
image credit:Pixabay
地球の大地は海の下でも落ち着いているわけではない。火山は見上げるものというイメージがあるが、波間に隠されているとはいえ海底にある火山とてときおり暴力的な爆発を起こし、地球が今もなお生きているのだということを実感させてくれる。
ここでは、そのような海の底にあって激しく活動している世界の海底火山を紹介しよう。
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8. キック・エム・ジェニー
Kick'em Jenny Volcano with Dr. Steve Carey | Nautilus Live
青く美しいカリブ海だが、そこにはきわめて危険な代物が隠されている。東カリブ海唯一の海底活火山、グレナダ沖に沈む悪名高きキック・エム・ジェニー(Kick ‘Em, Jenny)だ。
海底からの高さは1300mで、山頂は海面から200mのところにある。
1939年に発見されて以来、14度の噴火が記録されているほど活発で、その爆発から船や遊泳者を守るために付近は立ち入り禁止となっている。
海底をまるで壁のよう横たわっている急峻な斜面の峰の上にそびえているのも特徴的だ。
ちなみにキック・エム・ジェニーという名称は、足癖の悪いラバによくつけられる名前なのだとか。
7. マヨット島の大噴火
Largest Ever Underwater Volcanic Eruption Moves an Island off African Coast
マダガスカルとモザンビークとの間に浮かぶフランス領のマヨット島。2018年、ここの住民は奇妙な音を聞いた。
しばらくして判明したのは、それは記録史上最大の海底火山の噴火だったということだ。あまりにも強烈な噴火のエネルギーで、マヨット島が数センチ沈んでしまったほどだ。
マヨット島から50kmの沖にあるその海底火山は、高さ800m、全長5kmと巨大なのものだ。だが、じつは、この現象はすべてわずか6ヶ月の間に生じていた。
4000年間、火山活動とは無縁だった海の底で突然凄まじい噴火が起きたという事実は、火山に油断しきっていた世論を震撼させた。
史上最大の噴火が起きる前、マヨット島の住人は小さな地震を毎日のように感じていたそうだ。
6. 地球上で最も深いところにある火山

image credit:Wikimedia Commons
サモア、フィジー、トンガ周辺の海底には巨大な火山がある。しかも活火山だ。1600mもの高さを持つウェスト・マタ火山は、最近噴火した様子を撮影した科学者によって、「海底の独立記念日(underwater Fourth of July)」とも呼ばれている。
それが海底にあったのは幸いだったかもしれない。火山の溶岩は、現代の地質時代において、地球上で最も熱いもののひとつなのだ。
巨大で熱いだけでなく、噴火エリアもまた大きい。非常に背の高い火山だが、その基底は非常に深い海底にあり、山頂で計測してすら記録史上最も深い火山である。
専門家は2009年にボニナイトでできた溶岩堆積物の形成をカメラに収めることに成功。その映像によって、プレートの衝突で地殻岩石がリサイクルされる様子が観察された。
それだけでなく、噴火の際の爆発的な音が録音されたり、火山のすぐそばで生きるエビのような極限生物が発見されたりもしている。
5. ロイヒ海山

image credit:volcanoes.usgs
ハワイは火山活動によって誕生した島で、地球と空気と水と炎が交わる豪快な景観でツーリストに人気だ。そのようなハワイ諸島においても、ロイヒ海山はひときわ専門家から注目されている。位置はハワイ島から35kmの沖合で、山頂は海面から914mの深さにありながら、じつは世界最大の楯状火山であるマウナ・ロア山の山腹にそびえている。
一見、生まれたての火山だが、それは決して新しいということではない。なにしろ、その形成が始まったのは40万年も前のことだ。
ロイヒの成長の経緯から、おそらくいつまでも海底火山ではいないだろうと予測されている。1万〜10万年後には、海面から顔をのぞかせていることだろう。
現在の海底からの高さは3000mで、ハワイでは幼年期(海底火山先盾状発達期)にある唯一の火山だ。火山活動も活発で、1996年夏だけでも4070回観測されている。
4. アラスカに隠された火山

image credit:Geologist Jim Baichtal
アラスカと聞けば、イメージされるのは氷の世界で、炎とは無縁に思える。しかし2013年、1万年の間眠り続けた休火山が南東アラスカで発見された。水深45mと、かなり浅いところにある火山だ。それから2年後、さらに別の火山が発見された。こちらは活火山で、海面から914m下と、2013年の火山よりもずっと深いところにある。
それでも火山活動によって放出されるメタンガスは、海面までの66%のところまでたなびいている。
色分けされた画像は、音響測定器によって作られた、火山とメタンガスプルームのイメージだ。
3. アキシャル海山
Underwater volcano erupts off Oregon coast
海底火山の噴火をリアルタイムで研究する機会など滅多にあるものではないが、米オレゴン州沖にはその絶好のチャンスが潜んでいる。
アキシャル海山は、オレゴン海岸から480kmの沖に位置し、コアキシャル海山やアキシャル火山とも呼ばれている。
噴火口で見られる、溶岩がまるでガラス質の枕のようになった奇妙な構造は、海水による急激な冷却作用によるものだ。
カッブ=アイケルベルク海山群(Cobb-Eickelberg Seamount Chain)の噴火活動の中心であり、同海山群で一番若い火山でもある。
海底から1100m隆起するこの火山は、1998年や2011年など、近年でも何度か噴火しており、2015年にもその兆候が観測された。
構造がシンプルで、火山活動が定期的であることから、これまで詳細に研究をすることができた珍しい海底火山だ。
2. マルシリ海山

image credit:Carmela Capardo
イタリアのブーツの甲の上には、きわめて危険な海底火山がある。縦70km、幅30kmのマルシリ海山はヨーロッパ最大の海底火山で、山頂はティレニア海の海面から450mの下にある。
この海底火山が危険なのは噴火のマグマのせいばかりではなく、それによって津波が発生する恐れもあるからだ。
イタリア国立地球物理学火山研究所は、マルシリ海山は不安定であり、崩壊するリスクがあると述べている。
そのようなことがあれば、膨大なマグマが噴出するという大惨事になるだろう。そのマグマの噴出によって地中海に津波が発生し、イタリアのシチリア島、カラブリア州、カンパニア州をはじめとする各地に襲いかかる。
このような危険性があるにもかかわらず、この海底火山で進行しつつある潜在的な天災についてはあまり知られていない。
1. エクスプローラー海山
Deep Sea Spongetopia on Explorer Seamount | Nautilus Live
北米西海岸最大の島の沖にカナダ最大の海底火山が存在する。バンクーバー島の北にあるエクスプローラー海山だ。
1242平方kmに広がる非常に大きな海底火山で、バンクーバー市よりも大きい。
海底からの高さは2500mで、山頂は海面から830mの深さにある。
火山周辺のプレート活動はプレートの中心を拡大させている。この位置が太平洋プレートとエクスプローラープレートの境界となるのだが、火山はエクスプローラー海嶺の一部だ。
2週間の調査の末に行われた4時間の潜水では、エクスプローラー海山は生物の多様性が非常に豊かであることが判明した。そこにあった海綿は、隠された山に茂る熱帯雨林に喩えられている。
なおエクスプローラーという名称は、1940〜43年にかけて北太平洋とアラスカ湾で操業していた調査船の名にちなんだものだ。
References:Toptenzなど / written by hiroching / edited by usagi
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コメント
1. 匿名処理班
日本みたいに噴火や地震への警戒が強い地域ばかりじゃない。
何も対策をとってない所はヤバいんでないの?
2.
3. 匿名処理班
世界最大級の火山地帯は南極氷床下。
活火山で南極の氷を溶かしまくってる主な原因はこれ。
4. 匿名処理班
日本にも喜界カルデラとかあるよね?
5. 匿名処理班
※4
破局噴火があるかも?と言われてますね。
水中だと水蒸気爆発が起こる危険性が常にありそうというところがちょっと怖いなー。
6. 匿名処理班
ロイヒは知ってる薬局で売ってるよね