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適応進化か?極端な低酸素環境でも生存できる魚が発見される(米研究)

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(著) (編集)

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image credit:youtube/Scripps Oceanography
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 世界中の海や河川には、酸素がほとんどないデッドゾーンが広まりつつある。ここでは魚とて呼吸ができずに窒息してしまう。

 ここ数十年で爆発的に生じているこの現象は、人が作り出す災厄の複雑な相互作用と相まって、海洋生物の絶滅レベルを悪夢のように引き上げている。

 だが、こと酸素不足に関して、一部の魚はそれほど動じていないようだ。

 新しい研究によると、これまで致命的と考えられてきた極端な低酸素環境でも生存できる魚が発見されたそうだ。

Hypoxia Tolerant Fish Species in the Gulf of California

カリフォルニア湾のデッドゾーンに生きる魚

 2015年、米スクリップス海洋研究所のナタリア・ギャロ(Natalya Gallo)氏らは、モントレー湾水族館研究所と協力し、リモコン操作式の潜水ビークルをカリフォルニア湾のデッドゾーンに沈めて調査を行なった。

 このときビークルのセンサーが示していた水の酸素濃度は、通常の100分の1以下、別の低酸素環境に強い魚が耐えられる濃度の10分の1から40分の1でしかなかった――にもかかわらず、そこにはたくさんの魚がいたのである。

 それらはアシロ(学名 Cherublemma emmelas)、オタマトラザメ(学名 Cephalurus cephalus)、ネズミダラ(学名 Nezumia liolepis)、ソコグツ(学名 Dibranchus spinosus)で、ギャロ氏は目を疑ったという。

 その代謝需要のために、魚にはここまで極端な低酸素状態に対する耐性がないと考えられてきたからだ。

 アシロやオタマトラザメのような例外的な魚であってさえも、その生息域は一番深くてせいぜい600~900メートルだ。

 これらに加えて、ネズミダラとソコグツもいたが、こちらは数が少なく、より酸素が多いところを好んでいるようだった。

 これらを目にして、ギャロ氏は即座にこれまでの理解を覆すような魚であることを悟った。

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image credit:youtube/Scripps Oceanography

巨大なエラが取り込む酸素量を増やす?

ギャロ氏らは、アシロやオタマトラザメがどのようにしてこうした極端な低酸素環境で生きる柔軟性を身につけたのかきちんと説明できてない。

 しかし仮説として、エラが巨大化したことで、取り込める酸素の量を増やすことができたのかもしれないと推測する。

 また小さく柔らかい体のおかげで、代謝の要求を低く抑えられるとも考えられる。

好低酸素生物

 極限環境に生きる生物には、その能力に応じた名称が与えられている。

 たとえば高温に耐えられる生物なら好熱生物、高濃度の塩分に耐えられる生物なら好塩性生物といった具合だ。

 今回のアシロとオタマトラザメには、その極端な低酸素耐性を言い表す別の新しい名称が必要だとギャロ氏らは考えている。

 その候補として提案しているのが「ligooxyphile」——ギリシャ語で、「低酸素を好むもの」を意味する(日本語にするなら「好低酸素生物」だろうか)。

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image credit:youtube/Scripps Oceanography

多くの生物がこうした適応を強いられている

 この驚異の能力がどのように身につけられたのだとしても、それは悲しいことに他の海洋生物たちが真似をせざるを得ないかもしれないものだ。

 そして、その試みの中で死に絶える生物もたくさんいるだろう。

 こうしたことは、極限微生物ですら直面しているかもしれないと研究者は警鐘を鳴らす。

 かねてから海洋環境の急速な変化について専門家から懸念されているが、こうした変化は最高の低酸素耐性を持つ魚にとってすら厳しいものかもしれない。

 海水温の上昇によって酸素が海水に溶けにくくなり、海がますます過酷な環境に変貌を遂げているからだ。

References: Sciencealert

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この記事へのコメント 29件

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  1. 人間だって高地に住む人は信じられないくらい低酸素状態に強いもんね

    • +9
    1. ※2
      魚系の記事になると本当こんなコメントばっかだよね
      何も面白くもないし何のつもりなんだろ

      • -9
      1. ※7
        それが生物学/生化学発展の原点だから。
        あまり過小評価するのもいかがなものか。

        • +8
  2. 強いられているとは乱暴な言い方だな
    低酸素環境に適応した彼らにとっては、酸素濃度が高い場所こそ危険な場所になっているであろう
    多様性を認めるのだ、人間が住めない星になってもそこに適応する生物は必ず現れる

    • +6
  3. 頭足類は筋肉のポンプで鰓に大量の海水を送り込めるから低酸素水域でも問題なく呼吸できるとか。数個の穴が開いただけの単純な鰓しか持たなかった魚類の先祖が川を上ったのは一定の水流のおかげで呼吸が楽だったからじゃないか。

    • +4
  4. こうなるまでにどれほどのおさかなさんが苦しんだんだろうって思うと涙なしには見れない

    • +3
  5. 低代謝で冬眠状態みたいになってるのかな

    • +1
  6. 酸素って生物に不可欠なものだけど、細胞を老化させるとかいうでしょ。低酸素だと長生きするのかな。

    • 評価
  7. 不思議なことだ。
    地球は現在氷期の中間にあたり、決して高気温ではない。
    地球史は今よりも高気温の時代の方が圧倒的に長い。
    であるのに、現生魚類を見る限り、このような進化をした痕跡は見られない。
    これは本当に温暖化が原因だろうか。
    何か、進化や地球の現状に対して人間は根本的な認識を間違っている可能性があるんじゃないのか、と思ってしまうな。

    • +4
    1. ※9
      古生代から中生代の温暖な時期は酸素濃度が今よりずっと高かったから、、、、

      • 評価
  8. オタマトラザメ「いつまでも同じ環境で生きられると思ってる腰抜け共に根性みせてやるわ!」

    • 評価
  9. べ、べつに低酸素を好んでるわけじゃないんだからね!///

    • +3
  10. ここまでエラが大きいと、口からの水流ではなく直接外から酸素取り入れてそうだね。

    • 評価
  11. すごいな、まさにミュータント。
    生き物ってのは柔軟というかしたたかというか・・・
    ただ、ここまで過適応しちゃうと他の環境ではどうにも不利だろう。
    味についてのコメントあったけど、深海魚だしライバルもあんまり居ない環境で暮らしてるうえ多分浮き袋も持ってない脂質で浮力を得ているタイプだろうから、柔らかく脂っこい身質だろうな。
    バラムツみたいに、すこぶる旨いんだけど後で大変なことになりそう・・・

    • +3
  12. 大昔には海洋全体が無酸素状態になった、なんてこともあるそうだしそんなに驚くようなことでもないべ

    • +6
    1. ※18
      そもそもが太古の海で当時の地球に溢れかえっていた二酸化炭素をバクテリアや藍藻が栄養源に利用しまくった末にその排泄物(=副産物)として遊離酸素を大量に放出した結果の今日の酸素型生物の発展だからねえ。
      つまるところ、酸素の有無が直接的な生命誕生の絶対条件ではないんだよね。
      酸素型生物にとっては、っていうだけで。

      • +5
  13. 高温のせいで、海の酸素が減少している事を知らなかった。。。

    • +3
  14. 肺を持たないイモリなんてのもいたね。皮膚呼吸で足りるからなんだろうけど。
    生物の進化はすごいな。
    そのうち無酸素でも生きられるようになるかも。

    • -1
    1. ※21
      海底火山の噴出孔あたりじゃ、すでに微生物レベルじゃない一部の環形類・貝類・甲殻類なんかがバクテリアを触媒にして無酸素且つ高温の硫化水素のスープの中で適応してるね。
      酸素なんて、なきゃないで何とかしちゃうんだな。

      • +1
  15. ラビリンス器官で調べててムツゴロウって聞いた事ある名前だと思って
    検索したら変な爺さんしか出てこなかった

    • 評価
  16. 名前にオタマって付けるとか、かわいらしい。

    • 評価
  17. ジツハ ガマンシテイルダケデ・・・・ウッ・・・クルシぃ・・・・・・・・

    • +2
  18. 何か見たような感じがすると思ったら、これ、田んぼの底だ。
    デッドゾーンって足あとの窪み?

    • 評価

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