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解像度の荒い不鮮明な画像を鮮明にしてくれるAI技術が登場

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(著) (編集)

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 PCやスマホの画像を拡大すると、それまでのくっきりとした線がぼやけてしまう。拡大すればするほどに解像度は荒くなりぼやけてしまうのだ。

 まるでモザイクがかかってしまったように不鮮明な画像を鮮明に見たい。そう願うあなたに朗報だ。人工知能型画像スケーリングプログラム「エンハンスネット(EnhanceNet)」が開発されたようだ。これでもう不鮮明な画像に歯がゆい思いをしなくて済む。

AI(人工知能)で低解像度の画像を鮮明に

 エンハンスネットはギザギザとしたドット絵のような鳥の低解像度写真を、くっきりとした画像に変換することができる。

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image credit:arxiv

 前景の小枝を見れば分かるように、なんと元の写真からカメラの被写界深度まで復元してくれる。

 開発したのは独マックス・プランク知的システム研究所の研究者だ。彼らはこのプログラムについて「自動テクスチャ合成による超解像度の単一画像」であると説明する。

 エンハンスネットは、テクスチャを合成して細部を新しく作ることで、低解像度の写真を高解像度のものにスケールアップさせる。

 合成結果は非常にリアルで、オリジナルの写真と見比べても区別がほとんどつかない。おそらく人工知能が凄まじい巧みさでフェイクを使い、現実を再現した初めての事例だろう。

 研究論文で紹介されているいくつもの実験によると、「高倍率における画質の大幅な向上を実現」したという。

 エンハンスネットは「敵対的訓練環境におけるフィードフォワード完全畳み込みニューラルネットワーク」によってこうした画像を作り出す。つまり、他の敵対的ニューラルネットワークと同じく、1つのシステムが結果を生成しつつ、別のシステムが結果の精度を評価する。

 この技術は既存のハイエンド写真スケーリング法を一気に時代遅れなものにしてしまう。既存の最新技術(左)とエンハンスネットの結果(右)を比較すれば一目瞭然だ。

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image credit:arxiv

 左の画像はフォトショップなどに搭載されるスケーリングに相当するもので、過度に滑らかに加工されて細部が失われてしまっている。一方、右の画像では細部まで確認できる。

アプリやOSに組み込むことも可能

 開発チームのメフディ・S・M・サッジャーディー(Mehdi S. M. Sajjadi)氏は、「このアルゴリズムはフォトショップのような一般に流通するアプリにも簡単に搭載できます」と説明する。さらにスマートフォンなどのOSにも組み込むことができるという。こうすれば「スマートフォンで画像をズームした時など、リアルタイムでぼやけを鮮明に修正」できるそうだ。

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 また古い映画を4K画質に変換したり、印刷するとぼやけてしまう昔の家族写真を鮮明にしたりといった使い方もできる。

 さらにニューラルネットワークによる画像の物体検出を容易にするといった応用も利き、グーグルの画像検索から自動運転車による歩行者の検出まで、幅広い用途が考えられるという。

 他にも警察による利用も考えられる。再現された画像は本物を映したものではないが、例えば車のナンバープレートを認識する際などに有用だ。スピード違反の車を撮影する超高解像度カメラの開発を待たずとも、エンハンスネットのアルゴリズムで事足りるのである。

モザイク処理された顔画像にも適応できる

 モザイクをかけられた顔写真にも応用可能だ。この場合、モザイクをかける過程で情報の多くが失われてしまっているため、再現された顔は本人とは必ずしも同一ではない。

 したがって裁判の証拠として使うことはできないだろうが、それでも誰だか分からなかった顔写真の特定には役立つかもしれない。

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 一方、プライバシーの侵害についても懸念される。プライバシー保護の目的でモザイクがかけられていたはずなのに、それを取り除かれる恐れがあるからだ。

 今後は例えモザイクをかけたとしても自分の写真をネット上に投稿するのは気を付けなければならなくなるだろう。

via:tuebingen / arxiv(PDF)

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この記事へのコメント 64件

コメントを書く

  1. TensorZoomというAndroidのアプリもこういうことできるね
    監視カメラのぼやけた画像とかも鮮明にできってことだね

    • +1
  2. これは長年の男達の夢であるモザイク外し機がついに実現しちゃう感じ?

    • +18
  3. ついシモ方面の使い方を考えてしまうのは男の性だろうか・・・。

    • +9
  4. これはもう「写真」じゃないよ
    AIによる創作じゃん

    • +16
    1. ※7 早稲田の「Globally and Locally Consistent Image Completion」という研究では白抜きや黒塗りの補完もされるようですよ…

      • +1
    2. ※7
      その通りなんだよねえ
      まあでもAIはディープラーニングでもの凄い数の写真を見てそこから類推してるから、一般的な風景や動物ならかなり近い形で再現は出来るのだろうね
      地球上(ネット上にある写真)に存在しない特殊な風景や生物的なものの類いだと上手く行かないかも知れないという懸念はあるかな

      • +3
  5. なるほど、つまりこれからはモザイク処理ではだめで、黒塗りや白抜きにしなきゃダメなのか…。

    • +14
  6. フィクションでは割と昔からこういうのあった気がする。
    刑事モノでぼやけたカメラ映像から犯人割り出したりね。

    • +5
  7. 別人の顔を合成した上でモザイク処理をしてがっかりさせるトラップが作れそう

    • +4
  8. 例の野獣先輩のモザイクで試してみてほしい。

    • -1
  9. ボカシ化して欠けた情報は無いままなんだから、
    つまりAIが「たぶん元々はこんな感じなんじゃない?」って想像しながら描き直してくれるってことでしょ?

    • +8
    1. ※13
      だね。
      飽くまでも推測しているだけで、影とくちばしの色の区別がついていないから、鳥のくちばしの先端が割れちゃってる。

      • +3
    2. ※13
      別記事で読んだけど
      ネットワーク上にあるダウンサンプリングのアルゴリズムをAIに学ばせてあって
      都度適切な補間方法をAIが判断して補うとか、そんな感じらしい
      原理的に高精度な補間は無理(それでも今までのよりは大分マシなんだろう)
      だと思うけど、仕組みはかなりシンプルなはずなので
      汎用性はかなり高いと思われる

      • +1
  10. ブラウザに搭載できれば動画配信のデータ容量をかなり削減できて
    最近の回線速度の低下問題を緩和できるんだが

    • 評価
  11. 映画でよくある、明らかに無理な拡大して情報を識別するとかいずれ出来るようになるのかな
    (監視カメラに写った人の顔を拡大してその眼に反射してる物を識別とか)

    • +2
  12. オリジナル画像とオリジナル画像を加工した低解像(モザイク)画像の組を
    大量に学習させる必要がある。
    みんなの夢を叶えるにはオリジナル画像を大量に集める必要があるな。

    • +3
  13. むしろ逆に「AIによって再現されやすいモザイク」が使われるようになったりして
    往年のFLMASK的な

    • +5
  14. これまで公開されてきたモザイク画像も今後の技術ですべて暴露されてしまうかもしれんね

    • +4
  15. 低解像度で描いた自分の画で試してみたが、特に得るものはなかった
    落書きのクリンナップを多少サボれるかと期待したんだけどなー

    • 評価
  16. 昔、怪しい通販で「NASAが開発したモザイク除去装置」なるものが売られていた。でもアメリカは無修正の国なんだから、NASAがモザイク除去装置作る必要ないんだよねぇ。

    • +3
  17. AIが元の画像を想像で描いてくれるってことだよね
    面白いけど裁判の証拠とかにはならないね

    • +5
  18. つかってみたけど
    思うように効果が出ないな・・・ 何か制約があるのかな?

    • 評価
  19. ドット絵のゲーム画像がどうなるのか見てみたい。

    • +6
  20. この技術って進歩すれば本当に元画像見れちゃうようになるのかな?
    モザとかぼかしって映像を見る人にも情報を共有しやすい良さがありつつ
    匿名性は保つことのできるいいツールなのに。
    コレが使えなくなったら映像関係の仕事してる人はつらいだろうな…

    • 評価
  21. みんな心配するな。まじで性能低いから。

    • 評価
  22. 嘘から出た真ということになるのかな
    わからさないナンバープレートの番号をフェイク技術で認識できるようにする

    • 評価
    1. ※41
      アップスケーリングは周りの色から計算して画素を補完する技術
      でもコレは大量のデータをもとに、こういう線と色があったらこう!という学習をして、それをもとに補完する

      人間なら、粗めのモザイクがかかっていても、ホンモノを見たことがあればその部分を描き直すことができるでしょ?
      もちろん経験から想像しただけだから、モザイクの下が本当にそうなってるかは保証できないが大体当たってるでしょ。
      あれをやってる。

      • +4
    2. ※41
      まあ、仮にこれでナンバーっぽい物が再現できても、証拠能力は認められないだろうね

      • 評価
  23. 元より解像度が低すぎる写真は兎も角、レンズの解像力を補助するシステムとして欲しいソフトウェアではあるな

    • +4
  24. 予想した以上に紳士的なコメントばかりで吹いた

    • +1
  25. フォトショップで合成したりしている身としては、良い素材なのに解像度が・・・
    っていう悩みが解決して最高だ。ソフトウェア版が出たら買うわ。

    • +2
  26. モザイクアートの写真をモザイク加工したのもは果たして復元できるんすかね?

    • 評価
  27. 20年以上前から画像アップスケーリングソフトはあるのに
    そんなことすら知らない人が大勢いてワロタ

    • -9
  28. かなりいい感じだけどまだ甘いところがあるな

    • 評価
  29. これSF映画とかで見たやつだ!!
    ついに現実に!

    • +1
  30. 長辺400ピクセルくらいの画像を試しにやってみたんだけど、結果はがっかりでした。顔の変なところに線が入っちゃって。

    • +1
  31. 今まで”waifu2x”と言う似たような物を使っていたがこちらも良さそうだ

    • 評価
  32. こんな技術を待っていたんだ長年溜めた俺の資料が火を噴くじぇ

    • 評価
  33. 水着だけくり抜いて裸みたいに見える画像あるじゃん
    あれも脳内補完のせいで裸を想像しちゃうんだよね
    AIに大量の裸体を学習させると補完画像造れそうだね

    • +1
  34. 科捜研の女
    「亜美ちゃん、画像を拡大・鮮明化!」

    • +1
  35. 100×100倍超解像ってのずっと使ってるけどどっちがええんやろ
    つか動画に対応してくれ

    • 評価
  36. 宇宙空間で撮影した写真を解析するのに役立ちそうですね

    • 評価
  37. 管理人さんリンクが間違っています。Let’s EnhanceはEnhanceNetの技術を利用したものではありません。

    • +1
  38. 子供のころはコナンザグレートのぼかしにドキドキしてました

    • 評価
  39. つまり 戻せない

    しかし、あのモザイクを補完してあるべき画像にすることは可能だろう。

    • 評価
  40. AIが「これは鳥である」「これはシマウマである」「背景は草むらである」と判断してコマを新しく精製するんなら人間の顔、特にデータのない一般人の顔なら役に立たないでしょ

    • 評価
  41. 科○研の女とかじゃ昔から定番だったけど、つい最近までできなかったことだったの?

    • 評価
  42. これで不鮮明な幽霊・UMA・UFO写真を処理させたらどうなるんだろww

    • 評価
  43. モザイク除去するよりもまず局部を修正しなきゃいけない法律を除去しろって。今やネットで普通に見れちゃう。化石の法律。

    • 評価
  44. ハムスターの餌を買いに来たのに、泥棒呼ばわりをされて圧死したお爺さんの事件の犯人も、これで捕まらないかな?
    頼むね、ほんと。

    • 評価

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