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聖水はコレラ菌に汚染されていた。持ち帰った観光客らが感染被害に

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(著)

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Photo by:iStock
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 「聖水」が命を脅かすという衝撃の事案が起きた。2025年2月、ドイツとイギリスで発生したコレラの集団感染が、エチオピアの聖なる井戸「ベルメル・ゲオルギス」の聖水が原因であることが判明したのだ。

 この井戸は世界中から巡礼者が訪れる場所で、癒やしを求めて水を飲んだり浴びたりする人が絶えない。

 しかし、この「聖水」が多剤耐性のコレラ菌に汚染されていたことがわかり、感染が拡大していることが明らかとなった。

聖なる水が命を脅かす

 ドイツとイギリスの旅行者が、それぞれ別々に東アフリカの国、エチオピアを訪れたのは2025年1月のことだった。彼らが訪れたのがエチオピア北西部、アムハラ州のクアラ地区にある聖なる井戸「ベルメル・ゲオルギス」だ。

 この井戸は聖人・ゲオルギウスにちなんで名付けられ、エチオピア正教テワヘド教会の信者にとって重要な巡礼地となっており、訪れる者にとっては心の安らぎを得るための聖域でもある

 井戸の水は「ツェベル(tsebel)」と呼ばれる聖水とされており、「霊的な清め」や「病を癒やす水」として体にふりかけたり、飲む人が多い。また、誰でも持ち帰ることができる。

 しかし、この井戸の水には重大なリスクが潜んでいた。

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ベルメル・ゲオルギスから湧き出る聖なる水、ツェベル Youtube

聖水を持ち帰った旅行者がコレラに感染

 コレラは、ビブリオ・コレラという細菌によって引き起こされる感染症で、主に汚染された水や食品を通じて感染する。

 激しい下痢や脱水を引き起こし、治療が遅れると命に関わることもある。

 もう1人はイギリス国内にいたが、この患者が持ち帰った聖水を飲んで発症した。残る2人もエチオピアへの渡航歴があり、現地で感染したとみられている。

 この情報を公開した、欧州感染症監視機関「ユーロサーベイランス」は、観光客への注意喚起を行っている。

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Photo by:iStock

エチオピアで続くコレラの大流行

 この背景には、エチオピアで続いている深刻なコレラの流行がある。2022年から続く流行で、2025年2月の時点で累計5万8000件以上の感染と726人の死亡が報告されている。

特にアムハラ州では、衛生状態も悪化していたにもかかわらず、地域の武力紛争の影響で公衆衛生の対策が進んでいなかった。

 さらに問題なのは、今回検出されたコレラ菌が多くの抗生物質に耐性を持っていた点だ。フルオロキノロン系、トリメトプリム、クロラムフェニコール、アミノグリコシド、β-ラクタム系、マクロライド系、サルファ剤といった複数の薬が効かず、一部にはプラスミドと呼ばれる耐性遺伝子を持った菌も確認された。

 ただしテトラサイクリン系の抗生物質にはまだ効果があり、幸いなことに7人とも現在は回復に向かっているという。

 病を癒やすはずの聖水が、逆に病を引き起こしていたことで、地元当局でも対応が迫られている。

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コレラ菌 Photo by:iStock

旅行者は聖水であっても口にしない

 今回のケースは「アフリカの地域的な感染症が、欧州にまで波及した珍しい例」として専門家の注目を集めている。

 報告をまとめたユーロサーベイランスは、「旅行者は訪問先の衛生状況や感染症リスクについて十分な情報を得るべきであり、宗教的な意味がある水であっても口にするべきではない」と警告している。

 また、感染拡大を防ぐためには、長期的な視点で水・衛生・公衆衛生への国際的な支援が不可欠だ。特に低所得国においては、海外からの開発援助による衛生インフラの整備が、感染症対策の鍵となる。

 日本から海外へ旅行する人も年々増えており、今後似たようなケースが発生する可能性は否定できない。

 旅行前には厚生労働省や外務省の情報を活用し、現地の感染症状況を確認することが、健康と命を守る第一歩になるだろう。

 この研究報告は『journal Eurosurveillance.』(2025年4月10日付)によって公開された。

編集長パルモのコメント

パルモの表情、普通

日本は世界有数の衛生管理が行き届いた国だ。そのため海外での旅行先で食べたり飲んだりしたものでお腹を壊したり体調を崩したりする人も多い。「聖水」という響きは万能薬のように思えてしまうが、くれぐれも生水は口にしないよう心掛けよう。

References: Eurosurveillance / Futurism / Cosmosmagazine

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この記事へのコメント 25件

コメントを書く

  1. 以前記事にあった(実はエアコンの水崇めてた)インドの人達思い出した

    • +35
  2. 多剤耐性とかシャレにならん菌を持ち帰ったのか…

    • +33
  3. 母国で病気を広めることはしないでくれ…

    • +27
  4. いろんな国で聞くけど、今まで惨事にならなかったのが不思議
    腸内細菌なんかの加減で、現地の人はセーフでも他地域の人はムリがあるだろう
    しかもお持ち帰り・・・

    • +17
  5. エチオピアは聖水コレラ、ガーナは魔女狩りが流行
    迷信はろくなことがない

    • +20
  6. 流石に川は無理だけど、井戸で皆が飲むのが分かってるなら水質調査とかした方が…って思うのは日本の感覚なんだろうな

    • +24
  7. よりによって耐性持ちとか…
    どんな国だろうと処理されてない水を飲むリスクは本当に考えないといけない

    • +21
  8. インド人がエアコン結露の汚水を聖水とか言って群がってありがたがってたの思い出した

    • +16
  9. そもそもエチオピアにキリスト教の聖なる泉があるって言われても眉唾でしかない。
    布教のためにあっちこっちででっち上げしたんだろうけども。

    • -8
    1. 「エチオピア キリスト教」で検索するがよろし。

      • +11
  10. 煮沸して飲めばいいのかな?それでもダメな菌もあるだろうけど。

    • +5
    1. そこは評価できるね。
      地元宗教団体や自治体が聖水にそんな害があるなんて話流れたら現地に客来なくて収入が途絶える!とか隠ぺい工作しだしたら完全アウトだった。

      • +14
  11. 見るからに泥水だし水源に立ち入って汲んでるのに、先進国のイギリスやドイツで旅行できるくらいの人でも飲んじゃうのか

    • +8
    1. 何をどうやったらマコモを粉末にして風呂をドブ水にする流れになるんだろうね
      どうせやるならバスタブに生やせと

      • +3
  12. 泉に人が入って水を汲んでいるんですから感染源になりますよね
    地下水の状態では無菌なのかもしれないけど、これではね

    • +5
  13. 途上国地元民ならともかくヨーロッパ圏で、
    こういうところの水が危険なのを認識してないのがヤバい

    • +4
    1. 地元民なら平気で飲んでしまうからじゃないの?
      それで大丈夫じゃないのが問題なわけで
      外国旅行で水にあたるといわれていても、当たるやつがいるのはお約束www

      • -1

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