2008年1月16日、写真のコミュニティサイト、フリッカー(flickr)は、"コモンズ"という野心的なプロジェクトを開始することを告知した。"コモンズ"の目的は、第一に世界中の写真アーカイブスの中に埋れている秀逸な作品を公開すること、そして第二に、それらを閲覧する人々のコメントや知識を、写真の価値をより高めることに役立てるというものだ。
今年1月、"コモンズ"は5周年を祝った。その時点で56種のライブラリー、アーカイブス、そしてミュージアムに蓄えられている写真は2万5千点を超えた。フリッカーのコミュニティも2万近くのタグと16万5千超のコメントで支えられ、これらの歴史的に重要な写真への見識が世界中に広がっていった。 5周年記念として、フリッカー・コモンズの創立メンバーであるアメリカ議会図書館は、コモンズのメンバーに対し、彼らが最も閲覧し、コメントし、気に入っている写真の一部のリンクを送るよう依頼した。その結果、世界中の素晴らしいコレクションの中から、美しく、ワクワクし、感動を呼ぶ4つの特別ギャラリーが完成した。
そのギャラリーは以下のリンクから閲覧可能となっている。
GALLERY 1 | GALLERY 2 | GALLERY 3 | GALLERY 4
上記ギャラリーから厳選した、特に優れた写真30枚が海外サイトにてピックアップされていた。
1.ヤルタの3人の偉人たち / ヤルタ、1945年
クリミア半島でのヤルタ会談にて。チャーチル、ルーズベルト、スターリン。1945年2月
2.一輪バイク / 1931年
一輪バイク。ウディネ出身のイタリア人、M. Goventosaによって発明された。最高時速150km(93Mph)。
3.スウェーデン、ストックホルム /スウェーデン、1900年
ウップランド地方のストックホルムの南部と、古都(ガムラスタン)を望む景色
4. ポッサムと撮影機 / オーストラリア、1943年
オーストラリア北部の一画にある案内所の撮影機を、尻尾を丸めたポッサムがチェックして撮影技師の代わりをしている。
5.PSA、パシフィック・サウスウエスト航空のフライトアテンダント
6.アルベルト・アインシュタイン、アルバート・A・マイケルソンとロバート・A・ミリカン /アメリカ、1931年
1931年7月、カリフォルニア工科大学のアセニウムの前で撮影したもの。アインシュタインの両側に立っているのは有名な化学者達。アルバート・A・マイケルソンとロバート・A・ミリカン。後方に立つのは左から、ウォルター・S・アダムス、ウォルター・マイヤー、マックス・ファーランド。
7.ケンブリッジのキングス・カレッジ・ライブラリー (室内装飾) /イギリス、1865-1885年頃
設計者はウィリアム・ウィルキンス(イギリス、1778-1839)。建設期間は1824-1828年
8.タワーブリッジを背にする潜水艦U155 / イギリス、1919年
9.FredhallのKarl Oskar Loow /スウェーデン、1933年
Fredhall(スウェーデン、ウップランド地方のある地名)の小作人、Karl Oskar Loow (1873生まれ)の写真
10.マードック夫人の三人の子供達 / アイルランド、1905年
マードック夫人の三人の子供達。アイルランドの街、ケアのKilcoran Lodgeにて。撮影時期:1905年9月27日
11.ジョン・カリー 、モーリタニア /イギリス、1919年
この写真は1919年、リバプールのカナダ・ドックで撮影したもの。制服を着ているのが客船"モーリタニア"の第一機関長のジョン•カリー。英国郵便船モーリタニアはイギリスのタインサイドで造られ、当時は最も有名な船の一つだった。
12.眠る兵士 /ティプヴァル、フランス、第一次世界大戦中
兵士たちが非常に深く、狭い塹壕に立っている、その壁はたくさんの砂袋で固められている。塹壕の奥に集まっている兵士達は、互いの肩越しに深い眠りに落ちている一人の兵士を見ている。そこで眠っている彼は、壁がわずかに張り出している不安定な位置に体をもたせかけているが、とてもリラックスしてグッスリ寝ている様子だ。彼のライフル銃はその手の横に立てかけられていて、装備も一式身につけたままだ。奥に立っている彼の仲間達の顔には笑顔が浮かんでいる。ここにいる全員が土や埃にまみれ、泥だらけのブーツを履いている。
13.ホワイトハウスのリチャード・M・ニクソン と エルヴィス・プレスリー / アメリカ、1970年
1970年12月21日、ニクソン大統領に会うため、ホワイトハウスを訪れたプレスリー。
14.ルート66に立つヒッチハイカーとその愛犬"トリッパー" /アメリカ、1972年
ルート66はアリゾナ州トポックでコロラド川をまたぐ
15.パリ、ノートルダム大聖堂の塔。装飾のキメラ像と男性 / フランス、1865-1886年頃
16.イースタン航空の不時着/ アメリカ、1951年
写真:アドルフ・B・ライス・スタジオ(バージニア州史料館 on Flickr より)1951年6月21日、イースタン航空の飛行機がCurles Neck Farmに不時着した時のもの。
17.Flatekvalの祝典 / ノルウェー、1898年
Eksingedalen溪谷の人々が谷を完全に通り抜ける道ができたことを祝っている。
18.HNLMS ジャワ のデッキでポーズをとるヘラ・ロバーツ夫人 / オーストラリア、1930年
撮影:サミュエル・J・フード (Australian National Maritime Museum on Flickr より)オランダ海軍の所有する軍艦ジャワ、エヴェルトセン、デ・ロイテルが1930年10月3日にシドニーに着港した。この3隻はサーキュラー・キーの西部にある、Oceanic Steamship Companyの埠頭と、Burns Philp and Company Wharfに停泊した。地元の新聞社、シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、その'見たこともないような光景'を報じた。10月10日、その艦隊は「シドニー滞在中に皆さんから受けた、手厚いもてなしをお返しする」として、ジャワの就航式を主催した。ヘラルド紙は著名なゲスト達が、オランダの総領事とその夫人、そしてカイザー提督に歓迎されたと報じた。
19.パイプをくわえた犬 / イギリス
20.ニューヨークセントラル鉄道の20世紀特急、機関車5453号 / アメリカ
21.マクドネル・ダグラス F/A-18C:ホーネット
22. We Can Do It! / アメリカ
We Can Do It! この絵にはロージー・ザ・リベッターという題名もある。1942ー1943年に編集された、軍需生産委員会のシリーズからの抜粋(Record Group 179)。制作:米危機管理局。軍需生産委員会。(1942年1月ー1945年11月3日)
23.新たなドイツ兵の塹壕を手に入れて喜ぶトミー /第一次大戦中
一次大戦中、ドイツの前線にいるイギリス兵達の一コマ。手前の盛り土の周りと、入り組んだ構造の塹壕の中に立っているのは兵隊の一団で、大半が微笑み、笑っている。彼等は皆大きなポンチョに身を包んでいて、地面はひどい泥でぬかるんでいる。一人の兵士が'ドイツ野郎の前線跡'という看板を指差している。
ここでの"トミー"とは、一般的な英兵を表す。その由来は"トミー•アトキンス"という架空のヒーローキャラのことで、その身分が下っ端のイギリス兵だったことから英兵の代名詞になったそうだ。彼等がドイツ兵達を、蔑称である"フン(=ドイツ野郎)"と呼んでいたのは、過去にドイツ皇帝ヴィルヘルム2世(1859-1941)が、戦いの勝利を目指し"フン族のように行動せよ"と自軍を鼓舞したことを揶揄する意味で使われた。
24.海綿を採集するダイバー、John Gonatos /アメリカ、 1945年
フロリダ州ターポン・スプリングスにて。
25.わし座星雲 (M16)
わし座星雲(M16):「創造の柱」を透かして見る。ここは星が生まれる場所で、地球からの距離は7,000光年。比較的近い距離にある。NASAのチャンドラX線観測衛星とハッブル宇宙望遠鏡がとらえた、わし座星雲(M16)の合成写真では、"暗色星雲の柱"がそこで星達を生み出している様子がみえる。チャンドラのデータは(写真の赤、緑、青の色は、それぞれ低、中、高のX線エネルギー強度に相当する)、「創造の柱」と呼ばれるこの暗色星雲の内の、X線源を表す。これは星の誕生が、数百万年前にこの場所で最盛期を迎えていたことを示している。
26.米兵とカンガルーの赤ちゃん / オーストラリア、1942年
撮影: ジョン・アール・マクネル (Australian War Memorial collection on Flickr より)
27.分厚いベーコンを足元に縛り付けて、巨大なフライパンの中に立つ女性 /1929-1932年頃、アメリカ
大きな木べらを持つ巨大なフライパンの中に立ち、群衆に微笑んでいる。場所はワシントン州のチェホールズ。
28.50年代の3D映画 /1951年5月11日、イギリス
3Dの"立体映画"を専用メガネで楽しむ観客。これはロンドンで行われた英国博覧会の催し物の一つとして制作されたもので、サウスバンクに設けられた会場で特別に公開された。
29.クッションで準備万端の小さなスケーター/1933年、オランダ
滑ってる時に転んでも痛くないように、お尻に枕を装着したオランダ人の男の子。
30.舷窓から覗く猫、英国軍艦"ホーキンス" /1919ー1921年頃
via:30 Photos to Celebrate Flickr Commons 5th Anniversary・原文翻訳:R
これまで埋もれていた歴史的写真などが再び脚光を浴び、様々な専門知識を持つ人が活発に意見をかわしながら、新たなる見識を広げていくというこのプロジェクトは、まさにインターネット時代の、グローバルな双方向性を有効に利用しているとも言えるね。
コモンズでは写真を中心としたコミュニティーが形成されているわけだが、ネット上では、写真だけでなく様々な情報を手軽に見ることができ、それに対しての様々な人の意見を見ることができる。そこで、自分とは違う考え方や感じ方をする人が存在するということを認識し、許容することは、自分の視野も広がっていくということになるんじゃないかな。
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コメント
1. 荒い熊ラスカル
マードック夫人ってだれ?
2. 匿名処理班
80年前にもガンツバイクは存在したのか!
3. 匿名処理班
一輪バイクは楽しそう
4. 匿名処理犯
名作発掘は新参者にはうれしいね。
22って写真じゃなくて絵だけど、
絵の写真?でもいいのかな?
5. 匿名処理班
世界史とみせかけて西洋史