
Image by InspiredImages from Pixabay
イギリス南部・ソールズベリーから北西に13km進むとそれはある。ストーンヘンジは環状に巨石を直立させたストーンサークルだ。考古学者はストーンヘンジが紀元前2500年から紀元前2000年に作られたと考えている。そんな大昔にいったい誰がこの巨石を持ち運び、ストーンヘンジを作ったのか?
現代の遺伝子解析により、その謎が明らかになりつつある。
ストーンヘンジを作ったその先祖は、トルコからイギリスへやってきた移民だったようだ。
広告
イギリスに農業革命を起こしたトルコの移民
今から6000年ほど前、エーゲ海沿岸の現在のトルコにあたる地域からやってきた農民たちは、ヨーロッパ本土を横断し、しばし地中海地域と入り混じったあとでブリテン島へ渡り、そこへ農業を伝えた。そして彼らは、ほんの数世紀ほどで、当時そこで暮らしていた土着の狩猟採集民たちと入れ替わってしまった。
そう、イギリスに農業革命をもたらし、やがてストーンヘンジを建設することになった人々は、トルコからやってきた移民だったのである。
古代ブリテン島の住人の遺伝子を解析
『Nature: Ecology & Evolution』に掲載された研究では、紀元前8500〜2500年前のグレートブリテン島で生きていた人々のDNAを解析した。その対象となったのは、6名の新石器時代の狩猟採集民(1万1600〜6000年前)と47名の新石器時代の農民(6000〜4500年前)だ。その中にはイギリスで発見された最古のほぼ完全な人骨「チェダーマン」も含まれている。
新石器時代のブリトン人「チェダーマン」
解析の結果、ほとんどの狩猟採集民は、エーゲ海沿岸地域出身の人々を祖先とする農民によって入れ替わっていたことが判明した。Work involving @nhm_london scientists has revealed the face of ‘Cheddar Man’. ‘The First Brit’ will screen on Channel 4 on Sunday 18th February. pic.twitter.com/K8p3csTwJh
— NHM Anthropology (@NHM_Anthro) 2018年2月7日
彼らの遺伝子構成は、現代のスペイン人やポルトガル人に近いものだという。
移民が古代のイギリスに残した大きな足跡
研究から明らかになったもっとも重要なことは、彼らがそこに遺伝的な足跡を残しただけでなく、農業という革命をもたらし、さらには新しい埋葬習慣、土器、モニュメントの建設といった文化的な影響をも与えたことだ。農業への移行は、人類進化史上もっとも重要な技術革新の1つです。イギリスにそれをもたらしたのが大陸から移住してきた農民であったのか、それとも土着の狩猟採集民が取り入れたのか、これは100年以上も続いてきた議論でした。(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン マーク・トーマス氏)ほかのヨーロッパの狩猟採集民の大半と同じく、新石器時代のブリトン人は浅黒い肌に青い目をしていた。
しかし、こうした遺伝子は、エーゲ海出身の農民が到来したことでさっと一掃されてしまった。このことから、土着民族は比較的少数であり、新参者たちにすぐに飲み込まれていったことが窺える。
ヨーロッパにおける人類の複雑な移住史
じつは大陸からの農民たちについてももまた、その遺伝的な変遷の歴史について長きに渡る厄介な議論がある。トルコから始まった彼らの旅は、地中海と現在のドイツにあたるライン川・ドナウ川の両方に沿って広まり、その途中で文化や遺伝子を拾っていったとされる。
今回の研究は、ヨーロッパやさらに広い地域における移住と遺伝子の伝搬の歴史が、一筋縄では理解できないことを思い起こさせてくれる。
それは想像以上に複雑に織り成されているのだ。
References:nhm.ac.uk / sciencealert/ written by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい





コメント
1. 匿名処理班
誰が作ってもいいじゃない
2. 匿名処理班
岩自体は年代測定が出来ないのだから、この推定が正しいといえない。
ならその時代に居たとされる骨を調べても答えは出ない。
まあアプローチは多いほうがいいが、教科書を書き換えるほどじゃない。
3. 匿名処理班
宇宙人が片手間に積み木しただけだよ。
後で人間がああでもないこうでもないと言っているだけ。
4. 匿名処理班
今あるストーンヘンジは現代になってから修復(倒れないようコンクリで補強等)して綺麗に並べ直したもので、当時の姿はしてないんだよね。
あと何世紀にも亘ってちょっとずつ石を運んで来て足していったので、統一した意思の元に造られた訳ではない。
ストーンヘンジには新石器時代からの遺体が無数に埋葬されており石が立つ遥か前から墓地だったのは確実だが、中には遠く離れた土地の人種も混じっているようなので、トルコ移民がそこにいても不思議はない。
5. 匿名処理班
チェダーマンが今の一部のイギリス人の祖先だったってこと?
でも現代では(目は青でも)肌は浅黒くないよね。
その後、また違う民族が繁栄したって事かな?
6. 匿名処理班
当時のトルコあたりの地域をトルコと呼ぶのはなんか変な感じがするわ
7. 匿名処理班
マスターキートンを思い出しました
8. 匿名処理班
何一つ「解明」された感じがしないなぁ。
ストーンヘンジから物的証拠が発見されたわけでもないんだし、「可能性が増えた」だけのような?
9. 匿名処理班
※5
ざっくりした感じだけど
チェダーマンがケルト人に追いやられて、ケルト人もゲルマン人、アングロサクソン人、バイキングなんかに追いやられて今のイギリスに
10. 匿名処理班
現在のトルコ周辺から英国へ移民して来たストーンヘンジを建造した古代人達と、かなり時代が前になるけど、ギョテクリテペを建造した古代人達と血縁関係があったりあるんですかね?
11. 匿名処理班
※6
当時トルコはなかったんだけど。
今のトルコがある所に当時住んでいた人な。
12. 匿名処理班
ストーンヘンジの造られた理由は永遠に分からないんだろうなぁ・・・
13. 匿名処理班
実は今トルコに住んでる人達の故郷は中央アジアらしい。
14. 匿名処理班
古代のヨーロッパ人は肌が黒い人種だったんだっけ?
15. 匿名処理班
※5
ゲルマン人といえば金髪碧眼の白人だけど、古代ゲルマン人もチェダーマンのように浅黒い肌に黒髪の人種だったそうだよ
金髪碧眼の白人というのはヨーロッパ原種じゃないわけだね
16. 匿名処理班
チェダーマンの見た目アジア人でびっくり。
17. 匿名処理班
やはり白人の特徴はネアンデルタール人由来なのかね?
18. 匿名処理班
現在のトルコにあたる地域からの移民っていうのも新鮮だけど、照れ笑いみたいな複雑な表情で復元した人たちはセンスあるなぁと感心してしまった。
19. 匿名処理班
『チェダーマン』をどこかで見たな?と思ってたら 竹中直人だった、思い出せてスッキリした。
20. 匿名処理班
実はこの時代に帰って来る為に設置したゲートなんだ。
大掛かりな古代テクノロジーのほぼ全てに等しい部分は深く沈んでしまい、地中に埋もれてしまっている。
ストーンヘンジと呼ばれるあの石は、古代人がセレモニーとして更に古い超古代の伝統儀式としてセットしたものだよ。
21. 匿名処理班
陽の弱い地域に長年住むことで、数千年かけて肌の色が薄くなってゆく事ってあるのかね。
22. 匿名処理班
>>6
そう考えるとモンゴル高原あたりが出自の民族の言語がその話者の人種を丸っきり変えてトルコで話されているって凄まじいな
23. 匿名処理班
ケルト人の前にブリテンに住んでた謎の民族ってやつだろ。解明されたのかよ。
「チェダーマン」って呼ぶのか? 複数形は「チェダー民族」とかでいいのか?
24. 匿名処理班
ストーンヘンジはやらせだとどこかで見た気がする
25. 匿名処理班
チェダー民族のなごりがチェダーチーズ?
26. 匿名処理班
※2※3 ストーンヘンジの石積の形状は今と違うにしても、お祀りの場所として長いこと使われてたのは確からしいよ。居住民族変わっても、お祀りの場所として使われ続けたみたい。
葬られた歴代の各民族の人骨(民族の違いは副葬品からまず仮定できる)とはまた別に、お祭りで屠られたらしき豚さんの骨(解体痕と焦げ痕がある)も多数出てる。葬るばかりの場所じゃなく、皆が集まるお祭りの場所でもあったみたいなの。
石はたしかに炭素年代測定の対象外だけど、骨はできるから、炭素年代測定できるようになってからは亡くなった各年代も測定されてたよ。
今回の記事だと、副葬品と亡くなった年代まではわかってた人骨の遺伝子をさらに調べてみたら、この人の先祖はトルコ出身だったよ!ってかんじ。
お祭りで屠られた豚さんの骨も、微量元素分析したら含まれる微量元素の配分がストーンヘンジの土地と一致しないから、近隣の集落から川筋使ってストーンヘンジ位置まで豚さん輸送して、お祭りの需要に応えてたんじゃないかって、こないだ仮説が立てられてたな。
居住民族が変わってもお祀りとお祭りの場所にしたい魅力のある土地だったんだろうね、ストーンヘンジ。
※21 ここ20年くらいの研究によれば、肌色が変わるには数千年と言わず、数百年で充分らしい。弱い日光からビタミンDを得るのには白肌が、強すぎる日光で炎症その他の病気起こさないのには黒肌が、そこで生きるため重要だから。
ただ、記事と上の研究をあわせて考えると、このトルコ出身の民族たち、肌がイギリスの土地に適応したあたりでケルト民族に追い出されたことになる。
いつの時代も資源を争う状況だと、世界は厳しい。
27. 匿名処理班
ジョン・クリーズ主演
「無法者チェダー」
28.