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「シベリアのモルディブ」と称されるほど美しい青緑色の湖の正体は危険な廃棄物によるものだった(ロシア)

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image credit: youtube
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 現在、素晴らしい景観が撮影できる場所として、ロシアのインスタグラマーたちの間で大きな注目を浴びているのが「シベリアのモルディヴ」と呼ばれている湖だ。

 鮮やかな青緑色をした湖だが、実は自然が生み出したものではない。その色の正体は、近くの石炭火力発電所から投棄された灰によるものなのだという。

 水に触れるとアレルギー反応やその他の健康被害が起こり得ることから、シベリア発電会社はこの立ち入り禁止区域に警告を発している。しかし、SNSに写真を収めようとする者が後を絶たず、危険な観光名所と化しているという。

「シベリアのモルディヴ」は、危険な産業廃棄物処理地だった

Золоотвал ТЭЦ-5 aka Сибирские Мальдивы! (Версия 0+)/Станислав Ражев

 シベリア地方のノボシビルスク近くにある湖は、インド洋にある美しい島、モルディブを囲む海のような青緑色の水と白い砂浜が広がっており、ロシアのインスタグラマーたちの理想的な観光名所となっている。

 しかし、ここは近くの石炭火力発電所が灰を投棄するために使用している産業廃棄物処理地だ。湖にどっぷりと浸かっている発電所の大きな金属パイプがその危険性を物語っている。

危険をおかしてまで撮影しようとする人々

 鮮やかなターコイズ色の水は一見とても魅力的だが、溶解されたカルシウム塩やその他の金属酸化物を含んでいて、人間の皮膚に接触するとアレルギー反応を引き起こすという。

 区域には危険を伝える標識もある。だが、人々は見栄えある写真をインスタグラムに投稿しようとこの湖を訪れ続け、サーフボートで湖上を走り、ユニコーンの浮き輪に乗って寛ぎ、砂浜に寝そべってそれぞれ写真を撮影している。

危険な観光名所と化している湖をシベリア発電会社が警告

 今回、シベリア発電会社は声明文を発表し、この危険区域に立ち入らないよう警告を促した。

我々のノボシビルスクの灰捨て場が、ソーシャルネットワークで注目を浴びていますが、アルカリ性の高い環境のため、泳ぐことはできません。また、湖の底は粘土質の灰が蓄積しており、一旦落ちると出るのはほとんど不可能です。

この廃棄場に入ることは、軍の射撃場を歩くのと同じ危険性があります。完璧な自撮りを狙う人たちの最大のリスクがここにあるのです。

 写真撮影のためにこの湖を訪れたある女性は、

 「湖は有毒だと聞いたから中には入っていないわ。警告を出しても、ロシア人は来ることを止めないでしょう」と話している。また、禁止されているにも関わらず、湖に体を沈める男性もいたようだ。

スペインにも「地元のモルディブ」とされる危険な場所が

 このような、実は危険な地元のモルディヴと呼ばれる場所は、スペインにも存在する。第一次と第二次世界大戦中、ア・コールニャ地方にあるモンテネームには、非常に価値の高いタングステン鉱山があった。

 今日ではその鉱山へのアクセスは不可能になっているが、別の目的でここを訪れる人が後を絶たないという。

 ロシア同様、ガリシア州のインスタグラマーたちは、「ガリシアのチェルノブイリ」と呼ぶほどこの区域が危険であることを知りながらも、浸水した鉱山を覆う青緑色の湖が自撮りに最適であることを発見。しかしこの湖もノボシビルスク同様、高度な化学物質が含まれているゆえの美しさなのだ。

 周囲の塚には、タングステンのような重金属の巨大な塊があり、それが水と混ざると水に触れた人には目や皮膚の刺激を起こし、深刻な健康被害に至る可能性もある。

 実際に湖に入水したある女性は、すぐに嘔吐を始め酷い湿疹を発症。医師の診断後も症状は2週間続いたという。また、ある男性には2週間ほどアレルギー反応が出たが、インスタグラムに写真を投稿し、「酷い目にあったけど、こんな写真が撮れるならお安い御用」と語ったそうだ。

 ガリシア州の医師らは、「誤って湖の水を飲んでしまうと、消化不良や嘔吐、下痢を引き起こす」と、地元メディアを通してその危険性を警告している。

Electric Hydrofoil, Monte Neme/Virus

References:Oddity Centralなど / written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 57件

コメントを書く

  1. 薄い青色と白い色の組み合わせは清潔なイメージをもつので、どうしても危険な場所だというイメージと結びつかなくなる
    頭ではわかっていても、刷り込まれたイメージから「清潔で清浄な」場所だと誤認してしまう

    • +28
    1. >>1
      自分は逆に間欠泉とか火山性の沼のイメージ強いから怖くて近づけないや(海無し県民)

      • +2
    2. ※1
      毒々しい不自然な色で警戒しちゃうなあ
      逆に工場との組み合わせの写真が一番よく見えた

      • 評価
    3. ※1
      最近海地獄を観光しに行ったが、あれも青かったが全くそう思わなかったな。

      • 評価
  2. 危険を知らないんじゃなくて知った上で評価欲しさに飛び込んでいくとは・・・
    ほんとインスタ蠅という表現がぴったりだな

    • +77
  3. 退院後にかなり肥えたが体重落ちない
    モロデブだから運動しなきゃな🐖

    • -16
  4. 湖を囲うように電気柵でも作ればなんとかなるかもしれないね

    • +5
  5. イギリスでも似たような湖があって
    警告しても泳ぐのがいたから
    湖全体を黒く染色した事例があったらしい

    • +33
    1. ※10
      なるほど、なまじ「美しく見える」から、うわべの見映えほしさのインスタバエがたかるから、あえて「醜くしよう」こういうことですね。

      この場所はとりあえず「うんうん」の色にすればいいかもしれません。

      あと、臭いも再現すれば、近寄る人も減るでしょうし。

      • +2
  6. チャレンコフ光だって綺麗なんだから金属汚染された水も綺麗に違いない

    • +19
  7. ワケわからん…こんな危ない湖よりきれいで安全な場所は他にもあると思うのですが…

    • +13
  8. 南国の海なら自然な色なんだけどね…
    この鉛色の空にこの水色はさすがにおかしい

    • +10
  9. 向こうの米欄が「インスタ蝿ざまあwww」になっててわろた
    日本と変わらない

    • +38
  10. そんなに自分が好きなのか?こいつらw

    • +11
  11. 観光で有名な美瑛町の青い池もアルミニウム成分だから危険だよ
    綺麗なものほど危険なのかもね

    • +4
  12. 掲載されてるインスタのどれもそんなにいいねの数多くないのが儚さを感じる

    • +9
  13. 人間がいなくなれば、どこでも雄大で美しくなる。

    • -1
  14. 水底に溜まった白いものに太陽光が反射して青く見えるんだよね。
    南の海は死んだ珊瑚の外骨格が砕けた砂だけどこっちは石炭火力発電所の石炭灰。
    日本だとセメントの原料にリサイクルしているけどそういう需要がないのかな。

    • +9
    1. ※20
      石炭灰のうちでも軽いやつと重いやつがあって、軽い方はリサイクルしやすいけど重いのは重金属を多量に含んでいたりしてリサイクルが面倒。
      なので管理地に貯めてるんだけど、強アルカリで重金属たっぷりだからこういう色になったりする。

      • +8
    2. >>20
      あっちではセメントの原料にリサイクルするコストを考えたら廃棄した方が良いと判断してるんかもね。

      • 評価
  15. モルディブの写真と比べたら、水に透明感がほとんどないね。

    • +5
  16. インスタグラムって人類を退化させてないか?

    • +18
    1. ※22
      ソーシャルネットワークがバカを作り出すんじゃなくて、ソーシャルネットワークがバカを発見するんです。
      別にネットが発達したからバカが増えた訳じゃなく、昔から一定数居たバカな人達が好んでソーシャルネットワークを使ってるだけです。
      ソーシャルネットワークはバカ発見器として優秀です。

      • +16
    2. ※22
      むしろ「馬鹿ほど早く死に、子孫を残す確率が低くなる」という点で
      自然淘汰を促進しているのでは

      • +9
    3. >>22
      TwitterもInstagramも、どうしようもない考えなしの存在を可視化させただけで、人類は昔からこんなんだったと思うよ。

      • +7
  17. 鮮やかでさえあったらいいなら風呂に絵の具でも溶いてりゃいいのに

    • +4
  18. >近くの石炭火力発電所から投棄された灰によるものなのだという。
    鉱滓ダムかと思ったらそれどころじゃなかった

    • +2
  19. 多分死者が出ても辞めないだろうなぁ
    危険を冒す自分に酔うタイプの人は喜んで行くだろうし

    • +12
  20. 爽やかな見た目と裏腹に濃厚なケミカル臭が立ち込めてそう

    • +3
  21. それよりも一番訳わからんのは「なぜそんな危険な物質を放置している」だ
    上に上がってる湖は全部先進国なのに責任放置してないか
    生態系にもかなり影響あるだろこれ
    放射性物質じゃあるまいし、対策はいくらでも出来るのに

    • +2
  22. 写真って誰も見たことのないものを捉えるとか、戦争カメラマンみたいな冒険家や前線兵的な発想が発明された時からある。
    前人未到な場面をはじめて撮った人とかはやっぱり偉業になるからね。
    でもそういった実は危険と隣り合わせな側面ってあまり認識されてないよね。
    プロの写真家がいかに交渉や下準備に時間かけてるか、あまり知られてないのがな。
    インスタは特に危険性に無自覚に広まってるなぁって印象。
    そのうち宇宙空間まで広がるんだろうな。

    • +7
  23. 飛んで火に入るなんとやら。しかもやめろ、って言われてる場所に突っ込んでんだから迷惑極まりない連中だな。医者も診療拒否していいんじゃねえのこれ、馬鹿に付ける薬はないでしょ

    • +2
  24. 下手したら死ぬかもしれないような場所に「来んなよ」とまで言われて強いて行って
    やることがインスタ映えってのが悲しすぎるな……しかも言うほどいいねついてないのがまた哀れだ……

    • +8
  25. シベリアはともかく、スペインのほうはこの鉱山跡から数km行けば大西洋を望む綺麗なビーチがあるというのに、わざわざこんな所に来なくても。

    • +6
  26. 趣旨とは違うが、そもそもそういうのを湖に廃棄するという時点でアウト過ぎるんじゃねえのってツッコミたい
    「危ないから入るな」って言う前に、やるべきことあるだろ…

    • +2
    1. >>40
      企業は金の為ならなんでもやるけど金にならない事については腰は重いと。。

      • +4
  27. まず向こうの国ってこの現代でも平気で廃棄物を自然界に投棄するんだよなあ。
    その感覚が信じられない。日本から海を隔てたお隣の大陸国と一緒じゃん。
    自然湖だとしたらそりゃ立ち入りも規制できないよね。行政がやらない限り。
    ここまでして撮影する方も正気の沙汰じゃないよね。

    • -4
  28. おそロシアですわ
    ロシア人には恐怖遺伝子がほぼないらしいな、だから恐れというものを知らないで危険大好きらしい
    基本ビビリの日本人なら、まず入ろうとは思わないからな

    • -1
  29. 志賀高原大沼池 青く透き通った池だが、強酸性

    • +3
  30. まごうことなきアホ
    インスタの評価なんぞより自分の健康大事にして

    • +2
  31. こんな危ないところ行かないで白根山の湯釜でも見に来なさいよ

    • +3
  32. ソーシャルメディアが愚者を可視化するようになったというより、やはり自己主張したい愚者は増えているのも事実だと思う。。

    • +4
  33. ネットは人を狂わす力がある。思考が偏ってる人は悪い方向にしか行かないだろう

    • +7
  34. 草津温泉にも綺麗なエメラルドグリーンのダム湖があるよ
    酸性度の高いわき水を石灰入れて中和してるそうな

    • +3
  35. 見栄えさえ良ければいいっていうインスタ蝿の行動原理が如実に現れてるね

    • +4
  36. この手の連中には何を言っても意味をなさないからなぁ

    • +2
  37. ターコイズブルーだから綺麗に見えちゃうんだよ
    黒とか茶色とかにすれば誰も入らなくなるよ

    • +1
  38. 自撮り目的で高所に登ってよく転落死亡事故を起こして社会問題になってたのもロシアの若者だったなぁ

    • +1
  39. え、待って湖サイズの工場所有のため池にわざわざ侵入してんのかこれ

    • 評価

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