メインコンテンツにスキップ

サグラダ・ファミリアの建築家、アントニ・ガウディがバチカンから聖人への道へ

記事の本文にスキップ

12件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock
Advertisement

 スペイン・バルセロナの象徴とも言える教会「サグラダ・ファミリア」を設計した建築家アントニ・ガウディが、ローマ・カトリック教会によって聖人に向けた正式な道を歩み始めた。

 2025年4月14日、バチカン(ローマ教皇庁)はガウディの「英雄的な美徳」を認め、列聖に向けた正式なプロセスに入ったことを発表した。

 芸術家や建築家が聖人とされることは極めて珍しい。その背景には、信仰と芸術が深く結びついた歴史があった。

アントニ・ガウディとサグラダ・ファミリア

 サグラダ・ファミリアはの正式名称は「聖家族贖罪教会(La Basílica de la Sagrada Família)」で、民間のカトリック団体「サン・ホセ教会」が計画を立ち上げた。

 教会の建設は、カトリック信仰を広めるための贖罪(罪を償う行為)の象徴として企画されたもので、初代建築家はフランシスコ・デ・パウラ・デル・ビリャールで無償で設計を引き受けた。

 1882年3月19日に建設工事が着工されたが、意見の対立から翌年にビリャールは辞任する。

 その後を引き継いで建築家に就任したのが、当時は無名であったアントニ・ガウディ(1852年6月25日 – 1926年6月10日)で当時31歳だった。

 ガウディ氏は、スペイン北東部・カタルーニャ地方出身の建築家で、1914年以降、彼は宗教関連以外の依頼を断り、サグラダ・ファミリアの建設に全精力を注いだ。

 彼が引き継いだサグラダ・ファミリアは、ガウディ氏が没した1926年時点で全体の10~15%ほどしか完成していなかった。

 完成まで140年以上を要しているサグラダ・ファミリアは、独特な曲線美や自然を模した構造が特徴で、未完の世界遺産だ。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:unsplash

 ガウディは敬虔なカトリック教徒であり、建築そのものを「神への賛歌」ととらえていた。

 彼にとって、建築はただの芸術ではなく、人々を神に近づける手段でもあった。彼の作品には、祈りや信仰を込めた細部の工夫が数多く見られる。

この画像を大きなサイズで見る
アントニ・ガウディ(26歳当時)1878年、ポー・オードゥアール撮影 public domain/wikimedia

「英雄的な徳」を認められガウディが聖人の道へ

 2025年4月14日、バチカン(ローマ教皇庁)は、ガウディが生涯にわたって示した「英雄的な徳」を認めたと発表した。

 これはカトリック教会が聖人認定に向けた初期段階であり、教皇フランシスコが彼を「尊者」に認定したことを意味する。

 カトリック教会では、ある人物が「聖人」として正式に認められるためには、段階的な手続きが必要になる。

 まず、その人の信仰心や生き方が模範的であったことが証明されると「尊者」に認定される。ガウディはまさにこの段階を迎えた。

 その次が「列福(れっぷく)」と呼ばれる段階で、「福者(ふくしゃ)」という称号が与えられる。

 通常、信仰のために命を落とした殉教者はこの段階にすぐ進めることがあるが、そうでない場合は「奇跡」が1つ必要になる。

 この奇跡とは、科学や医学では説明がつかない不思議な現象のことで、多くは重い病気が突然治ったといった事例が対象となる。

 これらの奇跡は、専門の医師と神学者によって厳しく調査され、最終的に教皇が本物と認定した場合に限り、列福される。

 さらに「聖人」として最終的に認められるためには、もう1つの奇跡が必要になる。

 つまり、合計で2つの奇跡が認められることで、正式に「列聖(れっせい)」され、世界中のカトリック信者から聖人として崇敬されることになる。

 ガウディの列聖運動を支援する関係者たちは、今後この奇跡の証明に向けて取り組んでいくことになる。これは非常に長い時間がかかる場合もあり、慎重な審査が続けられる。

この画像を大きなサイズで見る
バチカンのサン・ピエトロ大聖堂 image credit:Pixabay

 1926年6月10日、ガウディ氏は教会に向かう途中、路面電車にはねられ74歳で亡くなった。その葬儀には、バルセロナ中から3万人以上が参列したという。

 彼の影響力と尊敬の大きさがうかがえる話だ。

 サグラダ・ファミリアは、ガウディ没後100周年にあたる2026年、塔の中で一番高い「イエスの塔」が完成する予定だ。

 イエスの塔は高さ約172.5mとなり、完成すると、ドイツのウルム大聖堂を抜いて世界一高い教会となる。

References: Vaticannews

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 12件

コメントを書く

  1. ガウディ氏の建築センスとあの巨大な建造物を作ろうという情熱はある意味で奇跡的だけど、当人の才能と現代の建築技術で説明がつく範疇だしなあ。
    建設途中で事故があったけど誰も大したケガがなかった、とかも採用されるのかしら。

    • +5
  2. 3Dプリンターで爆速進行になったと聞いた時は「それ許されるんだ」って衝撃だったな。コツコツと何百年もかけて作ること自体も信仰のうちかと思ってた。
    自分が生きてるうちに完成が見られそうなのは嬉しい

    • +7
    1. 人の営み全てを神様が許してるからだよ
      記事の通りで信仰心が評価されたのだと思う

      • +4
    2. 3Dプリンタを建材に使用したわけではありません。小さな模型を3Dプリンタで作成して石材の形や組み合わせを確認できたので工期を短縮出来ました。

      • +3
  3. サグラダ・ファミリアですら完成するというのに、横浜駅ときたら…

    • +12
    1. 横浜駅はしばらく前に一度「完成」はしています
      大規模な駅は常に補修を強いられるから、だいたい補修工事はあるけど

      • +1
  4. 建築家として偉業を成し遂げたとは言えるが
    宗教的な意味で聖人になるというのは理解できんな

    • +4
  5. 聖人の条件に「奇跡」が必要っていうの面白いな
    ガウディなら2週間断食したとかいうのが奇跡の一つになるのかな

    • 評価
    1. 死後1世紀以上も建築され続けてるほどの信心を呼び起こした、っていうのでも良いんじゃないかな?

      • +1
  6. 「聖人」の条件で「奇跡」の項目は難易度が高く、
    生前と死後、最低でも各1回の認定が必要だそうです。
    それには証拠として何かしらの事象の記録と証人が必要で、だいたい故人が残した日記手紙等や役所等の公式文書が根拠になるので内容を精査するため時間がかかるそうです。

    • +5
  7. 喜捨はともかくとして貢献とじゃなくて奇跡がいるのか
    なるほど

    • +2

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。