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PCBに耐性をもつ魚が誕生、高濃度汚染された水の中でも生きられるように進化した魚たち(アメリカ)

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 ニューヨーク州のハドソン川に生息する小タラ及び、マサチューセッツ州のニューベッドフォード港のメダカは、汚染されていない環境に生息する同類魚ならば死んでしまう程 PCB 濃度の高い水質にも適応している。

 PCBは、ビフェニルの水素原子が塩素原子で置換された化合物でかつては加熱や冷却用熱媒体、変圧器やコンデンサといった電気機器の絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙の溶剤など幅広い分野に用いられた。生体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすい。発癌性があり、また皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすで問題となり、日本でも、1975年に製造および輸入が原則禁止された。

ソース:PCB に抵抗性をもつ魚の進化の鍵が明らかに | スラッシュドット・ジャパン サイエンス

 これらの魚たちがPCBの毒性に耐えられるように進化した鍵は芳香族炭化水素受容体 (AHR) にあるのだそうだ。PCB は AHR と結合することで毒性を発現して生体に害をもたらす。通常の小タラの AHR は、1104 個のアミノ酸で形成されているのだが、ハドソン川の小タラの場合、このアミノ酸連鎖のうち 2 個が欠如しており、DNA の文字配列では 6 文字少ないことが確認されている。結果として変異した AHR は PCB と結合しづらく、ハドソン川の小タラは PCB への抵抗性を獲得することとなったのだそうだ。

 小タラ(tomcod)

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メダカ

 ニューベッドフォード港のメダカの場合、個体ごとに AHR のアミノ酸連鎖に 9 箇所の相違がみられ、連鎖の組み合わせは合計して 26 種類あるのだが、そのうちの 2 つに PCB への抵抗性が確認されている。だがハドソン川の小タラと違って、ニューベッドフォード港のメダカの AHR にはアミノ酸の欠如はみられず、また PCB と結合しないわけではない。PCB と結合しても AHR の機能が影響を受けないのだそうだ。

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 与えられた環境に適応すべく、ゲノムのDNA配列を変化させていく水中の魚たち。魚に限らず地球上の生命体は、生き残るため、その姿や形や性質すらも変化させていっくわけなんだね。

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この記事へのコメント 30件

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  1. 人類も早く高濃度の放射線でも生きられるように進化しないとな

    • 評価
  2. 人間に限らず、全ての生物は宇宙(特に太陽)からの放射線で進化(退化・絶滅)を繰り返してきた結果が現在であるとも言える。

    • 評価
  3. 突然変異と自然選択の王道みたいな感じだね。
    (つっこむのは野暮かもしれないけど、今回変化したのは「転写因子」ではなく、ゲノムのDNA配列だと思われます。)

    • 評価
  4. メダカは強いで
    水槽にえさと水をやる以外なんもしなくても長生きするからなw
    高濃度のアンモニアやpHが不安定でもおkなんです

    • 評価
  5. 「漂流教室」に出てくるようなやつかと思ったら案外普通だった

    • 評価
  6. このネタ古くね?
    とりあえず食えるのか?

    • 評価
  7. 中国人なら食っても大丈夫じゃないか?
    本気で

    • 評価
  8. AHRとPCBとDNAね
    知ってる知ってる
    常識じゃん 最近TVでやってるもんね
    でも俺はバランスの良い食事から摂取したほうが良いと思うよ

    • -2
  9. そんなに素早く進化できるのものなのか

    • 評価
    1. >>12
      進化は、既にある変異を使います。
      たくさんある、でたらめな変異の中から、偶然都合の良いものが見つかることがある。
      つまり、何かが起こってから対応するのでは遅すぎるのです。
      遺伝子プールの大きさが話題になるのもそのためです。
      この場合は、PCBを蓄積しても毒性を発揮しないというだけなので、
      食べたら濃縮されたPCBを摂取することになりますよね。
      自然界に存在せず生分解しにくいPCBを選択して強制排出したり、分解無毒化を進化に求めるのは難しいと思います。

      • +2
  10. それメダカじゃなくてカダヤシじゃね?
    似てるからまあいいけど

    • 評価
    1. >>15
      米国原産で Killifish と呼ばれているのはみんなカダヤシの仲間だね
      この記事の魚もカダヤシの仲間、写真はどっかからもってきた日本のメダカの写真だけど
      Fundulus heteroclitus で画像ぐぐるとよろし。

      • 評価
      1. >>21
        本当だ!ソースのソースまで見ないとだめだね。

        • 評価
  11. お尋ね:PCBやダイオキシンで死んだ人の数が判る文献を見れるサイトはありますか

    • 評価
  12. やっぱ生き物て強いは・・・・・・
    どんなにひどい環境になっても生きて行けるようになるんだから
    こうして見ると環境破壊、環境破壊、て言い方もある意味
    変えたほうが良いのかも。
    無論。環境破壊はイヤだけどその破壊がこうした進化した生き物を
    登場させたわけだから、ちょっと複雑な気持ち・・・・・・・・
    14:Kさんの
    言う通りに人工的に環境を作り実験的に進化を促進させたら
    どうなるのだろう?
    ちょっとワクワクするな。

    • 評価
    1. >>18
      どこでもやっている品種改良は「人工的な環境」での進化だよ。
      人間の欲望という凶悪な淘汰によって作り出されてきたのが家畜や農作物というわけ。
      その中でも遺伝子操作は、私としては、人間の欲望が暴走しやすく危険なものだと思っています。

      • 評価
    2. ※18
      どこかでショウジョウバエを暗室に閉じ込める実験をしてるみたいだよ

      • 評価
  13. その者、青き衣を纏いて金色の野に降りたつべし…
    予言しといたから未来のババ様頼むで~

    • 評価
  14. 米欄見て、外人が「日本人は何でも、取り敢えず“それ食えるの?”って聞くよねw」と言っていたという話を思い出したw

    • 評価
  15. 酸素も本来は有毒だったが取り込んでエネルギーに変換するようになった
    結果として、一定濃度の酸素がないと生きられないんだが
    この魚も、一定濃度の他の生態系にとっての汚染がないと
    生きられないとかあるんだろうか?

    • 評価
    1. >>22
      PCBは毒だからまだ必須のものではないと思うよ。
      でも、フグの毒は餌から摂取して蓄積したもので、毒のおかげで食べられずに済むみたい。
      PCBがそれほどの急性の毒性を発揮するだけの量を蓄積することは難しいと思いますよ。

      • 評価
  16. ほぉ・・・毒にまで対応するたぁすごい

    • 評価
  17. おお、何かなじみのある内容。
    しかし、短期に有利な変異が蓄積されるほど、
    魚のDNAポリメラーゼって
    フィデリティー低いのか?

    • 評価
  18. 芳香族炭化水素受容体
    ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B3%E9%A6%99%E6%97%8F%E7%82%AD%E5%8C%96%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93
    「AhRは薬物代謝酵素であるCYP1や,グルタチオンS-トランスフェラーゼ-Yaサブユニット、UDP-グルクロニルトランスフェラーゼなどの誘導に関与し、異物の代謝を行う。」
    「AhRのリガンドであり環境ホルモンとして知られるダイオキシン類は代謝を受けにくく体内に蓄積する性質を有し、過剰なタンパク質産生を引き起こすことにより毒性を発現するのではないかと考えられている。」
    PCBはAhRで処分できないのに居座り続けるから負担をかけて毒になるということか。

    • 評価
  19.  って言うか、川にタラがいるって凄くないですか?
    もうそこから驚いちゃってるんだけど。
       所変われば、棲家も変わる。ということかな? 
    すみません、先に場違いな発言して。気になったもんで。
        毒への態勢は驚愕の進化だが、そんな有害な物質が流出してしまったのは反省すべき点では??

    • 評価

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