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ツングースカの大衝突に新たなる新展開、『夜行雲』との関連性が

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(著)

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 1908年6月、宇宙から猛スピードで突入してきた小天体がロシア上空で大爆発。

 ツングースカ事件と呼ばれるこの爆発の際には、シベリア辺境の森林が2000平方キロメートルにわたってなぎ倒され、当時は目撃者がほんの一握りしかおらず、隕石孔や天体の破片も残っていなかったために原因ははっきりしていなかったのだが、最近の研究で、このツングースカ事件と夜光雲と呼ばれる雲の関連性が注目されているんだそうだ。

【ツングースカ事件の原因は彗星爆発?】

 これまでの有力説では、隕石または氷の彗星が空中爆発し、原子爆弾数百個分もの威力で周辺の大地を揺るがしたと考えられてきた。

 しかし最近の研究で、このツングースカ事件と夜光雲と呼ばれる雲の関連性が取りざたされている。高度80キロ程度の「中間圏」と呼ばれる高空で発生する夜光雲は、スペースシャトルからの排気による水蒸気が形成するとも言われている。

 アメリカにあるコーネル大学の大気学者マイケル・ケリー氏が、このツングースカ事件と夜光雲の関連に気付いたのは数十年前、過去の学術論文にくまなく目を通していたときのことだ。

「ロンドンでは事件から数日にわたり夜空が明るく輝き、その明かりで新聞を読めたという話がある」とケリー氏は言う。その頃、並行して夜光雲の研究も始めていた同氏の頭に、ある考えが浮かんだ。夜光雲も奇妙な残光を生じさせる可能性があるということだ。

 ツングースカ事件についての画像と動画:
【歴史に名を残した大衝突、ツングースカ隕石落下の謎】

 『夜光雲』は、大気圏の最上層部で発生する特殊な雲だ。空気中のちりの周囲で凝縮した水蒸気が凍結し、微細な氷結晶が集結して発生する。高層域で発生するため、日没後の太陽光を反射して夕暮れの空で輝いて見える。

 夜光雲を研究していたケリー氏は、2007年8月のアラスカに注目した。8月8日にスペースシャトル“エンデバー”が打ち上げられ、11日にはアラスカで夜光雲が発生していたのだ。

NASAが撮影した夜行雲の映像

アラスカの夜行雲

「エンデバーの打ち上げとアラスカの夜光雲の関連性にひらめいたんだ。これこそツングースカ事件解明の決め手になるとね。このような雲は、エンデバー以降のシャトル打ち上げ時にも報告されている」と同氏は話す。

 スペースシャトルのエンジンには液体燃料の酸素と水素が使われており、打ち上げ時には300トンもの水蒸気が発生する。この水蒸気は、打ち上げのたびに高度100~115キロメートルの領域にまで到達する。

 同氏によると、「シャトルの事例から類推すれば、ツングースカ事件で夜光雲が発生した高度と水蒸気量は、氷の彗星が元になったと考えればうまく説明できる」。

 ただ、水蒸気と夜光雲の因果関係には疑問が残る。同氏いわく、「大量の水蒸気がわずかな時間で移動できたのはなぜか。シャトルの場合は1日半程度でフロリダ州からアラスカ州まで到達している」という問題である。

 可能性の1つとして、シャトルの排気が逆回転する巨大な上昇気流に乗り、熱圏(thermosphere)と呼ばれている高度数十キロから数百キロに渡る上空の大気圏を毎秒90メートル以上の猛スピードで運ばれたという想定が成り立つ。これと同じような二次元乱流のプロセスが、1908 年にイギリスで夜光雲が発生した際にも働いていた。

 アメリカのアリゾナ州ツーソンにある惑星科学研究所の天体学者ウィリアム・ハートマン氏は、この研究について次のように述べている。「飛来する天体には、氷以外にも岩石、金属などがさまざまな比率で含まれていることが多く、ツングースカ事件を引き起こした天体にも、多様な物質が含有されていた可能性がある。氷の結晶が原因という考え方は1つの仮説としてはうなずけるが、夜光雲は非常に高度な領域であればどのような微粒子の堆積でも発生し得る。炭素の多い流星体やなんらかの爆発によって高域に大量のちりが放出された場合にも、夜光雲が生じる可能性はある。彗星爆発だけが原因とはなりえない」

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この記事へのコメント 10件

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  1. 隕石や彗星の空中爆発という説が
    ひっくり返るのかと思った

    • 評価
  2. > ツングースカ大爆発は彗星爆発に夜行雲の発生が絡み合い、偶発的に起きた現象である可能性が高まってきた
    どうしたらそういう結論に至れるんだか

    • 評価
  3. だよなあ
    ツングースカ大爆発によってヨーロッパで夜光雲が発生したよ、って話だろう

    • 評価
  4. 夜行さんって、一つ目でなんかサンバイザーみたいなのかぶった アレ。

    • 評価
  5. コレは関係薄いとしても、
    ツングースカの爆発事件って、実際隕石の可能性を示す具体的物証が何一つ出ていないんだよね。
    まー、それを以前ここでコメしたら結構叩かれたわけだがww
    時代背景も含めて考えるとオモシロイかもネ。

    • 評価
    1. >>8
      たしかに、隕石孔が無いんだよな。
      しかも当時は超巨大なキノコ雲が数時間に渡って目撃されてるし、付近でイリジウムが検出されてるって言う確たる証拠も無いんだよねぇ。
      しかも本格的調査が10数年後とかw
      あのソビエト連邦が混乱期とは言え、即調査しないとか考えられないっしょw

      • +1
    2. >>8,9
      一応メジャーな説は、隕石の空中爆発。空中で木っ端微塵になったから、欠片や隕石孔が無いってことらしい。

      • 評価

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