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ソーラーパワーならぬスペースパワー。夜の空から発電が可能であることが証明される(米研究)

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(著) (編集)

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Pexels / Pixabay
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 極寒の宇宙と暖かな地球の大気が生み出す寒暖のコントラスト――こいつを利用すれば、ソーラーパネルと似た要領で発電ができてしまうのだそうだ。

 しかもソーラーパネルと大きく違って、こちらのシステムは夜にこそ真価を発揮する。

 夜や悪天候であっても発電が可能な、新しい再生可能エネルギーとして期待されるものこうしたわけである。

ソーラーパネルの仕組みを逆転させて宇宙発電

 太陽光(ソーラー)パネルは基本的に大きな光ダイオードで、シリコンのような素材の中にある電子を励起させることで、太陽から届いた光子(光の粒子)を電気に転換する半導体でできている。

 しかしアメリカ・スタンフォード大学のオノ・マサシ氏らは、このときの光ダイオードの動作を逆転させ、光子を赤外線放射(熱放射)として装置から放射することにした。すると、このときに少量の電気が作られるのだ。

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image credit:Santhanam&Fan、Phys。Rev. B、2016

負の照明効果を利用

 これは「負の照明効果(negative illumination effect)」を利用したものだ。

 具体的には、赤外線半導体を夜空に向ける。地球よりも宇宙のほうが寒いために、熱は宇宙へ向かって逃げようとする。発電はこの流れによって行われる。

 「宇宙の広大さは熱力学的リソースです」と共同研究者のファン・シャンフィ氏は話す。

 「光電子物理学的に見ると、入射から発電するのと放射から発電するのとでは、それはもう美しい対称性があるのです。」実用化はまだ先でも、可能性は広がる
 なお今回の実験で発電できたのは、1平方メートルあたり64ナノワットとごく微量でしかない。それでも、あくまで概念実証の段階なのだから、それに成功しただけでも素晴らしい成果だ。

 実用的な程度に発電ができようになるまでは、もっと効率性を上げる必要がある。現在のソーラーパネルが1平米あたり100~200ワットを発電できることを考えれば、先はまだまだ長そうだ。

 理論上は、適切な素材と条件を揃えることで、今の100万倍以上、1平米あたり4ワットを発電できるようになるそうだ。

 町全体の電力を賄うわけにはいかないかもしれないが、夜間に消費電力の少ない機器を動かす程度なら、早い時点で有望なシステムになるかもれない。

 とりあえず可能なことは証明された。今後は、その性能をいかに改善するかだ。

 そして、その有効性が確認されたのならば、同じ仕組みを機械からの排熱にも応用できるかもしれない——可能性は広まるのだ。

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O12 / Pixabay

 この研究は『Applied Physics Letters』に掲載された。

References:eurekalert/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 42件

コメントを書く

  1. これで1枚のパネルで昼も夜も発電できるようになるなら夢が広がるんだろうけど
    夜の発電は夜専用に作らないとならない、みたいな結果になると残念なことになるだろうなあ…
    なんとか両立するようにしてもらいたいが、それこそ何十年も先だろうかね?

    • +3
    1. ※2
      発電した電力で夜の発電機と昼の発電機を入れ替えるようにしたらいいんじゃないだろうか

      • 評価
  2. 電子冷蔵庫に使われるペルチェ素子でも熱発電可能だけど
    効率も低く大きさが大きくなるのが欠点
    それに比べたら4wでもできれば十分すごいと思うし
    更に大きくなる可能性秘めている
    面白そうな研究なので期待して待っていようっと

    • +3
  3. これってつまり光も届かない宇宙や深海でもエネルギーを生み出せる余地があるって事になるの?
    もしそうなら発電技術の発展によってはどんな深海や宇宙の果てでも電力生み出せるという
    フロンティアスピリッツに火が点く熱い技術だよね

    • +2
    1. ※4
      温度の差がないと駄目なので、あらゆる場所が同程度に低温では駄目。
      深海なら、深海の水を海面近くまでもってくるか、あるいは海面近くの海水を深海までもっていかないと発電できない。
      この例だと
      夜になると冷える→宇宙は地上に比べて冷たい
      だから発電可能。
      他にも
      原発は安全性の問題から火力と比べ高温高圧の水蒸気は作れない→原子炉と外気(海水)の温度差が大きく取れない→原発は火力と比較して低効率である
      こんな感じ。

      • +1
  4. ないよりマシか、あるだけ無駄か
    研究費もそうだが初期投資も半端ないからな
    せめて理論値があと5~10倍になれば
    川辺で水車増設した方がマシになりそう

    • +2
  5. 人工衛星みたいに軌道上に置けるようになればエネルギー問題の大部分が解決しそう
    何百年後とかになるかもだけど

    • 評価
  6. これ探査衛星とか宇宙開発で発展しそうだよねぇ

    • +12
    1. ※7
      有人宇宙船の放熱に応用できそうだよね

      • +3
  7. 発電目的ではないけど、放射冷却を利用した冷蔵庫は10年以上前に見た記憶がある。
    その後普及した話は聞かないから、実用性に問題があったのかな。

    • +4
    1. >>8
      モンゴルに日本人が普及させていたのをTVで見たよ。

      ソーラーおよび放射冷却による発電ができる冷蔵庫ができるね。

      • +1
  8. ペルチェとフォトのは昔から知られてるけど、発電力が小さすぎるんだよね。
    素材のブレイクスルーでもあったのかな?

    • +2
  9. 常々、雪の冷たさを使って発電ができないものかと思っていた

    • +3
  10. 随分前から日本でこれをやってる人がいたように思う。
    熱放射を利用して冷蔵庫にしてるんだけど。結構冷えるらしい。
    量子効果で宇宙の深淵とエネルギーを交換する、未来的だ。

    • +3
  11. 地上では使えない発電なのに、なぜか地上のお宅への送電ができそうみたいな話になっていて、理論上のみなのでつかみどころが弱くて……

    • +2
  12. 儲からないから商品開発までいかないコース

    • 評価
  13. 原発関連に使われた予算をこういうエネルギー開発につぎ込んでたらとっくに実用化できてそう
    まあ日本じゃ利権が発生しないと何があっても開発できないだろうけど

    • +2
  14. 地球の磁力とかは使えないのかな?
    原子力は儲かるって聞くから替えるのは難しいのかな、わかんないね。

    • +2
  15. スターリングエンジンでいいような気がしてくるのは自分だけではないと思うけど、科学の発展にこれからつながる技術だと思う(そう思いたい)

    • 評価
  16. 赤外線を宇宙に逃がさないでそれもエネルギーとして利用するってわけにはいかないの?

    • +1
  17. いずれ資源は尽きちゃうんだから、こういう研究は大事だよね。

    • +4
  18. 透過型ソーラーパネルの裏面に使えたりするのかな?
    宇宙空間に適しているのなら人工衛星に良いのかもしれない

    • +1
  19. 実は、発光ダイオード(LED)を使って、発電できたりする。

    たとえば、LED電球に線をつなげてこの電球のLEDのパネル面を太陽とかに向けると、LEDが太陽電池の役割を果たして、発電することが可能。

    嘘だと思う人は、youtubeとかで「発光ダイオード 発電」で検索するといいよ。

    • +1
    1. ※22
      光電効果ですな
      ガラスモールドの小信号用ダイオードでも同じことができるよ

      • 評価
      1. ※26
        そうですね。

        しかも、この「光電効果」は「ゲルマニウムダイオード」でも、成立するようですし。

        ていうか、太陽電池自体が、記事本文中にもある通り「ダイオード」の一種なわけですが。

        • +2
        1. ※27
          ちなみに、半導体であれば光電効果は得られるので、黒サビのカッターの刃の表面(ほんの少しだけ半導体の性質がある)でも発電できちゃったりするよ

          • 評価
          1. ※33
            黒サビで発電できるとは、これは驚きですね。

            しかし、LED電球を太陽電池として利用する発電方法は、災害時に役立つライフハックになるようなので頭のすみにでも入れておくと、いいでしょうね。

            • 評価
    2. >>22
      LEDを並べたスティックで線画を読み取って、振ると空中に光で再生するおもちゃがあった気がする

      • 評価
  20. 重要なことを書いてない
    「曇ってるとだめ」
    放射冷却と考え方は同じだから、くそ寒い宇宙が見えてないとだめなんだ

    • +7
  21. 今の文明って極論を言えば「いかに電子を動かすか」に集約されると思うんだよね。そこだけを考えればもっと多様な方法が生み出されてもいいのかもね。その重要な鍵の1つが高温超伝導体で、恐らくそれを解き明かすのが量子力学なのかな。

    • +2
    1. ※24
      広い意味でいうと、生命活動も「電子の伝達(移動)」によって、営まれているので案外「電子を制するものは世界を制する」のかもしれませんな。

      • +1
  22. 放射冷却で気温が急激に下がるときは発電量が多いってことかな

    • 評価
  23. さっぱりわからないが実に面白い。
    温めて発電⇔冷やして発電を繰り返せば昼夜問わず電気作り放題になるのかな

    • 評価
  24. これは、エントロピーの増大則を発電に利用している事になるのかな。
    熱源を宇宙に持ってゆけば、赤外線の放射で熱源が冷えるまで発電を続けるのかな。

    • +1
  25. 宇宙ステーションや人工衛星の
    太陽電池パネルの裏側にコレ付ければ
    両面で発電出来てウハウハ的な。

    • 評価
  26. しかしこれは何発電と呼べばいいんだろう

    • 評価
  27. 富士フィルムが似たようなことやってたと思ったら同一人物かな
    ttps://gigazine.net/news/20190509-electricity-coldness/

    • 評価
  28. こういうエネルギー系の新発明ってニュースでちょくちょく見るんだけど
    なかなか実用レベルまではいかないんだよね・・・
    全個体電池とかそろそろ実用化らしいけど楽しみだなあ

    • +1
  29. 空気が断熱材の役割をしない宇宙空間なら温度の高低差が最大値になるので、
    人工衛星や宇宙ステーションの太陽電池パネルで 影の時も発電が出来れば効率がいいですね。
    また、電線を使わずに送電できる技術があれば宇宙空間に発電所を置けるので、よりスマートな発電システムになりそうです。
    テスラ先生、蘇って新型発電・送電システム発明して頂けませんでしょうか!

    • +2

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