でスパイ撮影した。
    戦後は、米軍がイルカに魚雷を背負わせて船に体当たりさせる実験中に実弾を背負った2頭が脱走して問題になった。
    米軍が中国人スパイに高級士官の軍服を着せて威張らせただけで基地や大和の造船所に自由に入れた。
    日本軍は生身の人間爆弾や特攻をやらせて、発案者の上官が自ら率先すると嘘ついて生き残った。

    • 評価
  16. 太地町のイルカ猟で捕まえたイルカが、海外に売られてるって話がありましたよね。
    大半は水族館とかで飼われるんだけど、
    ロシア等で軍用として飼われてるって報道がありましたよね。

    • 評価

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