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失われたベルリンの壁が発見される

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(著) (編集)

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 今年2月6日、ベルリンの壁はある節目を迎えた。この日は1989年11月9日の崩壊から10316日(約28年2カ月17日)目となり、ようやく壁が建っていた期間を上回ることになったのだ。

 この時期を見計らったかのように、先月半ば39歳のドイツの歴史家が、長らく失われたと思われていたベルリンの壁の一部を公開し、市民を驚かせた。

 実は彼は1999年にこの壁を発見したものの、20年近くもこの秘密をひた隠しにしてきたという。

 ドイツ当局の目も逃れてきた壁の存在。この衝撃的なニュースは海外メディアでも取り上げられている。

Bormann, Lost Place Berliner Mauer

1999年に壁の一部を見つけた歴史家

 1999年、地元の歴史家クリスチャン・ボルマンはベルリン北部のパンコウ区で崩壊から9年を経たベルリンの壁の一部を偶然発見した。

 その驚くべき史跡は、同区内のシェーンホルツ郊外に全長およそ80mも残っていた。

ボルマンが発見していた壁

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 長い間見過ごされていた壁の一部は、かつて有刺鉄線が巻き付いていたレンガやV型の支持具がついており、ほぼ完璧な状態を保っていた。

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失われるのを恐れ貴重な壁を秘密に

 ボルマンが驚いたのは、そのそばには20世紀初期の遊園地の痕跡が残っていたことだ。そこはナチスによってルナラガー強制収容所に変えられた場所だった。

長らく発見を秘密にしてきたボルマン

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 だが彼は自身の発見にも驚きながらも、当時頻繁に起きていた破壊行為によって壁の歴史的価値が失われるのを恐れ、その貴重な壁を守るべくほぼ20年間も秘密にすることにした。

19年後ついに秘密を明かすことに

 そして先月1月半ば、ボルマンはついにその発見を自身のブログで公開して当局にも報告した。公開に踏み切ったのは壁の傷みが心配になったためとも言われている。

 ボルマンはこの壁が優れた重要文化財にふさわしい構造物であると同時に歴史的価値もあるとし、当局にも理解を求めている。彼が望んでいるのはこの壁の迅速な保護だ。

当局の目を逃れ続けていた壁

 それにしてもなぜこの場所が当局の管理を逃れていたのだろう?

 この壁があったのは町はずれの墓地と鉄道の線路の間にある林の中で、よほどの用がなければだれも好き好んで近づかないような場所だ。

 しかもそこは1961年以降、最も関心を払われていない最古の区画だった。有刺鉄線の痕跡を見逃せば、残っていた壁も放置されたコンクリートの壁の一部にしか見えなかった。

 さらに壁にあった“ベルリン”の文字がうっすらと見える印も派手な落書きに埋もれてしまい、よほど注意を払わなければわからなかったという。

落書きだらけになっていた壁

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 そのため、残った壁を管理する当局もそれに気づかず、破壊されたと記録していたようだ。

初期に建設された壁の一部か

 ボルマンによると、今回見つかった壁の一部は当時の東ドイツ(ドイツ民主共和国)が1961年に突如建てた初期の頃のものだという。

 東ドイツが国境を公式に封鎖したのは1961年の8月13日のことで、それ以後、ベルリン西部から東ドイツが隔離される形になった。

 突然都市を隔てる壁を建てられ、市民はショックを受けた。壁を超えようとする人々を阻むため、そこには手始めに有刺鉄線や警報器がつけられたが、のちに厳重な警備体制が敷かれた。

 まもなくその壁は死を象徴する悲劇の壁になった

冷戦後に忘れ去られた?

 ボルマンはこの壁に第二次世界大戦で吹き飛んだ家の残骸が使用されていると述べている。

 また、ベルリンの壁は数回にわたり作りかえられ、最後はコンクリートで仕上げられたが、今回の壁はそれより前に急ごしらえしたもので一部が石畳のようになっているという。

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 しかも彼が見つけたこの壁はどこかの時点で仮設扱いになったらしく、長きにわたって使われた常設部分とは少し違う位置に建っていた。

 その後この区画は、冷戦が終わった時期に当局からもすっかり忘れ去られたと考えられている。

市民も驚愕。賞賛を受けたボルマン

 ベルリン市民はボルマンの発見に度肝を抜かれた。これまで大勢の人が通り過ぎていた目立たない壁が悪名高い障壁の一部であり、誰もそれに注意を払わなかったことに衝撃を受けたのだ。

付近の路上にはベルリンの壁撤去を示す刻銘も見られる

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 長い間この秘密をひた隠しにしていた件については議論が巻き起こってはいるものの、多くの人がボルマンの発見を賞賛しており、ヨーロッパの重要性を発見したと評価する欧州議会議員もいる。

 また、彼が提案した保存案を巡る騒ぎなども今のところないそうで、壁を見守っていたボルマンの願いも順調に行けば叶うかもしれない。

References: atlasobscura / odditycentral

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この記事へのコメント 31件

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  1. この、スプレー缶のらくがきって、どんなに高度な技術をつかおうと、魅力のない代物だね、何が書いてあるかわからないからかな?

    • +3
  2. ベルリンは東西ドイツの国境ではなく東ドイツ領内にあって、ベルリンの壁も東西ベルリンの境だけでは無く西ベルリンをぐるりと囲むように作られてたことを知ってる人って意外と少ないよね

    • +10
  3. 20年も秘密を抱えてたこの人の精神力すごい
    理解が得られる今になって公開するのは良策だと思うな

    • +66
  4. なぜ存在する物を黙ってて批判されるんだ・・・誰でも探せただろ・・・

    • +3
    1. ※7
      ありそうだよなあ…
      落書きする世代は壁が壊された後に生まれた世代だろうし
      学校なんかでベルリンの壁を習っても一部はこのように放っておかれているって思っていたかもしれない

      かくいう自分もこんな感じで残っている場所が貴重だとは知らなんだw

      • +6
    2. ※7
      「ベルリンの壁」を名前程度は知っていても、その歴史の重さや文化財としての価値をまったく知らなかったんでしょ。その落書きした人は。

      • +2
  5. 林の中にあっても写真見ると冬なら枯れてるみたいだし、80mもあったらgoogleアースにも映るし誰か気づいてそうなもんだけれど
    大きなものほど見逃してしまうんやろね

    • +7
  6. 思慮深いという評価はこの人にこそ相応しい

    • +37
  7. 20年も秘密を抱えて生きるのは並大抵のことではないね

    • +9
  8. もうそんなに経ったのか、テレビで皆が嬉々として壁を叩き壊してるのを見たけど、
    俺 壁の破片を持っている東急ハンズで売っていた、

    • +1
  9. 自分も適当に散策したら旧日本軍の弾薬庫発見とか
    何十年以上もオタ内で討論されてた施設の解析など
    どうでもいいもの発見ばかりしたが、仮に公開しても
    相手にもされないのでそのまま封印
    意外に重要なものほど本人には価値がわからんときがある

    • +1
  10. ベルリンの壁が崩壊した時、私の恩師はドイツに留学していた。
    私にとってそれは教科書の上の歴史だった。
    私が学生の頃、911のテロが起こった。
    私の教え子たちにとってそれは教科書の上の歴史だった。

    紙面の文字として知る歴史にまざまざと触れる機会が得られたのはとても有意義なことだと思う。
    残そうと努力しなければ、過去の出来事は驚くほどすばやく風化してしまう。

    • +14
  11. 意味が分からんな
    20年前に発見した以降でも別の第3者に発見される可能性はあったはずなので、本人が黙っても意味がなく、20年間世に出なかったのはたまたまということになる。
    それとも、この土地全体を買い取って隠匿していて、価値が出たところで売却するつもりなのか?
    解説があまりにも不十分すぎる

    • -34
  12. えらい。凄い。
    この人の判断は大正解だと思う。
    沈黙は金というけど、金以上のものをこの人はもたらしたと思う。

    • +6
  13. 見つけて黙ってただけの人が批判の矛先に
    なる時点でこのカベの存在そのものが
    どれだけ狂っていたのかよくわかる。

    • +7
  14. 何人か勘違いしてるようだけど、
    この壁自体は前から存在が知られたけど、ベルリンの壁の一部だとは気づかれてなかったって話やぞ

    • +19
  15. 壁崩壊の後、壁の落書きをプリントしたTシャツが土産物として売られていた事を知る人はいるのかな

    • +1
  16. 52°34’18.0″N 13°22’56.3″E
    グーグルマップで上の座標へ行ってみると、こりゃどんだけ観察してもわからんですね。グーグルマップ画面右下の人形マークをクリックするとストビューモードになり、360度写真がある場所を示す薄い丸が表示されるようになります。現在7か所ほどありますね。

    掲載動画からリンクされている記事
    Kleine Sensation, 80 Meter innerdeutsche Staatsgrenze im Urzustand in Pankow entdeckt(pankowerchronik)
    にも上空からの様子や図面ありますけれど、古い鉄道施設の一部とか付近の施設のはずれ区画としか。
    落書きにベルリンの文字があるのはキッズたちの中にわかっている者もわからずにいる者もいたのかもって雰囲気ですが、積極的に保護も破壊もする気にならない存在と考える人、世代もあるということなのかもですね。今回の発表でいつのまにか崩されていた、ネット販売しつくされていた、なんてことにもなりそうな。

    • +3
  17. 木の葉1枚を隠すには、森に隠せというけれども…普段目にしてるものは見落としがちだからな。一周≈155キロもある壁の一部を見落とすことがあってもおかしくはないかもしらん。壁が壊れたことによる「開放感」は当時あっただろうが、そこで生活している人にとっては、情勢不安定な世界で生き抜くことの方が遥かに大事だしな。当時、就任したばかりの報道官への連絡ミスから「今、現時点から!」発言したことで、民衆が破壊に踏み切ったと報じられているけど、この時すでに、沢山の人が、誰彼となくみんな壁ににじりよってたよ。まぁ、この時、東側では、バスは来んし、交通機関が既にマヒしてたから仕方ないというのもあるかも知らんが。(ワイ、この時、西側の友人とここにいて実際ハンマーで叩いたからとても感慨深いよ。カケラも大事にしまってある)1989年当時は16箇所くらいこうした「壁」が世界にはあったらしいが、2015年頃には、なんか予定されているものを含めると「65」くらいに増えとるらしい。(ちょいデータ古くてスマン)今問題になってる移民受け入れ問題見てると、国境線辺りの治安問題とかもあるから一概に言えんが、なんかみんなで幸せに暮らせる方法ってないもんかなぁ…とひさびさに心揺さぶられた…正解のない答えを出すというのは本当に難しいけど、まず話をしなきゃな…間に合えばいいんだけど…

    • +4
  18. ベルリンに行けば普通に「ベルリンの壁」そのものが売ってた。
    崩壊当時は100万~1000万円というとんでもない値段が付いてたが、しばらくすると二束三文の値段で叩き売られてた。
    歴史的に価値のあるモノとして、購入した日本人もいるんじゃないのかな?

    • +2
    1. ※24
      土産物屋のほとんど偽物らしい…
      高級ホテルで自分で壊すようの壁がとってあって、それは本物らしいが…
      参考までに

      • 評価
  19. 死角ってのは概して物理的に見えないのではなく、人間の心の隙間にこそ出来るのだ
    って言うけど、この事例は実証してますね。見慣れた廃構が歴史的遺物とは思わないよなぁ

    • +7
  20. 統一後の92年にベルリンに行った時はブランデンブルク門近くの露店でコンクリの塊がそれっぽく売ってたなぁw あと東独の軍人さんのコートとか、そんなのも。今は無くなっちゃったから残骸が貴重な文化財に見えるけど、壁がぐるりと取り巻いてた冷戦時は憎むべきものだったんだよ。ひっどい落書きだらけでさ。何か皮肉な話ね。

    • +1
  21. パンコウと言ったらWW2時のソビエトとの激戦地でも有ったよね。ナチス党地下本部からも結構近い。
    その様な場所、しかも現存する鉄道路線のすぐ近くにこれが残っていたという事が既に奇跡だよね。

    • 評価
  22. これは知らんかった
    パンコウったら住宅地やもんなあ中心部からもちょっと外れとるし
    このレンガっぽい壁初めて見たかも
    コンクリのしか見た事なかったわ

    • 評価
  23. 今39歳で20年ぐらい前ってことは19~20歳ぐらいでこの決断したってことでしょ?大したもんだ。…いやでも、大人になってからの方がこういう純粋な正義感は薄れるものかもね。

    • 評価
  24. ボルマンで総統が叫んでる姿しか思い浮かばなかった

    • 評価

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