
ここで紹介するのは美しさやスケールの点で世界最高クラスでありながら、極めて知名度の低い絶景だ。世界は自然の神秘に溢れているのだ。
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10. スリー・シスターズ(オーストラリア)

それぞれマイナー、ウィムラー、ガナドゥと呼ばれるここは、アボリジニの伝説が伝えられる地だ。
伝説によれば、かつて3人の姉妹が付近の部族で暮らす3人の兄弟と禁断の恋に落ちた。彼女達が駆け落ちしたことで戦争が勃発。
シャーマンは姉妹を守るためにその姿を石に変えた。だがシャーマンは戦争で命を落とした。彼女達を元に戻せる者は誰もおらず、3姉妹は今もなお石柱の姿で風雨に晒されている。
9. フェアリーチムニー(トルコ)

火山によって吐き出された灰が積もり、凝灰岩という柔らかい岩に固まると、その上により硬い玄武岩の層が形成された。気の遠くなるような年月の間に柔らかい凝灰岩が侵食され続けたが、硬い玄武岩はそのまま残り、中空構造が完成した。
そこへ人間がやってくる。彼らはすでに穴ぼこが空いた、まるで中に住んでくれと言わんばかりの風景を目にして、その中に家を作った。
当時、キリスト教は禁じられていた。そんな彼らにとって入り組んだ洞窟は格好の隠れ家となり、ペルシャ、ギリシャ、トルコなどから人が集まった。ローマ帝国で迫害を受けたキリスト教徒が逃れた地としておそらく最も有名な場所だろう。
8. ロライマ山(ベネズエラ)

ペモン族とカポン族にとっては神聖な場所である。彼らに伝わる伝説よると、そこにはかつて果物や野菜をたわわに実らせた大木があった。しかし大木はマクナイーマという邪悪なぺてん師によって切り倒されしまった。その切り株がロライマ山だ。
今日、ロライマ山は果実を実らせないが、その地理学的なユニークさと切り立った崖は大勢の科学者やクライマーを引き寄せている。
また山頂にはまるで終わりがないような雨が降り注ぐ。きっとマクナイーマの伝説はまだ終わっていないのだ。
7. 石林(中国)

美しい景観と生物多様性で知られる中国南方カルストの一部であり、古来から近隣の住民の心の故郷のような場所であった。
ユネスコの世界遺産にも登録されたこの地には、阿詩瑪といううら若き女性が禁断の恋に落ちたために石の姿に変えられてしまったという伝説が伝わっている。
6. ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区(マダガスカル)

石灰岩のカルスト台地が地下水によって百万年以上の時間をかけて侵食されたことで形成された。
その名称はマダガスカル原住民が話すマラガシ語で「裸足で歩けない場所」の意で、マダガスカルの荒地という別名もある。
尖った石の針の森を思わせるここは、きちんとしたハイキングブーツなしには確かに歩くことは不可能だ。にもかかわらず、キツネザルや鳥、マングローブといったこの地ならではの固有種が数多く生息している。
5. ソンドン洞(ベトナム)

既知のものとしては地球上で最大の洞窟で、その大きさゆえにユニークな微気候を有する。定期的に形成される雲とそれによる降雨が、その底に存在するジャングルと川に水分を与えているのだ。
全長9,000メートル。最も深いところでは150メートルあり、数10階建ての高層ビル数棟がすっぽりと収まってしまう。
中に入るのは難しく危険なために、年間の進入許可はかなり限られている。アクセスを容易にするためにケーブルカーの建設が計画されている。
4. ドリフトレス・エリア(アメリカ)

ミシシッピ川に沿って息を飲むような石筍が屹立しており、アメリカの地形でも特に特異な地域とされる。
前回の氷河期において氷河が南へと移動した際に周囲のあらゆるものを削り取ったのだが、ウィスコンシン高地が隆起したことで岩石が帯状に残った。一帯はトリカブトや更新世の巻貝といった氷河時代の名残が数多く残されており、さながらタイムカプセルのようだ。
アルギフィック崖錐(algific talus slope)もまたこの地域特有のものだ。これは氷の詰まった多孔質の岩で、真夏の盛りでさえ触ると冷んやりする。その下には洞窟のネットワークが広まっており、その多くにやはり氷が詰まっている。
3. トール山(カナダ)

カナダ、バフィン島バフィン山脈の一部である高さ1,675メートルの花崗岩でできたこの山には、1,250メートルという世界最高の垂直の崖がある。
それは世界最高のビル、ブルジュ・ハリファの1.5倍! 絶壁は最後の氷河期に氷河によって削り取られたことで形成された。ウイングスーツやハンググライダーの愛好家にとっては聖地のような場所だ。
2. マクマード・ドライバレー(南極)

南極の大半は最低でも厚さ1.6キロの氷に覆われているが、マクマード・ドライバレーは乾燥のために氷と無縁の世界だ。数百万年も雨がないと推定されており、世界で最も乾燥した砂漠となっている。
その原因は2つある。1つは周囲を山で囲まれており、沿岸の雨を防ぐことだ。さらに最大風速時速320キロという強烈な滑降風が空気を温め、内側に入ろうとする湿気をはぎ取ってしまう。その結果が不毛な月面のような風景である。
1. シベリア・トラップ(ロシア)

噴火が環境と大気に与えた影響はP-T境界大量絶滅イベントの原因とされており、これによって当時存在した全生物の90パーセント以上がこの世から葬り去られた。
そびえ立つその姿を見上げることは、史上最大の殺人鬼を見上げるのと同義だ。今日、シベリア・トラップはその壮大な景観と、銅・ニッケル・パラジウムの埋蔵地として名高い。ここから誕生したのが、ノリリスク・ニッケル社という世界最大のニッケル・パラジウム生産者である。
via:10 Incredible Geological Oddities You Probably Haven’t Heard Of/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
奇岩とか山ばかり也
2. 匿名処理班
資源と土地がある国は羨ましいのぉ、、、
3. 匿名処理班
3を見てリトルフットの大冒険を思い出した
4. 匿名処理班
10はゴジラになったようです
5. 匿名処理班
北極の風景が完全に異星のそれ
6. 匿名処理班
中国…デカデカと看板彫っちゃって折角の景観が台無しになってまっせ
7. 匿名処理班
ベトナムの洞窟はそのままの方がいいな
人が入ってよくなったためしがない
8. 匿名処理班
トルコのフェアリーチムニー懐かしい…。小さい頃、本に載ってた写真が大好きで何度も読んだり見たりしてたっけ…。岩に穴空いてるの見るとアリ塚みたいだと思うけど、中も結構面白い感じだった気がするんだよね。あの本どこやったっけ?
9. 匿名処理班
1はスーパー・プルームだね。これによって地上に吹き出したマグマが覆った総面積は現在の日本列島の4倍分はあったはず。もの凄い現象だよね
10. メガ粒子砲
トール山こんなんなっちゃいましたけど。
11. 匿名処理班
スーツアクターが強風で転落する危険も恐れず撮影したシャイダーEDはすごかった
さすがは宇宙刑事
12. 匿名処理班
※6
赤壁にもでかでかと赤壁と書かれてるしそれで台無しになるとは思ってない
感覚が違う事にいちゃもんつけても仕方が無い
13. 匿名処理班
スリーシスターズ、小学生の頃に親と旅行で行ったが反抗期間近の子供だったために何の感動もなく(ふーん)で終わった。
あの時もっとちゃんと…いろいろ後悔。
14. 匿名処理班
ベトナムのやつは出川とデヴィ夫人がイッテQで行ったような
15. 匿名処理班
シベリア・トラップって知らずに聞くと原野商法かな?と思ってしまう
16. 匿名処理班
パカライマ山脈をカラパイア山脈に空見する
17. 匿名処理班
だれか計算してくれてると思ったら、そうでもなかったので計算。
2 の南極の風は秒速 90 メートルですね。
低い気温ながら、フェーン現象が発生してそうですね。
18. 匿名処理班
禁断の恋によって女性が石にされてしまう伝説が
オーストラリアと中国に同じように残っているのが興味深い
19. 匿名処理班
行って見たいけど 人が気軽に近寄れないからこんな景観が保存されているんだよね?
写真だけにしておこうか。
20. 匿名処理班
中国のがっかりすぎるあっちこっちに彫られた文字
自然の物にあそこまで堂々と文字を入れれる神経が中国人らしい
他の岩の見た目もすでにお手入れ済みでは?と思わせる
21. 匿名処理班
南極は、最後の未知の大陸だな。氷の下に幾多の歴史を隠していることか、、
22. 匿名処理班
※6
100歩譲って文字だけ彫るのはよいとしても、
四角く平面に削り取るのはいただけないのぅ。
23. 匿名処理班
※21
大陸から切り離される以前、氷で覆われる以前…凄いよね
24. 匿名処理班
景観を損ねている中国石林の「石林」の文字!!!
何をかんがえているのかなぁ・・・
25. 匿名処理班
妖精煙突マンションに住んでて忘れ物したらたいへんだろーなー。。。
26. 匿名処理班
エズが入ってない!
27. 匿名処理班
10や7、あとロトの妻とか、日本でも
浜で恋人(夫?)を待ち続けた妻が岩になった
みないな昔話があった気がするけど、
どうして岩柱を人の姿に見立てる時
女性にする場合が多いんだろう?
しかも悲恋が絡むことが多い。
岩のゴツゴツした感じって男性的なイメージ
のほうが親和性あるような気がするけど、
神話時代の英雄が岩になって見守っている…的なのは
そんなに聞いたことがない。
優美なイメージのほうが好まれる
世界共通の人間心理があるのか、
それとも、どれかの元ネタが有名になって
世界中の似たような地形の類話に伝播したのか。