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ゾウやサルも地球温暖化と戦っている。人間には真似できない方法で森林を保護(中央アフリカ・南米)

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(著) (著)

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 母なる自然はやはり偉大だったようだ。地球と動物を結びつけ、生きとし生けるもののバランスをとり、調和を保つための基本設計を見出していたのである。

 ドミノを想像してほしい。一番最初のドミノを倒すだけで、あとはその流れが淀みなく続いていく。自然ではそれと同じことが起きているらしい。

 中央アフリカや南アメリカの熱帯雨林のような場所ではこのことはことさら明白で、特定の動物が木々を安全で健康に保つ手助けをする。

 すると木々は成長しながら膨大な量の温室効果ガスを吸収するのだ。

 最近の研究では、そうした木々の世話をする生物が失われれば、森林は危機に瀕することになると警鐘を鳴らしている。そうなれば温暖化の危険がさらに加速することだろう。

ゆっくりと成長する植物の生きる余地を生み出す森の守護者ゾウ

 例えば中央アフリカでは、ゾウは成長が速い木々を食べ、ゆっくりとしか成長できない植物が生きる余地を作り出している。

 そうした木々は成長するために時間がかかるかもしれないが、その代わりに密度が高い。そのために、成長の速いものよりもたくさん炭素を蓄えておくことができる。

 もしゆっくりとしか伸びない木の成長を助けるゾウがいなければ、大気中の二酸化炭素は増すことになり、温暖化が悪化するだろうことが『Nature Geoscience』(7月15日付)に掲載されたシミュレーションから明らかになっている。

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国際条約があるにもかかわらず続く象牙を求めるハンターによる密猟

 研究著者の一人、米セントルイス大学のスティーブン・ブレーク氏は

アフリカにはかつて、ひどい砂漠を除けば、地中海から喜望峰にかけて1000万頭のゾウがいた可能性がある。

1970年代には100万頭となり、80年代の終わりまでにはその半分にまで減ってしまった。ほとんどは象牙取引のために殺されたのだ

と話す。

 ゾウの保全を義務付けた国際条約があるにもかかわらず、いまだに象牙を求めるハンターによる密猟が続いている。

 ブレーク氏によると、象牙は非常に高値で取引されるために密猟者が後を絶たないのだそうだ。

今年のクリスマスでは、いくつの可愛らしいゾウのおもちゃが買われるだろう?子供たちはそれをベッドに持ち込んで遊び、大きくて優しくて、それでいて控えめでしわのある古い動物に魅了されるはずだ。

何人の子供が感動するか分からない。でも、こうしている間に、かつては世界各地で多様な血統を誇っていた大型動物の最後の生き残りが殺されている

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100種類以上のタネを拡散させてるゾウの死は森林の死にもつながる

 ゾウを殺すことで、密猟者は成長の遅い木の守護者を奪っている。また新しい木の成長も阻害する。ゾウは草木を食べながら道を作り、タネを拡散させるからだ。

ゾウが行なっているのは基本的に森林のガーデニング。100種以上のタネを拡散させ、しかもそれ以外の拡散要因よりも長い距離を運んでくれる。

ゾウによる復元力がなければ、森はかつての栄光の影の中に埋もれてしまうだろう

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熱帯雨林の樹上に生息するタマリン。外見は種によって異なる

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未消化のままのタネが混じったフンを落として木々を芽吹かせるタマリン

 同様に、もっと小さな生物たちも森の再生に手を貸している。

 ペルーの熱帯雨林で暮らすタマリン(中南米に棲息するサル)は木に実る果物を食べて、人間による放牧で荒れた土地に、未消化のままのタネが混じったフンを落とす。ここから木々が芽吹くのだ。

 レオントセバス・ニグリフロンズ(Leontocebus nigrifrons)とクチヒゲタマリンの2種はリスくらいの大きさであるが、要するに森にタネをまいている。

 これが重要なのは、中央アフリカの森林と同じく、南米の熱帯雨林もまた炭素を蓄え、無数の動植物を宿しているからだ。

 『Scientific Reports』(7月25日付)に掲載された、新しい森に落ちていたタマリンのフンに混ざっていたタネを調べた研究では、主要な熱帯雨林で見られる8種の植物が発見された。

 研究著者であるドイツ霊長類センターのエックハルト・W・ハイマン氏は

タマリンは撹乱された土地の自然を再生する役割を果たすことができる

と述べる。

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タマリンの働きに頼るのではなく縮小している森を守ることが最重要

 これは大切な貢献である一方、広い範囲を再生するためには十分ではない。したがって、タマリンの働きに頼るのではなく、まずは森林を守ることが大切となる。

 そして、それはそこで暮らす動植物を守ることにもつながる。

 さらに、温暖化はタマリンが餌としている植物を変える可能性もある。これは新しい森林のタネをまくタマリンの力を制限する要因となる。

 タマリンはゾウのようには絶滅の危機に瀕しているわけではないが、まったくリスクがないというわけではない。

 食用の肉とするには小さすぎるためにハンターからは敬遠されるが、ハイマン氏によると、ときどきペットにするために幼いタマリンが捕獲されることがあるという。

 また森自体が縮小しているという事実もある。現時点で深刻な脅威は森林の伐採によるもので、つまりタマリンは家を失う恐れがあるということだ。

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火星にも行けそうなほど賢い人類に森や動物を守る知恵はあるのか?

 アフリカでゾウの研究と保全を20年近く行ってきブレーク氏は、彼らを「複雑な社会を持ち、祖母を敬い、死者を悼む、知的で、愛情深い感情豊かな生き物」と評している。

 その一方で、彼らが辿りつつある運命を嘆き、彼らを保全する義務を無視する者たちを非難する。

私たちは火星へ行くだろう。それを未実現のままにしておくには、人類は賢すぎるから。でも、自分たちの肉体・精神・感情を豊かにしてくれるゾウや森を守る知恵は持ち合わせていないようだ

References:Nature Geoscience / Scientific Reports / Popular scienceなど / written by hiroching / edited by usagi

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この記事へのコメント 43件

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  1. 林の中のゾウのように生きろって感じの比喩が仏教の教えでもよく出てくるね

    • +7
  2. 私は絶対に高い印鑑なんかかわずに、カメさんとゾウさんをまもるぞう!

    • +17
  3. ゾウやキリンやサイといった野生の大型陸上動物は50年後はほとんど絶滅してると思われ

    • +4
  4. 木に登るヤギ「ほんまやー」

    イナゴ「ほんまやほんまやー」

    • +1
  5. 自然の知恵は偉大ですね。それに引き換え人間のする事といったら、、
    ご存知とは思いますが南米アマゾンでかつてないほどの規模の森林火災が発生中。
    おそらくは新大統領の政策が引き金となったのではないかと。

    • +9
  6. >私たちは火星へ行くだろう。それを未実現のままにしておくには、人類は賢すぎるから

    賢さを曲解している

    人類が本当に賢いのならば、遠く離れた火星なぞ行くような
    金銭の無駄や技術者の人的資源の無駄をやらない

    そんな金があったら、今現在住んでいる地球の汚染や温度問題に技術力を集中して解決するわ

    人類は賢いのではなくバカなんだよ

    だから地球をほったらかして火星に行こうとするの

    • -9
    1. ※6
      ブレーク氏の発言は「火星へ行けるほどの技術と知恵を持つ人がいる一方で、野生動物を金銭目的だけのために狩る人もいる」ということで、決して地球環境をなおざりにして宇宙開発を行うことを非難しているわけではないと思う。やや誤解を招く表現だとは感じるが。

      そして何度か言ってるが、「そんなカネとヒマがあったらこっちを何とかしろ」論は非建設的。

      人類が持てるすべての人的、金銭的リソースを一元的に管理して振り分ける意思決定機関なぞ存在しない。いくつかの課題に集中して注ぎ込めば、他の問題が停滞する。専門分野外の人間まで動員するなら、かえって非効率な面も発生するはず。

      なので各々の専門家が使命感をもって個別に問題に当たっている。ほったらかしていないからこそ問題が顕在化している。

      人間のバカさに悲嘆するなら、それこそAIにでも人類の未来を全部投げてしまうことですね。何事もそつなくきれいに解決する賢さが備わる日も、遠い未来ではないでしょうから。おっと、その開発とやらも無駄かな?

      • +13
      1. >>14
        人類の営みもまた「自然」ですよねえ。
        いま必要な食物を得るために森林を焼いて畑を作ろうとする人に、地球の為にやめろと言っても無理ですわな。

        それこそ強力な専制国家でも作って他の国々を征服し、地球統一国家を樹立でもすれば出来るかも。圧政を布くディストピア社会なら、自然も守られるかもしれませんな。

        • -2
        1. ※22
          自分の影響力や責任を矮小化して、子供のように振る舞いたがる大きな子供ってとこか
          なるようになるさの無責任で無秩序な様を自然だと思ってるなら大間違いよ

          • 評価
    2. >>6
      どちらの方がより人的、物的コストがかかるかの話では?
      汚染や大気の問題は国家を跨げば内政干渉になるから、国境という枠のない火星や月に居住した方が実現可能率が高い。理想ではなく現実に近い話をしている人を、自分の「好み」と違うから愚かだと言うのは間違いではないか。

      • +1
    3. >>6
      賢さと同時に好奇心や欲も強いからね。
      それらをコントロールする程、人間賢いかはわからん。

      • 評価
    4. ※6
      何故その一文だけ抜き取るのか。
      「でも、自分たちの肉体・精神・感情を豊かにしてくれるゾウや森を守る知恵は持ち合わせていないようだ」って文章も一緒に読んだら、賢いっていうのはただの皮肉だってわかるでしょ。

      • +7
  7. 星新一で、ゾウが絶滅する日の話があったな
    人類はみんな悲しむけど、誰も悲しむ以上のことはしない感じが、何だかリアルだった

    • +11
  8. 自然破壊も自然保護を唱うのも
    人類のエゴ
    ヒトは自然に抱かれ守られているちっぽけな存在に過ぎない
    烏滸がましいんだよ

    • +1
  9. 本格的なゾウ養殖場をつくって
    スズメやネコジャラシより多く見かける
    身近な生き物にしてしまえばいいんだよね。

    • -5
    1. >>9
      既に海外とかは広大な保護区を作ってんだけどそこさえも襲撃する密猟者がいる限り
      どうもなんねえんだよね…そして象牙を買う国も同罪だよ

      • +23
  10. 精巧な象牙の偽物をハンターに激安で売って
    象を守れないかな

    • +4
  11. こないだ見た「フウムーン」思い出した。
    新人類は先ず地球を捨てるより先にやることがあったのでは、という風にも取れるんだ。
    人間も然りだね、先ずは元の植生を活かした環境の復活と保全に努めるべきなのよ。
    とはいえ、既に開かれた人の営みも全てを否定するわけにも行かない、折り合いの付くところを必死で探さないとならない。

    • +5
    1. ※13
      「フウムーン」自分も見ました。

      今から30年以上前に「24時間テレビ」のアニメ枠で放送されていた、手塚治虫原作のアニメ群が今現在youtubeで「手塚プロ公式」で公開されていて、その中の一つが「フウムーン」なわけで。

      内容は、新兵器の実験その他で破壊されつくした島に新人類がいることが確認された。
      さらにその新人類は世界中から動物をさらっていたが、その理由は宇宙から飛来する「暗黒ガス」が数か月後に地球を覆うため、彼らが作成した「箱舟船」で動物たちを地球外のどこかに移送するためだった。というもの。

      その他、マリンエクスプレスやバンダーブックも期間限定で、公開されているので、興味のある人は見るといいと思う。

      • 評価
  12. 結局、資本主義が一番地球に取って毒なんだな

    • +5
  13. それに比べて南米アマゾンに放火しまくるのが人類です‥

    • -1
  14. 結局どこまで行っても人間を含めた全生物は道具であれ体であれ
    環境に適応させて発達させていくしか生き残る術はなく
    立ちはだかる障害が自分が生む出したものであろうとそうでなかろうと
    何の意味もない刷り込まれた抑えられない
    本能に従って生き延び続けようとするしかないんだろう

    • -3
  15. 同じ面積の土地に限って言えばゆっくり育つ木が1000年2000年かけて大きく育てば膨大な炭素を蓄えてる結果になるけど、現実的に考えれば成長の速い木が短期間で広大な森を形成する方が炭素の蓄えは多いよな。
    大事なゆっくり育つ木が病気やゾウ以外の動物による害で枯れた場合、単にゾウに食い荒らされた無残な土地が残るだけだ。
    成長の速い木なら多少枯れてもまた増えるので、一本枯れたら大損害の木より期待値がずっと高い。

    • 評価
  16. 地球の緑化をコントロールできないうちは酸素もない火星に移住するのはやっぱ無理だと思うんだよなぁ

    • +1
  17. 象牙取引を見つけてもマンモスの牙だと言って逃れる人もいるらしい。

    • 評価
  18. 人間の尻拭いをするのはいつも自然だったね
    成長の遅い木を認識して、見逃すゾウのやり方はもはや里山の人みたいで賢すぎる
    台頭しすぎた木をちょっと間引くと、小さく弱い植物に日の目が当たって森や林に多様性が生まれる
    えこひいきとも言える行動をまさかゾウさんも行なっていたとは、凄すぎる
    先を見据えていないとできない行動だ

    • +2
  19. ハンターにお金を与えて象牙を取る必要がないようにすればいい、とつい先日思ったんだ。

    • +3
    1. ※25
      ゾウがいた方がお金が儲かると地元民に思わせる仕組みがCAMPFIREで実際に効果があった。サファリツアーやゲームハンティングの運営をゾウ生息地の住民に委託する。儲けたお金で畑のバリケードも強化できるし被害を受けても補償されるから農民に駆除されるゾウが減った。ジンバブエが破綻する前の話だ。

      • +8
  20. 人間は自分たちの生活が温暖化を引き起こしてるんだ、
    生物を絶滅させてるんだ、と地球を支配しているかのように言うが
    何だかんだ言って、そんな人間すら生きていられない環境になろうが
    大なり小なりそれに適応する生物は居て、そいつらにとってそこはパラダイスなんだよ

    • 評価
  21. アマゾンの大規模火災も心配だね
    範囲が半端でないからなホントに

    • +3
    1. ※30
      アマゾン、人類にとって大問題。
      酸素供給源の植物だけでなく、一体どれだけの生物が虐殺されたか
      国連決議して何等かの対策、防止策できないのか・・

      • 評価
  22. アフリカゾウは毎日200~300キログラムの植物を食べて二酸化炭素を吸収する植物を減らしている訳だが、食べた植物の分以上に温暖化対策に貢献していることになるの? 植物の種を広範囲に運ぶだけでは釣り合わない気がするけど。

    • -2
    1. ※32
      俺は、記事を鵜呑みにしない冷静で核心を突いた意見だと思う。

      • 評価
    2. ※32
      ※43
      ゾウのフンから発生するメタンガスも温暖化を進めてしまうよね。
      それらを勘案したうえで、ゾウが温暖化対策にどれだけ貢献しているのか数字で示して欲しいものだ。

      • 評価
      1. ※44
        まあその通りだよね、整合性はない
        デカいから消費がかさむのは仕方ない、だからこんなことしか言えないんだよ
        とりあえず象牙のために狩るのは止めようってことでいいと思うな
        というか爪切りみたいに少しとるとかないのかなー

        • 評価
  23. >ドミノ
    狼が放たれたイエローストーン国立公園のようだぁ(直喩)

    日本にはニホンオオカミはもういないんだもんなぁと思うと悲しくてやりきれない

    • 評価
  24. 幸せは、遠くに行かないと手に入らないと思いがちだよね。近くに幸福があると気づけば、身の回りの物を大切にするようになるんだけどね。地球の自然もそんな感じで大切にしたいね。

    • 評価
  25. 仮に人類が存在しなかったとしても、大量絶滅はこれまで何度も起こっているしこれからも起こるだろう
    将来を見据えるなら、人類は自然とは無関係に生存発展できるように進化しなきゃいけないんじゃなかろうか

    • 評価
  26. 地球は最終的にどうなりたいのか気になります

    • 評価
  27. 密猟者は見つけ次第射殺って案があって否決されたけど、それ位の厳しさが必要だろ。

    • 評価

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