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ベスタは惑星の“なりそこね”ではなかった? NASAが従来の定説を覆す発見

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(著)

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NASA/JPL-Caltech/UCAL/MPS/DLR/IDA
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 太陽系には、火星の公転軌道と木星の公転軌道との間に「小惑星帯」と呼ばれる領域がある。ここには数多くの小天体が存在し、中でも「ベスタ」は直径約525kmを誇る、最大級の天体の一つだ。

 科学者たちは長い間、このベスタを「惑星になりかけたが、途中で成長が止まってしまった「原始惑星」として捉えてきた。

 だが、NASAの無人探査機「ドーン」が収集したデータの再解析によって、その見方が根底から見直されようとしている。

 どうやらベスタの内部は、惑星のようなはっきりとした分化構造を持っていない可能性があるというのだ。

 では一体ベスタは何者なのだろう?原始惑星の可能性も否定できないが、実は、成長途中だった惑星の“割れた欠片”である可能性もあるという。

惑星を定義づける重要な特徴

 地球のような岩石惑星の重要な特徴のひとつは、「分化」しているかどうかだ。

 岩石惑星は、初期の太陽系を漂っていた岩石が衝突を繰り返すことで形成された。その過程において、惑星は衝突の熱でドロドロに溶け、重い物質は中心に沈み、軽い物質は表面へと浮かぶ。その結果として、核・マントル・地殻という層状の構造ができる。これが分化だ。

 たとえば地球なら、中心には鉄とニッケルの高密度の核があり、一番表面を包む地殻はもっと軽やかな酸素とケイ素が豊富だ。

 そしてベスタもまた岩石惑星と同じような核・マントル・地殻に分化した構造があると考えられてきた。

 ところが最新の研究では、ベスタの内部は想像されていたほど分化しておらず、もっと均質であるらしいことが判明したのである。

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これまで推測されていたベスタの内部構造 / NASA/JPL-Caltech

慣性モーメントが明かすベスタの内部構造

 火星と木星の軌道の間には、無数の小惑星が漂う「小惑星帯(アステロイドベルト)」と呼ばれる領域がある。ベスタはこの領域で3番目に大きい天体だ。

 現在のベスタについての情報の多くは、は2011年7月から14か月間にわたりベスタを調査したNASAの無人探査機「ドーン」が収集したものだ。

 そのデータによると、直径525kmのベスタは、直径107~113kmほどの鉄が豊富な核を持つ、現存する原始惑星だと考えられていた。

 だがこのデータだけでは、ベスタの分化状態についてはっきり断定することまではできない。

 そこで今回、NASAジェット推進研究所のR. S. パーク氏らは、ベスタの「慣性モーメント」に注目することにした。

 慣性モーメントとは、物体が回転運動に抵抗する程度のこと、つまりは回転のしにくさのことだ。

 ある物体が軸を中心に回転するとき、軸の中心が重い物体よりも、軸から離れた部分が重たい物体の方が慣性モーメントが大きく、回転しにくい。

 したがって、この慣性モーメントからその物体の内部の質量分布を推測することができる。

 パーク氏らの分析によると、ベスタにははっきりとした核がないか、あったとしてもかなり小さいことが示された。それはベスタがこれまで考えられていたほど分化していない可能性を示唆している。

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NASAの無人探査機「ドーン」がベスタに接近する様子を描いたイラスト  image credit:Northrop Grumman

ベスタの起源をめぐる2つの仮説

 では仮にベスタが惑星の出来損ないではないのだとしたら、一体何なのだろうか? これについては2つの仮説が提唱されている。

 最初の仮説は、ベスタがやはり原始惑星であろうというもの。ただし溶けて分化が始まろうとするやいなや、冷えて最後まで分化しきらなかった。

 もう1つの仮説は、ベスタが成長途中だった惑星から分離した欠片(かけら)であるというものだ。

 その惑星が今日の太陽系のどの惑星かはわからない。だがドロドロに溶け分化が始まったその惑星に天体が衝突するなどして破片が飛び散った。

 その1つがベスタで、だから分化の痕跡が残されている。

 この2つ目の仮説は、この研究に参加したミシガン州立大学のS. A. ジェイコブソン氏が、かつて提唱したものであるとのこと。

 当時はやや突飛な仮説だったが、今やもっと真剣に検討すべきものになったと同氏は語っている。

真相解明にはさらなる研究が必要

 どちらの仮説が正しいか、今のところ不明だ。

 手がかりの1つは、「HED隕石」と呼ばれる隕石群だ。その起源はベスタである可能性が高いが、そこに不完全な分化が起きた痕跡は見られない。

 ならば、ベスタは形成途中だった惑星の欠片なのか? だが、これを裏付ける決定的な証拠もない。

 少なくともはっきりしているのは、ベスタが成長をやめた出来損ないの惑星であるという定説が、グラグラと大きく揺らいでいるということだ。

 この研究は『Nature Astronomy』(2025年4月23日付)に掲載された。

References: A small core in Vesta inferred from Dawn’s observations / New research shatters long-held beliefs about asteroid Vesta

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この記事へのコメント 13件

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  1. ベセスダが成長をやめた出来損ないっていうのだめよ
    あ ベスタか…

    (わからん人にはわからなくしょーもなくてすみません)

    • -6
  2. ごめん小惑星の慣性モーメントってどうして分かるの、知ってるひと教えて

    • 評価
    1. 大きさと組成からおおよその重さが推測できて、自転速度が分かれば計算できるのかもしれない。知らんけど。

      • 評価
  3.  大きさから内部がとろけなかったというかそれだけの重力も発生できなかったともいえるわけで、なりそこないという解釈も合理性はありますね。 今回の成果は「データ不足につき判定不能」ってことが分かったわけでさらに情報収集で今後に観測に期待です

    • 評価
  4. 惑星のできかけが何個かあって、ぶつかって砕け散ってアステロイドベルトになったって見方も出来るしなー
    全部詳細スキャンして3Dモデル起こして、VRorAR(パズルは手掴みが一番早い)で立体パズルしたら何か分かるかも?

    • 評価
  5. 「成長をやめた出来損ないの惑星」って表現を読んで、セーラームーンに出てくるベスタ担当のキャラ(ベスベス)が「大人になんかなりたくないーずっと子供でいたいー」派だったのは結構考えられてたんだなと思いました。

    • 評価
  6. そんな…”ミネルバ”だった可能性があるだなんて…

    • +2
  7. 自分の仮説は冷却途上の小惑星が衝突してできた破片が小惑星帯(アステロイドベルト)になって大きく残っているものが、当時の名残と考えると複数の衝突が有ったのだろうと想像していた。
    それよりもベスタが直径約525kmで3番目に大きいらしいから、ここから地球に向かって来たら地球生物の絶滅は簡単に起こるのだろうと思った。(木星と火星の間の微妙な重力帯に囚われているだけだから不安定なのだと思う)
    怖いな

    • 評価
  8. そう遠くない未来ベスタの鉄鋼資源を採掘して
    宇宙基地の資材売買ビジネスを行いながら。
    内部を円筒形に切り抜きスペースコロニーを作る。
    なんて宇宙ビジネスもあるだろうね。
    ベスタは直径約525kmだからねかなり有望だよ

    • 評価

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